動物病院HOME < 診療案内 < ノミ・ダニの予防について
「ノミ・マダニの予防していますか?」と、診察の時にお聞きすると、 「してます!去年二回しました。」とか 「昔しました、今はしてません」とか 「春に血液検査して、毎月飲ませる薬ですね?」(これはフィラリアのことですね)とか、 あれれ? ということが結構あります。
現在、動物病院で使われている、ノミ・ダニの薬は大まかに分けて
の三つです。 どれもノミへの効き目は1~3か月、ダニには1か月~40日効くものです。
ですから、去年つけていても、今年していないのであれば予防しているとは言えません。
また、昔まめにしていても、ノミやマダニに感染する可能性は日常にたくさん潜んでいますから、予防していることにはなりません。
犬の首の後ろから肩あたりの被毛をかき分けて、皮膚に薬剤を滴下するタイプ。使いやすく動物も比較的嫌がらず、乾けば舐めても大丈夫なので、体に負担もかかりません。
成虫の駆除に効果的で、卵の孵化も阻止できるタイプのものもあります。
全身に噴射して使用するタイプ。即効性があり、乾けば舐めても大丈夫です。
すでにノミがついてしまっているような状態に使うことが多いものです。
犬の体だけでなく、室内やケージなどにも使うことができます。
成虫の駆除に効果があります。
投与後30分でノミが落ち始め、4時間でほぼ100%と速やかな駆除効果を有します。成虫を駆除すると同時に、ノミの卵やサナギの成長も阻止する薬。
ノミがいなくても飲ませておけば、予防になります。
マダニにも効果があります。
ノミはとてもすばしこく、捕まえるのはとても大変です。
毛をかき分けるそばから、見えないところにひらひらと走っていくノミのスピードはなかなかのものです。
手で取ってつぶしても、捕まえられているのはごく一部だと思った方がいいでしょう。
メスのノミは犬や猫の体表上で1日に最大約50個もの卵を産み、それらの卵は体表上からすべり落ちて周囲に落ちます。
周りにまき散らされるわけですね。
またノミは一生をペットの体表上だけで過ごすわけではありません。 例えば体表上に5匹のノミを見つけたとすると、動物の寝床やお気に入りの場所などペットがよく過ごす環境には95匹ものノミの卵、幼虫、サナギといったノミの予備軍が潜んでいるとされています。
つまり、成虫は捕まえられても、それよりずっと多い数の卵や蛹や幼虫が潜んでいるわけで、手で取ってつぶしてもあまり意味がないように思います。
またノミの体の中には「瓜実条虫」というお腹の寄生虫の幼虫が入っていることがあります。 体についたノミを毛づくろいなどでなめとり、瓜実条虫の感染が成立します。 瓜実条虫が感染すると、小腸にくっついて成長し長く伸びます。ある程度の長さになると千切れて、肛門から出てきます。これは瓜実条虫の片節といって体の一部です。出てきたばかりの時はアメーバの様に動きますが、 暫くすると一見、白ゴマのような白くて小さな粒が、ぱらぱらとつくことになります。
この中には卵が入っており、これをノミの幼虫が食べて、成長すると瓜実条虫入りのノミになり、また感染の輪が広がる、ということになります。
ノミがついてしまった子は同時に条虫の駆除もしなければならないのはこのためです。
またノミをつぶすことで爪についた幼虫を人間が口にしてしまい、人にも寄生してしまう危険があるので手でつぶさないでください。
よって犬や猫がよく過ごしている場所や歩いている場所にはどこでもノミがいる可能性があり、一度家の中で繁殖すると駆除は非常に困難になります。掃除機をマメにかけるなどしてこれらの場所を常に清潔に保つことが大切です。
マダニは草むらにひそみ、お散歩のときに顔周りにくっついて寄生します。 よく「マダニがいても自分で取っちゃうから平気」という飼い主さんの話を聞きます。 実はマダニは、顔の周りやお腹の皮膚の柔らかい皮膚、口から出ている突起を差し込んで食いつき、頭をめり込ませるようにして固定しています。 むやみに引っ張って取り除くと、皮膚の中にその突起の一部が残ってしまい、ひどい皮膚炎の原因になることがあるほどです。 実際に残ったままになり、いつまでもぐじゅぐじゅと化膿していたりすることもあります。 またマダニは唾液腺の中にバベシアという原虫を持っていることがあり、吸血されると、犬に感染することがあります。 バベシア原虫が感染する動物には、犬、牛、馬、山羊、羊、鹿、齧歯類(マウス、ラットなど)、猫科動物、象などがあり、身体の弱った人にも感染することが知られています。
主な症状は発熱および貧血で、動物によっては血小板減少症や血色素尿、ひどい場合には脳の血管に感染赤血球がつまって脳炎を起こす場合もあります。
バベシア症は、熱帯地域、亜熱帯地域を中心に世界中で発生が観られ、犬に発生した場合は再発を繰り返し、治りにくい病気なのです。 ダニがついているのを発見したら、 動物病院で突起ごととってもらうようにしましょう。
「うちの子は、こまめにノミ取りシャンプーしているからノミなんかいない」そういう方もいます。でも、ノミは毛の根元で逃げ回っています。 シャンプーをしていても洗いにくい頭部などに逃げてしまい、完全に駆除するのはとても困難です。 それにシャンプーのノミ駆除の効果は、その場限りです。駆除成分は皮膚にずっと残るわけではないので、お散歩でまたついてしまうこともあります。一度感染した、ということはその子がいる環境中にノミの生活環があるということなのです。
ノミやマダニは、動物が発する振動や熱、二酸化炭素を感知してすばやく飛びついてきます。たとえ洋服を着ていても、ペットの足や顔から毛の奥に入り込み、皮膚の柔らかいところやペットの口が届きにくい背中などに移動してしまうので、彼らの寄生を完全に止めることは不可能です。 また「うちの子はほとんど外に出さないから大丈夫」という声もよく聞きますが、飼い主さんは外に出るわけですから、靴の裏などについて卵や蛹や成虫が家に持ち込まれ、実は室内でノミが寄生する可能性のほうが高いことが最近になって知られてきました。
アロマやハーブの香りはあくまでも「近づきにくくする」というだけで、完全な予防対策にはなりません。また、ついてしまったノミなどを駆除することはできません。
あらかじめノミ駆除剤を投与していても、ノミ駆除剤にはノミが付かないようにする忌避効果はないのでノミのいる環境での再寄生を防ぐことはできません。 単純に継続した予防を行うことが一番再寄生を防ぐ効果的な方法なのです。
寒くなってきてノミやマダニが目に付かなくなると、予防対策をやめてしまいがちです。 実際マダニを目にするのは秋ぐらいまででしょうか。最近お目にかからないなぁ、と思うと秋の気配を感じます。
ただし、ノミに関しては私は、12月にノミに大量寄生され、白いトイプードルがグレイになっているのを、見たことがあります。 飼い主さんも刺されて、大変な状況でした。 診察室でもはねて逃げる姿を確認して、二人してぞっとしたものです。
ある報告では、真冬に動物病院に来院したペットを調べてみると、犬の10頭に1頭、猫の5頭に1頭の割合でノミの被害があるとされています。 気温が13度以上であれば、夏冬関係なく卵から成虫までのノミのライフサイクルが繰りかえされるので、ノミは特に通年予防が必要だと感じています。 現代の私達の快適な住まいは常春の環境で、ノミやマダニにとっても快適であり、たとえ真冬でも十分増殖することができる環境なのです また夏に比べて冬場はノミの数が少ないかもしれませんが、ノミアレルギーなどが起きる場合、一匹の寄生でもひどい皮膚炎になってしまう可能性があるのです。
ですからノミ・マダニ対策は1年を通して行うことがとても大切です。
ホームセンターなどで「ノミ・マダニのお薬」と名前がついているものは『医薬部外品』と書いてあります。そのような市販薬の効果には限界があり、持続時間もそう長くはありません。さらに、雨に濡れたりシャンプーをしてしまうと、効果が低下してしまうものがほとんどです。
実際使われている方が、予防しているのに、また付いた、とおっしゃっていて、せっかくの予防の気持ちがダメになっているのを感じると、非常に残念です。
ワクチンもそうですが、ノミ・ダニの予防薬も、予防した方が治療するよりずっと簡単で、負担がないために、開発されたものです。 また一匹の動物が寄生されると、よりほかの子たちの感染を助長することになるのです。 予防することは自分の子だけでなく、周りの子も守ることになる、と思って予防していただけたらな、と思います。
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