赤、黄色、茶色と色づいた木の葉が舞い散る季節となりましたね。
公園の背の高い木の、手のひらほどの大きな葉が、一晩でほとんど落ちてしまったのを見て、儚さと勇壮さが混在した美しさに胸が震えました。
モミジバスズカケノキ、プラタナスのほうが有名ですね。一葉が風に吹かれて落ちるにしてもなかなかの重さ、これをすべて身にまとって立っているプラタナスの力強さは、赤毛のアンが女王と呼んだのも納得です。
待望の秋ですがあっという間に冬支度が必要そうな気配もします。

ところで紅葉を見にいく暇はなさそうなので、味覚の秋を堪能しようとさつまいもとかぼちゃをやたらに買いました。
お古でいただいた水なし自動調理鍋を使うと、翌朝にはほかほかのふかし芋やかぼちゃができていて、いい香りが台所中にただよい、大変ほっこりと良い気持ちになります。
出来上がったかぼちゃは、チーズと牛乳を少し入れて大きなスプーンでぐるぐる混ぜると、マッシャーを使わなくてもすぐにおしゃれなサラダのようになります。
これに生クリームを飾れば素敵な一品なのでしょうが、脂質が気になるお年頃なので控えています。
お酒と醤油と砂糖とみりんを入れれば、鍋をみはらなくても美味しい煮物になってくれます。
あの緑のつやつやの硬い皮まで柔らかくなるので、技術の発展とはすごいものだと拝んでおります。
我が家でかぼちゃを食べるのは私ばかりなので、鍋を抱えこんで食べていると、我が家で一番鼻のよいゴールデンレトリバーがまるでサメのように周回してくるので、たまに混ぜ物をしないバージョンをつくり、おすそ分けしています。
結果、あやまった学習をさせてしまったらしく、夜にかぼちゃや芋をセットしていると、隣に座って待つようになってしまいました。
秋の楽しみを2人で堪能しています。

夜にさつまいもをオーブンの自動ボタンで焼き芋に設定すると、朝の寒い薄暗闇の中に香ばしい秋が満ちて、ショボショボと眠い目をこする瞬間に「私には焼き芋がある!」と小さな幸せを感じることができます。
お弁当と朝食の準備をすると、小さな秋のひとかけらはお弁当箱に彩りを添え、代わり映えがあまりしないお弁当の華やぎとなってくれています。
いつもは素揚げで入れるサツマイモですが、この時期は焼き芋をバターでフライパンで炒めたものにして、上から少し砂糖を振っています。大学いももどきです。
ところで、大学いもはなぜ大学いもなのか?という疑問を調べたら、なかなか興味深い記載が。芋の七不思議というほど、正確に由来がわかっていないそうなのです。
大学いもが流行りだしたのは、関東大震災後のことだそうで、昭和の初めの不況の頃、東大生の中でも学費に困っている人がいくらでもいた時代。
安価で供給量が安定しているサツマイモを東大近くの芋屋が上げて蜜を絡めたのが始まりでは、という説が有力なようです。
これは昭和2年に記事が出ているらしいのですが、
それ以外に商品名に大学とつけるのが流行っていた、だとか、食うに困っていた大学生が作って売ったとか、諸説あるそうです。
こんなに身近な食べ物の名前の由来が案外あやふやなのはなんともおおらかで良いものですね。
ちなみに私は大きめのホクホク大学芋も好きですが、浅草の千葉屋さんの切揚げも大好きです。
小さめに揚げられたカリッとしたサツマイモに蜜がたっぷりと絡んでいる、まさに夢の食べ物。
あの小さくするどい切れ端のカリッと感に、とろりとした対象的な蜜が絡んでいるのを想像するだけで流涎が。
小さいころは買ってもらうたびに、食べることを止められても止まらず胸焼けがするほど食べては怒られておりました。ビニール袋いっぱいに詰まった切り揚げ、袋の下にたっぷりとたまる蜜。いつか大人になったら誰にも止められずに食べて見せようと強く決心していたのですが、大人になったら膵臓が悲鳴をあげてやっぱり少ししか食べられないので、切ないものです。
芋栗南京とはよく言ったもので、栗ももちろん大好きなんですが、先日冷凍の栗きんとんを見つけて思わず購入しました。
常から思っているのですが、おせちに入っている栗きんとん、少なすぎませんか?
伊達巻、錦卵に次いで三番目にすきなものなのですが、何せ圧倒的に少ない。
栗の粒は数粒しかない。
そもそも割と渋いラインナップなおせちの具材の中で、ひときわ子供の人気が高いのが栗きんとん。これはもう戦いがお正月から勃発しても仕方ない。
しかし、私はもう大人になりましたので、子供に大人気のおせちの具材を取り合うわけにはいきません。
そう、別途栗きんとんだけを買う!これ一択です。
そうしていつも年末に買い込んでいるのですが、なんと冷凍ものまであるとは!
すごい、今年は栗きんとん大名になって、いっぱい食べるんだ!といそいそ冷凍庫にしまっておいたら、知らぬまに封が開けられ半分食べられていました。
私の栗きんとん!と叫びそうになったのですが、犯人に心当たりがありましたので、取り調べを敢行するとすぐに自白しました。
「美味しかった」
という一言。そうか、美味しかったか、よかった。
また同じものを密かに買って補充しようと心に誓いました。

年末年始は忙しなくて、やらなければならない細々したことの調整があったり、いつもより足早に準備や片付けをしたり、どうにも気もそぞろになるのですが、私にとっての唯一の幸福はなにより食べ物なので、この時だけなぜかとても美味しくなる気がする食べ物たちを、大いに愛でたい、そして食べたいと思います。
お餅は醤油と海苔がいいかな、いやバター醤油かな、砂糖醤油もいいな。きな粉もずんだも捨てがたい。
お雑煮も食べたい、白菜と鶏肉とキノコを入れて、お出汁と塩で、飽きるほどまで。
黒豆に紅白なます、かまぼこに数の子、昆布巻きとごぼう。安定で縁起のいい食べ物たち。
おせちは変り種でお肉のたくさん入ったものもあって、ローストビーフやら鴨のローストやら生ハムに、スモークチキンに、豚の角煮やサーモンやらなにやら、高たんぱく質と旨味の詰まったものを食べるのもいいな。
おっと、年越しそばを忘れてた。生のおそばを買っておいて茹でて食べよう、天ぷらはやはりエビでしょう。でもこっそり緑のたぬきを食べるのもいいな。
深夜の除夜の鐘、テレビから特番のざわめき、なんだかいつもよりもずっとしんとした夜。
カップ麺の蓋をそっと開けて、かやくを取り出して、お湯を注いでかき揚げを乗せて。
少し待ち時間よりもはやく開けて、硬めの麺をほぐしながらすする。
お出汁の味は間違いようもなく胃袋にしみて、つゆでふやけていくかき揚げがハラハラとくずれるのを飲み込みながら、体が温まり巡る血潮の音を聞く。
来年も良い年になりますように。
全ての生きている生きものにとって幸福でありますように。
餓えたり寒かったり痛かったり苦しいことが、なるべくなるべく少なくありますように。
この地球にあるものがすべからく幸いでありますように。
願いを強くかけながら、すする年越しそばは、今年一番の味になりそうです。

さてみなさん、お腹はすいてきたでしょうか?
せわしない時期ですがしっかり食べて、年越し準備と参りましょう。
眠ることと、食べること、なにより大切にしてくださいね。
2025-12-06
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