早いもので今年最後のコラムとなりました。
秋を通り越した冬が急にやってきて、病院のガラスの扉越しに見る人々の装いが追いつかないのか、ダウンジャケットにジャンパーにトレンチコートにジャージと多種多様を極めています。
衣替えのタイミングが不明のまま、毎年この時期に慌ててセーターを出す私も同じ気持ちです。
クローゼットのダウンジャケットを慌てて引っ張り出したのですが、その日に限って日当たりが良いところではめちゃくちゃ暑くて、一人サウナ状態でした。失敗。
さて、最近のマイブームなのですが、動物たちの歯磨き粉について。
今までいくつかのメーカーのものを使用し、最も使用感が良かったものを使っていました。
ほとんどの子が喜んで食べてくれ、塗るだけで口臭が少なくなるペースト状のものですが、なんと少し前に廃盤になってしまいました。
リピーターも多い人気の製品だったのです残念です。
メーカーさんも頑張っていてくれたのですが、歯磨きってワクチンなどと異なりまだ全体として取り入れている方が少ないのが現状なんですよね。
それでもかつて私が新卒だった太古の昔に比べると意識してくださる方が増え、歯に関してなんらかのケアをしている方の割合は増えてきました。
が、そもそも口の中は動物にとって急所です。基本的にはいじられたくないところなので、幼い頃から慣らしていない限り、基本的に抵抗される処置なのです。
ですから当然、飼い主さんが行うケアの中で難易度は最高だと思います。
口腔内スプレーはできるけれど、歯ブラシは入れられない。
歯磨きガムは食べられるけれど、歯磨きシートは噛みつきに来てしまって無理。
そもそも口周りを嫌がって触らせてくれない。
などなど、お家でシャンプーや爪切りができるお利口さんでも、歯磨きができるのはとても珍しいことです。
歯磨きは
などの理由で嫌われがちです。
そもそも口腔ケアは綺麗なうちから始めるのがコツ。
口内炎などですでに痛い口に、いきなり飼い主さんが気合を入れて歯ブラシを突っ込んだらお互いに大怪我をするかもしれません。
そもそも、口になにかを入れることに慣らしてからではないと、もはや恐怖、むしろ拷問です。
よって小さい頃から口を触ることに慣らしておく、というのが一番やりやすいのです。
具体的には、
要するに口周りを触ることがコミュニケーションの一環であり、楽しいこと、褒められること、嬉しいことである、という認識に変えていかなければならないわけです。
すぐにううまくいくわけではないのでコツコツ、じっくりと。
そうして触られることが楽しいことになってから、歯磨き粉を舌で舐めてもらう。
気に入った味だったら、自ら舐めてくれます。
そうしたら今度は舌に少し乗せてみる。
もっと欲しいという様子にいなったら歯茎に少し塗ってみる。これに慣れたら歯ブラシに塗って歯ブラシから舐めてもらう。
自ら噛んでくれたりすればこっちのもので、噛ませるに任せて味を楽しんでもらいます。
そうして口の中に歯ブラシが入ることになれたら、歯ブラシを歯に当ててみる。
前歯を一本磨いてみる。
それでも嫌がられなければ、二本、三本、と増やしていきます。
奥歯は最後ですね。
奥歯まで磨けたら歯の内側にもアプローチします。
どれもポイントは長くやらないこと。一回五分以内で短く。
たくさんできることがいいのではなく、慣れるために行なっていることをお忘れなく。
そして少しでもできたらいっぱい褒めてあげてください。しつけ用のおやつをあげてもいい、それこそ歯磨きガムを使ってもいいとおもいます。
大切なのは毎日行うことですが、現代の日本人はそんなに暇ではありませんので、どうか無理なくゆっくりでいいのでコツコツと積み重ねてくださいね。
お話が戻りますが、ようやく!満足できるほどの歯磨きペーストで嗜好性がとても良いものを手に入れました!
新しい製品なので、開発してくださった方に感謝しかありません。
院内での歯磨き処置で使ってみたところ、ものすごくみんな喜んで食べてくれます。
むしろほしすぎて、チューブを持って移動するとついてきてしまうほど。
犬用、猫用両方ともたいへん美味しくできていて、少し苦手な処置が楽しいおやつ時間にできそうです。
封を開けると冷蔵庫で保管しなければならないのですが、気になるカロリーもかなり低めですし、サイズも小さく使い切りがしやすい、応じて値段も低めです。
研磨剤は含まれていないので、歯こうの除去力は低いのですが、歯磨きデビューを考えていらっしゃる方には頼もしい味方になってくれることでしょう。
この歯磨きペーストに慣れたあと、研磨剤入りのものなどにレベルアップすれば、スムーズに歯磨き上級者になれそうです。
お口のトラブルでお悩みの方は、ぜひご相談くださいね。
そして、改めまして今年一年も本当にお世話になりました。ジャンボどうぶつ病院としても、獣医師としても、たくさんの方に支えていただきました。
来年もこれまでと変わらずに、飼い主さん達と共闘戦線をくみながら、動物達の健康と幸せを叶えるために努力を重ねてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
2024-12-30
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