動物病院HOME < 院長のコラム < 獣医師が診られるのは
桜の開花宣言が出ましたね。10年ぶりに去年よりもおそい開花だったそうですが、この分なら入学式まで持ってくれそうで、今年は桜の入学式が久々に見られるのではないかなと楽しみにしています。
新年度が始まる季節、不安や期待を抱えて4月を迎えられる方も多いのではないでしょうか。
毎年のことですが、この時期は生きもの全ての心がざわめくものです。
寒暖差も大きい時期なので、動物たちも体調を崩しがち。お腹のトラブルが増えています。大抵は軽い症状で済むのですが、中には重篤になることもあるのであまり悪化しないうちに診察にいらしてくださいね。
気持ちも浮き沈みしがちで、後から考えればそこまで落ち込むほどのこともない瑣末なことに心をとらわれたりすることも多くあります。
そういう時は、一度色々な情報ツールから身を離して、静かに何の刺激も受けない時間を作ってみるのがいいかもしれません。
少し前からおそらく心が苦しくなってしまっている方からのお電話での問い合わせが増えています。
相談内容は一応動物たちのことなのですが、実際に悩まれているのはそういった表面的なことではない場合が多いです。
こちらからは動物の診察と治療について、誠意を持ってお答えするしかないのですが、求められている内容が明らかにお答えしづらいものだったり、判断できかねるものだったりします。
当院ではカウンセリングを重視していますが、それはあくまで診察ができること前提でのお話であり、一方的に飼い主さんから提示された情報だけで、何かを診断し治療内容をお話しすることはできません。それでもなおご希望される場合に、コルセットなどの用具をご用意することはできますが、それも条件をきちんと満たしていただいた方のみです。
残念なことに、こういったご相談のほとんどは「自分のお話を誰かに聞いてほしい」「今のホームドクターに話がしづらい」などが背景にあるようで、こちらが真剣に取り組み時間をかけてお話をお聞きして対応をしても、その後なしのつぶてで全く連絡がつかなくなり、かけた時間も情熱も結果的に無駄になってしまうというケースが多くあります。
ありがたいことにこちらのコラムを読んでくださる方が増えたおかげなのか、こういった問い合わせが年々増えていく傾向にあり、その都度精一杯丁寧に対応してまいりましたが、あまりにも身勝手な言い分や態度の方がいらして、病院スタッフの業務に支障をきたしたり、モチベーションを著しく低下させるようなケースが後を絶たない状況です。
乱暴な言い方を敢えてさせていただきます。電話をかけてこられた方ご自身は悩みを話すことでスッキリし、自己解決なさったのかも知れませんが、連絡すると約束された病院スタッフはじっと待っているのです。当てもなく待ち、ああ、きっと必要なくなったんだな、元気になったんだな、とは思っても、いただいた内容の記録は保管しますし、会話の録音なども保管しておくことになります。我々も人間なのでそれを見るたびに苦い気持ちが込み上げます。
海外のように相談の電話を有料にするつもりは今のところありませんが、電話だから、顔が見えないからと気軽に当院に電話をかけ、良心を踏みにじるような行為はどうかやめてください。我々は電話でのご相談でも、通常の診察と変わらずに真摯で真剣な対応をしています。お電話での約束を反故にすることで、私たちに非常に大きな負担を強いているということをご理解ください。
これはどこの動物病院でも言えることですが、動物病院で働いている人間は、何よりも動物に尽くすことを願ってこの職業を選んだ者たちです。
3Kと言われようが、動物たちに噛まれ引っ掻かれケガをしようが、あまりの過酷さに辞めていく人も多い動物臨床の現場で、必死で心を強く持ち、仕事をしている人たちです。そうでなければとっくに仕事を変えていますし、現に同級生には臨床の現場からすでに離れている人たちも多いのです。
そういった中、目一杯働いている人たちの飼い主さんと動物を助けたいと言う気持ち、どうにかしてあげたいという気持ちを電話という凶器で傷つけ、時間を奪い、モチベーションを著しく阻害し、ひいては何かしらの必要があって来院されている他の飼い主さんたちや動物たちにも大きな迷惑をかけています。
今一度、ご自身がした行動について振り返り、反省していただきたいと思います。今後、当院だけでなく、どこの動物病院に対してもそのような身勝手な振る舞いはなさらないでください。
動物病院は基本的に、動物たちの健康を維持するために存在します。
ですから大雑把に言えば、動物だけを見ればいいはずです。
でも私はそれだけではなく、飼い主様自身の心身の健康も動物たちの健康に強く関わる要素だと思っています。
飼い主様の健康が、心の安定が、動物たちのすべての生活に強く影響し、長く幸せに生きる必須の要素だと思うのです。
ですから飼い主さんのヘルプにはなるべく答えたい、お話を聞き、少しでも気持ちを軽くして差し上げたい、と思っています。
どうか動物も人もみな幸せで健やかであってほしい。それが何よりの願いです。
ですが私が診ることができるのは動物たちだけです。
飼い主様の不調は、しかるべき機関や人、組織に相談をし、ご自身の心身を健やかに保っていただきたいと切に願います。
2024-04-10
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