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判断ではなく正しい診断を
判断ではなく正しい診断を

お盆休みもあけ、夏の暑さに身体が馴染んできた頃でしょうか?

一時期の熱中症ラッシュも終わり、ジャンボどうぶつ病院では、わんちゃん、ねこちゃんともに現在は便秘症例が多くなっております。

外でしか排泄しない犬たちは、どうしても暑さを避けて散歩に向かうため、いつもの時間帯、長さでのルーティンでの排泄ができないケースが多いのです。

結果的に排泄を我慢してしまうことになり、出てはいるけどじゅうぶんな量ではない、隠れ便秘になります。

また室内で空調を使用しているため、のどの渇きをあまり感じず水分不足になっている猫たちにも多く見られる症状です。

こればっかりは仕方のないことなので、通常であれば見守りますが、吐き気や食欲不振の場合はお薬やサプリを使いますのでご相談ください。

これは排尿にもいえることで、おうちの中でできない場合、長時間おしっこをがまんしてしまうため、膀胱炎になってしまうケースも散見されます。

また空調の効いた部屋の中では飲水量も減るので、どうか積極的にお水を飲ませる努力をして下さい。

これも口でいうはやすし……、なのであまりに飲まない場合は治療対象となりますので、遠慮なくご相談ください。

夏の暑さが我々が経験したことないレベルになっているのは、人間としても実感していることですが、これは動物たちにとっても同じことで、今後これまでになかったような病態や症状がでてくるのは避けられないと思っています。

昔だったらありえない、そんなことはないはずだ、という経験則はあまり役に立たず、もしかしたらあるかも?という目で見ていく必要があるのだと思います。

気候変化は今後も私たちと動物たちに大きな影響を健康に及ぼし、それに伴う病態の変化も常に起こり続けるでしょう。

hr

昨今、マダニの感染とそれに伴うSFTSウィルス感染が一気に東日本から北日本で増えてきていますが、マダニが単独で北上した、というよりも野生動物たちの生活環境の変化により運ばれてきた可能性が高いと考えられます。

視野を広くすれば野生動物たちの行動変化も気候や環境変化の影響を受けているため、それに伴う寄生虫や感染症の暴露頻度は、都心部でも増えていくことでしょう。

アーバンベア問題なども盛んに取り上げられていますが、人と動物の距離が近くなればなるだけ、今まではなかった問題が顕在化してくるのは仕方のないことです。

だからこそ、今の段階で予防できるものはきちんと予防し防護を固めることで、自らとわんちゃん、ねこちゃんを守る行動をとりましょう。

hr

常日頃からお話していますが、情報化社会どころか、情報過飽和社会の現代、スマホひとつで玉石混交の情報が手に入ります。

なかには一部の極端な意見や曲解された情報が一人歩きして、あらぬ恐れや誤解を広めている様子もよく見られます。

恐ろしいのは専門家であるはずの立場の人たちにもそれぞれの考え方に差があり、専門外の一般の方々からすると何を信じればいいのか分からない状況がとても多いことです。

この場合、ファクトチェックを人工知能に任せられるだけの信用が、残念ながらまだありません。

人間自らがその正しさなどを見極めていかなければなりません。

でも人はコンピューターではないので、多すぎる情報はたいてい脳に過負荷をかけてショートさせるばかりになってしまい、最悪、心が病む結果になります。

そんなときはまず、かかりつけの動物病院にいって、悩みや疑問を獣医師に対面で話してみてください。

少なくともChatGPTよりは、正確で現場に近い意見を聞くことができます。

毎日、病気に向き合い治療を行う職業の人間と話すことのほうが、飼い主さんの不安を取り除き、ずっと心安らげることにつながると思います。

昨今の傾向として、ネット上で調べることに慣れてしまうと、病院に来るよりも先に、飼い主さん自ら『診断』をしてしまうことがあります。

先日もコラムを読んでくださった飼い主さんから、

「うちのこはこういう病気だから、この薬を使ってほしい。コラムにここはその薬を持っていると書いてあった」

とお電話がありました。

聞いてみると、まだその病気で他の病院含めどこにもかかられたことがなく、『診断』を受けていらっしゃいませんでした。

ネットで調べた、これだと思う、というご自身の『判断』とのことでした。

ということは。

限りなくその病気が疑われるけれど、実際には専門家が『診断』しているわけではないので、

誤った『判断』をしている可能性があります。

当然お電話だけで正しい『診察』と『診断』ができるはずがないので、

一度診察をした上で、そのお薬が使えるかどうかを相談しましょうとお話しました。

最近こういったご相談が増えています。繰り返しになって申し訳ないのですが、一度もその動物を診もせずに診断をすることは基本的にありません。

実際に目で見て、必要な検査を判断して行い、結果をもとに診断をおこないます。

もし、お電話だけで診断をするような獣医師がいたら、それはとてつもなく無責任な行動です。

どれだけわかりやすく見える症状でも、隠された病があることなんてざらにあります。

専門家である我々獣医師が診察してすら、うまく病気を隠されてなかなか真理にたどり着けないことが普通にあるのに、一般の方々がネット情報のみで判断するのはあまりに重責であると思います。

万が一、自己判断で勝手に診断し、勝手にお薬を買って、勝手に服用させ、それがもとで死んでしまったら、その責苦は飼い主さん自身を一生苛むことでしょう。

そんな重責を飼い主さんたちが負う必要は、全くありません。

きちんと病院にいき、診察をうけ、診断を受けていただくのが、動物たちと飼い主さんにとって最も最適な答えだと思います。

hr

病院はまだフットワーク軽く来るにはハードルが高い場所かもしれません。

でも、そこまで構えずとも、散歩の途中やお買い物の途中でちょっと立ち寄って、相談したいんだけど、と気軽に声をかけていただける病院にしていきたいと思ってこのジャンボどうぶつ病院をつくりました。

どうぞあまり構えず、ほんの少しだけ勇気をもっていらしてみてください。

考えているよりもずっと、来院することは簡単だと感じられると思います。

それが動物たちと飼い主さん達の幸せな生活につながる第一歩です。

誰も怒りませんし、誰も噛みつきませんので、安心して来てみてくださいね。

スタッフ一同、いつでもお待ちしています。

2025-08-21

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