桜の花びらが道路を埋めて、無機質に見えるコンクリートに可憐な模様を描いています。この季節だけが見せる花模様は、春の始まりと新しい生活を彩る日本の風物詩ですね。
温暖化によって四季の中でも特に春と秋が短くなったと言われて久しいですが、この桜のピンク色に満たされた時間だけは、確かに春がここにあると感じさせてくれるものです。
新しい生活が始まった皆さんは、少しずつ新たなリズムに慣れてきた頃でしょうか?
新しい職場、新しい学校、新しい同僚や同級生、今までのライフスタイルが一新された方も多いと思います。
環境に慣れるのに動物たちでも最低2週間かかりますので、まだ新鮮な驚きに日々を受け止めていらっしゃるかもしれませんね。
そのフレッシュさは今だけのもの。
歳を重ねるごとに変化を受け入れる速度は上がって、色々なことへの耐性がついてくるので、全く考えもしなかった事態に対応する力も知らずに上がっていきます。
かつてはしばらくあとを引きずるような出来事だったことも、自らの傷の癒える速度がわかっているので、そのタイミングをじっと待つことでやり過ごすことができるようになります。
傷の痕跡は当然のこり、それがきちんと癒えるには時間がもっと必要になるのですが、それでも仮のかさぶたができるまでの時間が短くなることは、長く生きる人にとってとても大切なことだと思います。
人間の最も優れた才能は忘却、という言葉が好きなのですが、誰しも苦しい記憶や悲しい記憶を抱えている中で、それでも前を向いて進むためには、忘却の存在は大きいものです。
生々しく血を流し続ける傷を開いたままにして、歩み続けることはできないのですから。
ちなみに基本的に血が止まらなくなる傷というのは、外傷性の場合は動脈が切断されたときに起こります。これは心臓から全身に送り出される血圧がとても強く、切れた箇所から噴水のようにきれいに弧を描いた出血となるので、初めて見た方でも直ぐに判断ができると思います。
普通にころんで足を擦りむいたりするときの出血が静脈から起こるもので、じんわりゆっくり滲むのに対し、動脈出血はとても派手で、これは尋常じゃない状況だ!とひと目にわかるのがいいところですね。
血液は酸素を多量に含み鮮やかな真紅なのですか、正直動脈出血を目の当たりにした方が色に注目できる余裕はないと思います。あっという間に酸化して黒ずみますしね。
血液の20%が急速に失われると出血性ショックという重い状態になり、30%を失えば生命の危険を及ぼすといわれています。
犬たちでみると、血液量は体重✕80ml、体重のおよそ12から13分の1が血液ですので、この半分が失われると死んでしまいます。人のように刃物を使ったりすることない動物たちが動脈出血を起こすのは、交通事故や野生動物との事故、他の犬猫たちとの咬傷などが考えられますが、万が一遭遇した場合は、きれいな汚染されていない布や、なければ手で出血箇所を強く押さえ、直ぐに病院へ向かいましょう。
このとき全力でかなり強く圧迫しないと、吹き出る血液を止められません。
広い面積で抑えると力が分散してしまうので、出血箇所をしっかりと見定め、ピンポイントで圧迫するのが良いでしょう。
しかし通常、動脈に簡単にアクセスできる場所はあまりなく、ほとんどが隠され守られている場所です。また腋窩や膝窩、頸や大腿など以外はほとんどが腹腔内や頭蓋内です。
直接抑えることができない場所のほうが多いのです。
ですから今お伝えした出血の圧迫は、実際はあまり役に立たないかもしれませんが、万が一のこともあります。
出血を見て動揺し動けなくなる前に、反射的にでも押さえ止めるシミュレーションをしておくことは、少しでも助けになるかもしれません。
話がそれましたが、動脈の出血と同じレベルで心が傷ついたときも対処法は同じかもしれません。
強く圧迫し、漏れ出すやる気や優しさ、思いやりやプラスの思考を押し留め、マイナスに偏りそうになるのを止める必要があります。
今、あなたを悩ませ傷つけていることは、あなた自身の視野を狭くし、怒りを誘発し、周りにも悪影響を与えるものです。
それが自分に起因するものでも他人からもたらされたことでも、残念ながら、同じだけ苦しむことでしょう。
それは明らかな事実ですが、それにとらわれている限り、結局苦痛の中から抜け出すことはできません。
その傷を閉じずに出血し続ければ命を落としかねません。
ですからどうか、傷を癒やすことをためらわず、すかさず圧迫して止血し、忘却の才能を持って、次のステップへ思考を進めてください。
そしてそれを理不尽にも妨害するものは、そっと取り除き、なるべく距離を取り、冷静にかかわらないようにするべきです。
春は心の揺れる季節です。頑張ることと同時に自分の心を守ることも大切にしていだきたいと思います。
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2024-04-20
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