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人類最後の1人になったら
人類最後の1人になったら

お盆も明け、長い長い夏の終わりが見えてきた、といいたいところですが、いまだ日差しの厳しさは変わらず、といったところでしょうか。

それでも日の高さはだいぶ低くなり、外出時に必死に探す建物の影は長くなったように感じます。

また夜になって吹く風が少しだけ、熱波というには柔らかくなってきました。蝉の鳴き声はひそまり、秋の虫たちが日に日に鳴き声の日に日に鳴き声の勢力を広げています。

もちろん湿度の高さはいまだ衰え知らずですが。

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秋の虫たちの夜の大合唱を聞きながら、もしここでお寝坊な蝉が起きてきたら、それは世界の絶望にも感じるのかな?と考えました。自分以外の蝉たちは全て死に絶え、求愛の歌声を聴くものもいない。その種族が自分しかいない、という恐怖はいかほどのものか。

世界で最後の種族になる恐怖はSFでは新井素子さんの「チグリスとユーフラテス」では、かなりブラックで露悪的に描かれていますが、想像するのが少し苦しいくらい恐ろしいものなのは間違いないでしょう。

それでも想像してみようとするのが人間の人間たるところだとも思うのです。

自分が人類の最後の一人になったら、何をして過ごすでしょう。

途方もなく長く感じるようで、一瞬の星の瞬きにも満たないこの人生という時間を、どう過ごすでしょうか。

もし私なら、ありったけの食料や水を図書館に持ち込んで、日が暮れるまで本を読みたい。

歳をとって動けなくなるのか、その前に何らかの病を得て死ぬことになるのか、わからないのですけれど、それまでの時間を人類の叡智と愛と情熱を詰め込んだ知の宮殿で過ごしたいなあと思います。

それまでの人生では全く必要なかった知識すら愛おしく感じることでしょう。

学ぶ喜びに加え、それを独占できる喜びに震え、同時にこの楽しさを感動を誰かと分かち合えない悲しみにくれるかもしれません。

でも本をひらけばそこに息づく多くの人々の息吹に触れることができるから、きっと読むことをやめないのではないかな。

動画や音声、映像のように電気供給が耐えた後は絶望的な記憶媒体と異なり、本は千年の時をこえて込められた情報を与えてくれることが証明されています。

だからこそ、そこから離れようとはしないかもしれません。

それとも見たことのない景色を見に歩いてみるでしょうか。

どうせ誰もいないのであればと、ありとあらゆる美術館巡りもいいですね。

紙の地図片手に、方向音痴だからきっと迷ってしまうでしょうが、旅に出てもいいかもしれない。

サバイバル知識をきちんとつけた後で、出かけてみるかもしれませんね。

もしできたら、おともに犬がいてくれたら最高ですね。

雉も猿も来てくれなくていいけれど、犬が一頭居てくれたらとても嬉しい。

そうなると、どうやって彼彼女の分の食料を確保するか、ということも考えたり。

想像はとめどなく広がっていきます。

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日常から離れた途方もない想像は、時に今の時間に囚われすぎている人の心をある意味リセットしてくれるものかもしれません。

視点や視野を変え、物事の見方や価値観をリフレッシュすることも必要なときがあります。

それがいつなのかは案外自分では気づきづらいものですが、そういう想像で心が楽になるのであれば、それが合図です。

そんな時は肩がぐっと上がって、首にも力が入っているはずです。

もしこれを読まれて、あ、ほんとだ!と思ったら一度深呼吸。

力を抜いて肩を落として、もう一度呼吸。

酸素を脳に巡らせてみましょう。

ゆっくり深呼吸を繰り返して、5分間目を閉じてからまた開けてみましょう。

追い詰められた思考はちゃんと消えて、前に向かう視界がひらけるはずです。

そばにいる動物たちに声をかけて、少しお話したらまた世界の色は変わります。

まったく意識を切り替えることは難しいけれど、少し変えることができるきっかけをもてば、自分の思考を変えることができますよ。

ゲリラ豪雨による冠水被害
ゲリラ豪雨による冠水被害

さて連日のスコールじみたゲリラ豪雨によって、首都圏の各所では冠水被害が相次いでいますね。先日の市ヶ谷周辺の冠水位映像を見て、本当に驚きました。

私の小学校は四ツ谷と市ケ谷の間、どちらかというと市ヶ谷寄りの駅から坂を上がった先にあるのですが、通学していた6年間を考えても冠水なんて聞いたこともありませんでした。

でもこうやって字を眺めてみると見事にどちらも『谷』の文字がついていることに気づきました。子供ながらに地盤がしっかりした土地だというイメージがあったのですが、坂も多く、確かにあそこは谷なのだ、とこの歳になってしみじみ感じた次第です。

昔からある地名は教えが含まれているなあ、と思いました。

今後もこの雨の振り方が変わるとは思えないので、仕事においても早めの帰宅や在宅への切り替えなど、判断が問われるようになることでしょう。

お留守番をしている動物たちを思うと、なかなかに不安な環境変化ですが、どうぞいざの対策を十分に講じて、夏を乗り切ってください。

2024-08-28

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