動物病院HOME < 院長のコラム < アレルギー治療の変遷
あれだけ続いた酷暑が和らいで、秋の気配をうっすら感じることができるようになりました。
朝晩の気温が下がっているのが、外に留めておいた車に出勤で乗り込むときにわかります。
真夏の時分は、車のドアを開けると中は温室どころかオーブンの様相を呈していて、乗るのを躊躇してしまうくらいでした。
むしろこの暑さを利用して、オートクレーブがわりに何かを殺菌できるのでは?と思うほど。
車内空調をつけても出てくるのは熱風で、むしろ余計に暑さが増し、病院までの出勤時間ではまったく涼しくならない。なんの拷問かと思うほどの暑さで、これは数分乗っているだけで熱中症が起こっても仕方ないと思いました。
よって、後部座席に乗るガヴリエルのために、出勤時間よりも少し早くエンジンをかけ車内を冷やし、保冷マットやら保冷剤やら扇風機を三台もつけて用意をする日々。
ようやくそれに終わりが見えたように思います。
ただ夏に引き続き、秋になると体調を崩しやすいのも事実です。
この時期は台風やそれに伴う豪雨、雷などが発生し、動物たちの中には大変なストレスを受けることもしばしばあります。
気圧差が大きかったり、1日の中で寒暖差が大きいと、お腹の調子が悪くなったり、発作などの既往症がある場合はおこしやすくなったりします。
また長引いた暑さの後遺症なのか、心臓や呼吸器のトラブルも増えます。
特に12歳以上のハイシニアの子達にはこの傾向が顕著で、数年前はお薬などで持病をコントロールしていた犬、猫たちが九月から十月にかけて、まるで力尽きたように旅立っていってしまったことがあります。
病状が悪化した、というよりもゆっくり弱って来ていたけれどここが限界、といった様相でした。
今年は六月後半から猛烈な暑さが始まり、例年よりも高気温状態が長く続きました。
これだけのストレスがかかり続けていれば、暑さに慣れた体が待ちわびた涼しさにびっくりしてしまうこともあると思います。
また九月後半からはブタクサ、ススキなどの秋草のアレルギーが始まるタイミングです。
これに伴い、涙が増える、鼻水が増える、くしゃみが増える、耳がかゆい、手足を舐める、肛門を気にする、などの症状が顕在化して来ます。
春に乗り切ったアレルギーですが、ここで二層性のピークが来ますので、例年秋のアレルギーと戦う飼い主さんたちは慎重に見極めて適切な投薬や治療を受けましょう。
これは個人的感覚ですが、春よりも秋のアレルギーの方がこじらせる子が多い気がします。
自分自身がこの時期に金属アレルギーや咳喘息をおおこしやすいせいで、神経質になっているのかもしれませんが、なんとなく乾燥の冬に向かっているせいか、なかなか治りづらい気がしています。
ただ投薬ではなく、抗体医薬を用いた新しい治療方法を導入しているケース関しては、むしろ春から初めて秋にはだいぶ落ち着いている犬が多く、例年あれだけ投薬しなければならなかったのに、今年は随分楽だ!とおっしゃる飼い主さんが多いです。
アレルギー治療はこの10年ほどで全く内容が変わって来ていて、その変遷をリアルタイムに感じているのですが、時間はかかっても抗体医薬による治療が今の所最も効率的で負担がかからない治療だなと思っています。
じわじわ効いて来て、長く使うほどより効果が高まる、というのは実はなかなか薬としてはレアなものです。
もし毎年投薬でコントロールしていたとしても、それが生きている限り続くのであれば、少しでも体に負担が少ない方法を試していくべきだと思います。
当然思った効果が得られないこともあるのですが、それも発売当初よりもずっと効いている実感があります。
おそらくジャンボどうぶつ病院では、今後もより主軸の治療法として選択していくことになるかなあと思っています。ステロイドの副作用に怯えながら使っていた時代と比べると雲泥の差の安全性。
いや、本当にいい時代になりましたね。
たゆまぬ科学の努力が、目の前に立ちふさがっていた病という大きな岩壁を少しずつ少しずつ穿って穴を開け、新たな治療法や薬を生み出してくれるのです。
それまでは途方も無い失敗が繰り返されるのですが、その全てが未来の成功の糧となっているのですね。
それは我々の日常生活も同じことで、毎日積み上げる少しの努力や意識が、その先の自分の未来を明るくしてくれるものなのだと思います。
そうと信じて、これからもできることをコツコツと愚直に頑張って生きたいなと思います。
2025-09-24
「うちの子の様子がおかしい?」「狂犬病の注射を受けさせたい」「避妊手術はいつすればいいの?」など、お気軽にご相談ください。
tel03-3809-1120
9:00~12:00 15:30~18:30
木曜・祝日休診
東京都荒川区町屋1-19-2
犬、猫、フェレットそのほかご家庭で飼育されている動物診療します