今月の気温の乱高下には体調を崩された方も多いのではないでしょうか。
実際、動物たちもお腹の症状が強く出て、下痢をしたり戻したりする子が一気に増えました。
世間ではインフルエンザの流行が予想よりも早く始まっていますし、相変わらずコロナウィルス感染症も多く発生しています。
なかにはご家族の中で両方の感染症にかかってしまう場合や、加えて溶連菌感染症やヘルパンギーナなどもかかってしまうケースも出ているのだとか。恐ろしいことに混合感染もあるらしく、巷では感染症の判定キットが足りなくなっているのだそうです。
実際に一部の薬の入手がしづらくなっていることは確かで、オーダーをしていてもなかなか入荷してもらえないこともあります。少しご不便をおかけしてしまうかもしれませんが、他のお薬やメーカーののものなどを使って対応いたしますので、どうかご了承くださいませ。
と、ここまで書いて、え、薬って人間用のものをつかっているの?と疑問に思われた方がいらっしゃるかもしれないと気づきました。
答えは、そうです、人用のおくすりを使うこともあります。
動物用のお薬は、動物薬、略して動薬。人用のお薬は人薬といいます。
ざっくり言えば薬は動物実験やインビトロ(試験管や培養器等に体内と同様の環境を作って行う試験)の実験を重ねたうえで開発され、治験を経て認可が降りるのですが、これには大変長い時間の研究と認可までのコストがかかります。
これは命を守るために使う薬が逆になにかの障害を起こさせてはならないという絶対的な安全性確保が必要なことが根本にあります。
かつてのサリドマイド事件のように、安全性の高い睡眠導入薬であったはずが、うさぎには無毒でも人では催奇形性を持っていたという悲劇もあり、薬は毒の側面も持ちます。
新薬の開発が大変なのはそういう背景があるからですね。
ですから動物に使うお薬であっても、人用しかまだ作られていない、もしくは認可がおりていないお薬や、動物薬があるけれど人薬に対してとても高価なため、コストを抑えるために使わざるを得ないことなどがあります。
あたりまえのことなのですが、人と動物ではその数が違います。お薬の値段は使いたい人が多ければ多いほど下がりますので、数の少ない動物に対してだけ販売される薬は高くなりがちです。
また人に使われる薬に対して動物に使われるお薬の量はとても少ないため、薬のサイズも小さなものになります。小さくても作る手間はむしろ増えるので、同じ成分であっても割高に設定されることが多いのです。
動物薬の方が飲みやすいようにフレーバーがついていたり、チュアブルになっていたりする他、吸収率がよかったり、一日に服用する回数が少なかったりとメリットがあるのですが、長く飲むお薬などになるとそのコスト面での影響が大きくならざるえません。
そこは悩みながらいろいろと調整していく必要があるところです。
人薬、動薬、どちらがいいということはなく、メリットやデメリット両面を考えながら薬って処方されているんだな、と思っていただけたら嬉しいです。
寒さもようやく本番になってきました。年末にかけて皆様の体調管理も大切にされてくださいね。
2023-12-05
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