めっきり春めいてきて、驚きな二月ももう終わります。
今年は暖冬の名のとおり全体を通して温かいのですが、一週間の中で激しく寒暖が変わるのに上手くついて行けません。着込みすぎたり薄着過ぎたり、足もとだけ寒かったり…。
挙げ句に花粉が飛びはじめたという話まで聞くと、春という素晴らしい季節が最近、憂鬱になる様な…。
インフルエンザも大きな顔をしているようですし、風邪も流行っている様子。どうぞ皆様、温かくしてマスクとうがい手あらいで、最後の風邪シーズンを乗り切りましょう!
さて、今回は学生時代のお話。
今でこそ獣医大学は六年制である事は、最近は良く知られているのですが、その当時は六年制である事はあまり周知されておらず、五年生六年生になると、「今、何されていらっしゃるの?」という一般的な質問に対して、「大学五年生です」と答えると、「…あ、そうなんですね~」と慈愛に満ちた目線で流されるという恐ろしい事が何度もありました。「いえ、あの、獣医は六年制で!」と必死で説明するたびに変な汗をかいた覚えがあります。
私は神奈川県相模原市にある獣医大学に進学したのですが、基本的に実家がある町屋から約二時間をかけて通学していました。流石に最後の二年間は一人暮らしをしたのですが、整形外科の実習などは、夜の十時から始まる事もあって、日付をまたいで実習をするというのも経験しました。
大学というのは、自分が何を学び、その先に何の目標を持つのか、をはっきりとさせる場所でした。高校までは進路というのは未知な所が多く、何者に自分がなっていくかという事と葛藤する所だったので、大学に入ってからの方が目標がシンプルで、非常に生活しやすかった記憶があります。
大学の学部は獣医学部です、入学したほとんどの生徒が獣医師になるために勉強をします。六年間という小学生以来の長い時間を、同じ目標に向かって生活するのは、とても楽しい事でした。
世間で言われている通りで、文系大学の比ではない量の授業と実習です。バイトが出来るのは二年生までと良くいわれていました。 専門課程に入る三年生からは、午後の実習が何時間かかるか分からず、それこそ日をまたぐ事だってあるからです。
専門課程の勉強や実習は年間落としていい単位数が決まっており、それをこえた者は容赦なく留年です。事実、留年は毎年非常に多く、二年続けて同じ学年で留年する事は許されておらず退学も良くありました。必死に勉強しなければ、誰もがついていけないカリキュラムです。
本試験で合格者が16名、25名、なんて事だってありました。学年約120人の中で、半数以上が追試になる様な試験だった訳です。
幸い追試制度はありましたが、私の大学は非常に試験が厳しくて、追試でも容赦なく落とされます。この辺りは各大学やその時の学年の先生方など差異はありますが、同じ様なものだと思います。恐らく一番机の上で勉強した時間だった事は間違いがありません。
大学受験で死ぬ程やったと思った勉強を、大学に入ってさらにやり込む事になる。これは医学部や薬学部など、卒業前に国家試験が控えているいわゆる特殊学部の場合、当たり前に要求されることになります。
けれど受験の様に先に繋がるかどうかも分からない勉強と違って、間違いなく自分の将来に身になる勉強を、あれだけ真摯にできる時間を作ってもらえた事を、本当に両親に感謝しています。
勉強の厳しさもさることながら、大学の先生達は非常にユニークで、入学式のスピーチで学年主任の先生が、「君たちはバイトなんて事はしないでひたすら勉学に打ち込め、入りたくても入れなかった人間が1人の後ろに30人以上いるのだから。留年、退学などもってのほかだ!」と言ったかと思えば、副主任が「卒業するまでの間に、必ずバイトをして下さい。君たちは人徳も経験もないのに卒業した時点で、先生と呼ばれてしまう職業に就きます。その名称は指導してもらえる機会を奪う事にもなる。今のうちに、何者でもない単なる学生であるうちに、沢山理不尽に怒られ謙虚さを養って下さい、成績優秀で来たものは多いが、人格形成がなっていない」という、所から始まりました。
あまりのベクトルの違いに、広がる新入生の動揺。親達のざわめき。
けれどどちらも真理であり、本当に大事な事だったと感じました。 今から思い出しても、自分に合った大学だったと思います。
学ぶ事の大切さは卒業して、就職してからも身にしみてわかってきました。終わりのない勉強が続くのが医療現場というものです。医学は日進月歩で毎年のように新しい情報が出てきます。今まで経験した事のないことも、多くあります。
けれど大学と違って、口を開けていても、もう誰からも教えを請うことはなかなか出来ないのです。 開業して三年がたち、あらためてそういった学ぶ事の大切さを感じるようになってきました。
がむしゃらに毎日を過ごすばかりでしたが、本年はそういった事もふまえ、セミナーや学会に積極的に参加していきたいと思っています。 飼い主の皆様には、ご迷惑をおかけすることもあるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします。
そうして得た知識を早く還元できるように、身を引き締めて頑張っていきたいです。
2016-02-28
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