2月も半ばを過ぎて寒さもひとしおですが、日によって急に気温が上昇する時もあり、体調を崩しやすくなっているとかんじます。
一冬かけて気温の低さに慣れた体に、妙に温かい日があると体の温度センサーがバグを起こすのでしょうか。
今月にはいってからはお腹を下したり、吐いたりする犬猫が一気に増えました。
おなかは気温の影響をかなりうけるので納得の結果ですが、それでも「マーライオンのように吐きました」
「噴水のように下痢しました」
という割と派手な症状に驚くこともしばしば。
なかには一般的な消化器症状にとどまらず、その奥に深刻な病気を隠していたケースもあり、目で見てわかる症状として出してくれた動物たちの緊急コールをありがたい、と思うのと同時に出してくれない場合について考えざるをえませんでした。
出してもらえない大抵の場合、主訴は基本「今朝まで元気でした」「昨日まで普通でした」「さっきまで散歩をしてました」です。
そして症状はかなり深刻に進んでいることもおおく、診察を経て実際の現状をお話したときにご家族の受けるショックは計り知れないものがあります。
なかには取り乱されパニックになることも少なくなく、お伝えするときは慎重にゆっくりとお話するようにしています。
それでもその時点では受け入れられない場合もあるため、数日日を開けて再度来て頂く場合もあります。
残念ながらその後に来院していただけないケースもあり、どうやって説明していたらよかったのかな、と思うこともあります。

少し前のことですが、10か月齢の子犬がうまく座れない、ということで来院されました。
歩かせてみると明確に左の後ろ足を挙上しています。
症状は今朝からで、朝ごはんをあげようとしたらいつも器の前で座って待つのに、立ったまま困ったように飼い主さんを見つめていたとのことでした。
足を痛めるような心当たりはまったくなく、昨日の夜には普通だったとのこと。
夜はケージに入れていて、朝、部屋の中へ出すそうです。
レントゲンを撮影したところ、股関節の坐骨という部分が完全に折れていました。
この場所は代謝性の疾患などで骨がうまくつくれなかったり脆かったりする以外は、交通事故や転落など強い衝撃が加わった場合に骨折することがあります。
また折れ方をみると、自然に骨折する位置ではなく、明らかに何か外力が加わって折れたと考えられました。
手術が必要です。
結果をお伝えすると飼い主さんは泣きだしてしまい、パニックになりました。
何度も心当たりがまったくなく、どうしてこうなってしまったのかわからない、どうしてこんな事になってしまったのか、と繰り返しています。
わんちゃんはケロッとした顔をしている分、事態の深刻さとのギャップに非常に苦しんでおられました。
しばらく飼い主さんと一緒にわんちゃんとの生活を振り返ってみてわかったのは、昨日まで友人の家に長期で預かっていてもらっていたこと。
今までも何度も同じお家に預かってもらったそうです。
また飼い主さん以外にはおうちにはパートナーがいらっしゃること。
飼い主さんだけがそのわんちゃんに関わっているわけではない、ということがはっきりしたところで、再び泣き出してしまいました。
「なにもわからない、どうしたらいいんだ」
と泣いてらっしゃる姿には言葉もありませんでした。
今すぐにどうするのかはとても考えられない状態でしたので、一度お戻りになって改めて来ていただくようにお話しし対症療法をとりました。
残念なことにその後連絡はなく、そのわんちゃんがどういった経過を辿ったのかは不明です。
このケースの場合、飼い主さんだけがわんちゃんの管理をされていない、という時点でわんちゃんの経過の把握が困難になっており、おそらく一番飼い主さんがはっきりさせたい「どうしてこうなったのか」を明らかにするのには、取り巻く環境の人たち全てに聞き取りをしなければならず、かなり気をつかう状況になることは避けられなかったでしょう。
本来であれば起きてしまったことは動かせない事実として、これから先をどうしていくかを話し合う必要があるのですが、こういったケースでは未来に意識を向けるよりも往々にして過去に囚われてしまうことが多くあります。
今回に限っていえば、骨折の仕方があまりにも外力変化によるものであったため、心当たりがないという状況は非常事態であり、獣医師の立場でもさまざまな可能性を含めて考えなくてはならず、苦しい診察となりました。
そうしてまた一人、大反省会を脳内で繰り広げたわけですが、ここで一つ皆さんによくご理解していただきたいことがあります。
冠婚葬祭をふくめ、飼い主さんたちが動物たちを置いて外出したり旅行に行ったりすることは珍しくありません。
その際に、よくあるのはペットホテルを利用するという選択肢ですが、これもホテル専門に預ける場合、トリミングショップなどに併設されているものを利用する場合、また当院のようにホテルを行っている病院を利用する場合などがあります。
それ以外に、ご友人や御親戚、ご家族などにお預けする選択もあると思います。珍しいケースではトリマーさんやドッグシッターさんのお店ではなく個人宅に友人として預かってもらう、などもあるようです。
前者は金銭のやり取りがあり、怪我や病気の際にどうするのかなどの取り決めがきちんとなされていますが、後者の場合は善意で行われるため、報酬などは取り決めがなく、また逆を返すと責任などはありません。
ですから預かってもらっている間の不調や異変、事故などになにも保証がありません。
そもそも不調に気づかない場合もあるでしょうし、起こった全てを記録してくれるわけでもありません。

以前あったケースでは、預かってくれた方の室内で自由に生活。
その時に異物を食べ中毒を起こしていたのですが預かっている先ではわからず、家に帰ってきてから様子がおかしいと思った飼い主さんが来院されて発覚し、そのまま2週間入院になってしまったのも見たことがあります。
また預け先で跛行があり、預かった方がかかりつけとは別の病院を受診。
そこでは捻挫と判断されたのですが、家に帰ってきてから悪化しあらためて来院、骨肉腫の診断をしたこともあります。
なにがいいたいのか、といいますと、きちんと契約を結んで金銭の授受の上に成り立つホテルは、なにが起きても責任の所在がはっきりしているのですが、個人間の好意をもとにした預かりでは、なにが起きても不思議ではないし、事故が起こってしまうこともあると覚悟しなければならない、ということです。
恐ろしい話で申し訳ないのですが、正直こういったことがあったあと、交友関係や家族関係がギクシャクしたり、トラブルになったりすることがあります。
そういったメリット・デメリットをよく考え、預ける先を判断していただければと思います。
預けるのであれば、最低でも、かかりつけ医の場所、日常で飲んでいる薬や、ワクチンやノミ・マダニなどの予防歴、保険証の確認、緊急の場合に誰が対処するのか、などをあらかじめ決めて伝えておき、無用なトラブルの種は避けましょう。
そういったことで絶対に気まずい関係になりたくないのであれば、プロを頼ったほうが良いと思います。
ですが人気のある病院でのホテルはじつは病院開業資格とは別に資格を取っていることもあり、基本的に動物病院としてはやる必要がない業務です。ホテルをおこなっている病院は、必要があると判断して講習会などに毎年出てらっしゃる先生たちが行っています。昨今、そういった病院の数が減っている、うちは辞めた、という話も聞くことがあるので、かかりつけ医とはよく相談しておきましょう。

さてさて
全く別のお話ですが、ネコの腎臓病の治療薬、AIMの論文が掲載されましたね。
ようやく投薬経路がわかったのですが、2週間に1度、静脈からの投与のようです。
ショットで入れるのか、点滴で入れるのかははっきりしていませんが、また次回以降のコラムで詳しくお伝えしたいと思います。
2026-02-20
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