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秋の気配とアレルギー
秋の気配とアレルギー

残暑が夏の空気をゆっくりと押し出していきますね。

入道雲の背丈も少し低くなって、空には秋の雲の形が少しずつ見えてきました。

一般的によく言われるいわし雲は、巻積雲という高度5000から一万5000キロメートルにできる雲の俗称で、他にうろこ雲、さば雲などともいわれています。

対して羊雲は高度2000から7000キロメートルの高積雲の俗称です。

実はどちらも一年中見られるものらしいのですが、秋は空が澄んでかなり高いところの雲まで見えるようになるため、目につきやすくなるようです。

また台風や移動性高気圧が日本列島に近づく秋に多く発生するために、目にする機会が増え、うろこ雲や鰯雲、羊雲は秋の季語になっているのだそうです。

どの雲も低気圧や前線が近づいているときに現れるので、雨の気配を告げる雲です。

動物たちとのお散歩の時に目にしたら、ワンちゃん、猫ちゃんたちに明日は散歩に行けないかもしれないことを教えてあげてくださいね。

hr

秋の気配はアレルギーの症状にも。

痒みやくしゃみの症状が急速に出てくるケースが相次いでいます。

特徴は一気に短時間で強く痒みや赤みが出ることです。前日にポチりと出た湿疹が、掻き壊されて翌日に出血することも。

また病院で見ていると同じ週に何頭も似た症状で来院されるので、大気に漂う秋の成分が悪さをしていることを実感します。

また暑さが和らいだせいで、ノミやマダニなどの虫たちの活動も活性化してきました。

蚊も一時期よりも飛び始め、姿を目視することも増えています。

あまりに暑すぎれば虫などの生き物たちの活動性も低下しますが、こうやって過ごしやすくなればゾロゾロと勢いを増してくるものです。

秋はマダニの本番の時期でもありますが、重症熱性血板減少症(SFTS)ウイルスの媒介者でもあります。

日本列島に生息するフタトゲチマダニ、キチマダニなどの体内に保有されるウイルスで、マダニに刺されることで感染します。

潜伏期間は6日から2週間程度で、日本国内では、感染した猫から人へ、犬から人へ、の症例が報告されています。そう、狂犬病と同じく人畜共通感染症なのです。

発熱、消化器症状(嘔吐、吐き気、腹痛、下痢、下血)を主徴とし、時に腹痛、筋肉痛、神経症状、リンパ節腫脹、出血症状が起こります。

大阪で猫から感染した女性が亡くなったことで一時的に注目を集めたので、ご存じの方もいらっしゃるかもしれません。

治療法として抗ウイルス薬のファビピラビルが承認されていますが、恐ろしいのは致命率が全年齢を総合して10から30%程度もある病気だということです。これは新型コロナウイルス感染症の90代以上の致死率が2.6%であることを踏まえるとずいぶん高いと言わざるえません。

新型コロナウイルス感染症や狂犬病などと異なりワクチンもないため、予防するにはマダニに刺されないことで間接的に守っていくしかないのです。

SFTSに関しては、主に西日本を中心に広がってきましたが、近年の気温上昇により、東日本でも報告が一気に増えてきました。

またコロナ災禍が明け、人と動物の国内での移動が活性化してきたことも、原因の一つだと思われます。人と共に移動するのは虫も病気も同じで、今後は東北地方にまで広がっていくことが懸念されています。

SFTS自体は随分前から注意喚起が行われてはいるのですが、コロナ災禍などにより、感染症への意識が高まったことを受け、多くの人たちが予防医療への関心を持ってくださっています。これは本当に嬉しいことです。

近年はノミ、マダニの予防薬も飲み薬、つけ薬など色々な形態も増え、予防の効果も一ヶ月だけではなく、三ヶ月も続くものもあります。

またフィラリアのお薬と一体型になっているものもあり、選択肢の幅が広くなっています。

予防薬は病に先手を打てるお薬です。いわば攻めのお薬、ですからわんちゃん、猫ちゃんのタイプに合わせて薬の種類を選ぶことが、負担なく予防を続けるポイントです。

今使っているお薬が合っていないと感じたらぜひ動物病院で相談してみてくださいね。

hr

秋を迎えまた一つ季節が巡りました。

体も心も変化しやすい時ですので、なんだか変だなと思ったら、素早く来院しましょう。

2024-09-10

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