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今日より早い診断はできない
今日より早い診断はできない

時期外れの雪も過ぎ去りましたが、それでも春の陽気と冬の陽気がミックスされて一週間の中で季節を行ったり来たりしている感が拭えませんね。

暖かいのか寒いのかそれが問題だ、というシェイクスピアもどきの真剣さで朝の服装とコートを選んでおります。

仕事をしていると昼ごはんに外に出ることもないので、基本的に朝晩の出入りの時間しか外の気温を体感することはないのですが、幸いガラス張りの当院は外の景色を常に見ることができるので、かつて大学病院にいた時のように、一度中に入ったら帰りまで天気すらわからない、みたいなことはなくて済んでいます。

あの当時は季節の流れすら感じ取ることが難しくて、先輩がTシャツにサンダルで出勤しているのに気づいて夏が来たことを感じる日々でした。ちなみに先輩のTシャツのプリントには美しい豚が描かれていて、ルビが「美豚」(び・とん)になっていました。吹き出しました。

飼い主さんたちにガヴちゃん元気ですか?とお声がけいただくのですが、飼い主を放り出して遊びに行ってしまうくらいには元気です。

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さて、春の健康診断が始まりましたが、現時点でもなかなかに気になる結果が出ており、再検査や精査を行う動物たちも出て来ています。

正直想像していなかった子から意外な結果が出たりもしているので、やはり検診は大切だなんと、毎年ですが実感しております。

検診て、嫌なものですよね。

元気に見えるのに、異常が見つかってしまってその結果でその後の人生が全く変わってしまうかもしれない。

その恐怖って、本当に恐ろしいと思います。

これは忖度なく、私自身もとてつもなく嫌だな、と思います。

正直自分のことであれば別に検査すること自体は怖くもなんともないのですが、これが自分の飼っている動物たちだと話は変わって、情けないことに血液検査ひとつするだけでも前日からブルーな気持ちになるくらいです。

なんだろ、なんだか気持ちが下がる、嫌なだなあ、と思うモヤモヤが全てそこに集約されているのに気づいた時の自分の気持ちといったら、恥ずかしくてなさけなくて闇雲に叫んで走り出したくなてしまうほどでした。いや検査をお勧めする側の人間でしょ、獣医師って!

自分の犬一頭検査するのが嫌だって、そんなバカな!

でも、これが掛け値のない本当の気持ちです。

ガヴリエルは生後2ヶ月で4回は死んでもおかしくなかった病歴の犬です。

薬剤アレルギー、肺水腫、重度の肺炎と膿胸による全身症状、治療に伴う腎不全と高カルシウム血症。

闘病中は毎日血液を取り、レントゲンを撮り、エコーをして、その結果に一喜一憂しながら歯を食いしばって治療方針を組み立てていました。

全てが幸いなことにうまくいって、命がつながりましたが、今生きていること自体が奇跡の犬だと自覚しています。

ですから他の犬よりもずっと細かく検査をしなければならない、いざの時にすぐ動かなければならない、早く異常を見つけなければならない、なんてことは本当によくわかっているはずなのに、たかだか健康診断をするだけのことで足がすくみ、不安で押しつぶされそうになります。

また腎臓が悪くなっていたら?

得体の知れない炎症があったら?

無気肺部分が大きくなっていたら?

膀胱は正常に戻っているの?

エトセトラエトセトラ……

疑うことができる疾患が多すぎて、想像もできすぎて、だからこそ怖い。

元気なようにみえて、そうでなかったら?

いまのようやく安定した日常が揺らぐ恐怖は、理性で抑えがたいものがあります。

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では、実際に健診で悪いものが見つかった場合、検査したことを後悔するのか、ということなのですが、これはまずしないのです。

ショックは受けます。とても悲しいし、苦しい思いをします。

でもだからといって、したことを後悔しないのです。

なぜなら、見つけた今が、最も早い段階で診断をしたスーパーラッキーだからです。

今日より早い診断はできないのです。

だから診断に関して最善を尽くし、そのうえで最速で治療を始めることができます。

その事実がある限り、人は後悔をしません。

人が最も自分を責めるのは、なぜもっと早く見つけてあげられなかったのか、もっとなにか治療ができたのではないのか、と思うことです。

この後悔に深く縁取られた無念を、獣医師であれば人生の中で何度も聞くことになります。

昨日まで、元気だった。

今朝まで元気だった。

こんなに急に悪くなるんですか?

どうしてこんなことに……

本当に血を吐くような後悔の言葉を、獣医師は何度も聞いています。

だからこそどれだけ苦しくても怖くても、早期の健診をおすすめせざるえないのです。

なので!

先陣切り勇気を振り絞ってガヴリエルの健診をしてまいります!

ひぇーこわい!!でも、がんばろう!

どうかみなさんも、大切な家族のために、自分のために、健康診断を受けましょうね。

2025-03-25

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