九月の長雨の影響で全国的に被害がでている今年の秋は、騒々しく始まったように思います。
もう少し密やかに落ち着いて始まって欲しい季節ですが、調べてみると実際は梅雨の六月より、九月の方が降雨量は多いのだそうです。
やはり台風の降らせる雨は規模が違うのでしょう。
今回は身近な携帯電話の、診察への使用法について。
総務省の調べでは24年度末の携帯電話の保有率は94.5%、スマートフォンになると49.5%、固定電話を遥かにこえ、現在では最も普及している通信アイテムと言えるでしょう。
実際に固定電話を引かず携帯電話だけで生活している世帯も多くなっているのだとか。
ほとんどの携帯電話に搭載されている機能として、カメラ機能と動画録画機能があります。
診察で使うのはこの動画機能です。
「先生、この子は咳がずっと止まらないんです、それ以外は元気も食欲もあるのですが」
「いつから始まりましたか?」
「ええと、もう4、5ヶ月になります」
こういった場合、まず飼い主さんに確認しなければいけないのは、飼い主さんが咳と表現されているものが、実は違うものかもしれない、という事です。
咳が主症状である肺炎や気管支炎やぜんそくなどは、四、五ヶ月という長い間、元気や食欲もなくならずに居られる事はあまりないからです。
じつは、咳、という主訴でいらっしゃる場合、往々にして咳ではない物が混じっている事があるのです。
逆くしゃみの様に病気ではないものや、気管虚脱の発作など、咳に見えるけれど実際違う物や、くしゃみだったり、てんかん様発作の部分発作の一部である事すらあります。
ですが診察室では症状が出てくれない場合、飼い主さんに症状の状態を確認するしかない事がほとんどです。
実際にこんな感じですか?と私自身がやって見せる事もあるのですが、なかなかに無理がありますし、実際に起きている事が何なのか、という事を把握しなくては、治療方針が全く変わってしまう事になります。
大学病院に勤務している時に、呼吸器科にわんちゃんが咳が一年以上止まらないという主訴で受診された事があります。
紹介状にも何をしても咳が止まらないのだと、書いてありました。
ありとあらゆる、と言っても良い程の抗生剤やら咳止めやらが使われていて、一体何が原因の咳なんだろうかと、恐々としていました。
そのとき、主治医の先生がパソコンでいくつかの動画を飼い主さんに確認してもらったのです。
「あ!これ、これです!」
飼い主さんが、指さしたのは逆くしゃみの動画でした。
そう、咳ではなく、生理反応としても扱われる逆くしゃみだったのです。
このように診察室のパソコンで、咳やその他の症状を見て頂く事もあります。
前述した咳が四、五ヶ月続いたと言っていたわんちゃんも、飼い主さんに動画を見て頂くとやはり逆くしゃみが疑われました。
いくつか疑わしい症状の動画を見て頂いて、症状を絞り込み、緊急を要しなければ一度その様子をやはり動画で録画してきて頂きます。
それを改めてこちらで確認し、診断をする場合もあります。
もし、これはなんだろうかと思われる症状があった場合は、お家で見られるその症状を動画で撮影して、診察時に見せて頂けると、それが咳かくしゃみか、それ以外なのかの判断が出来ます。
これは診断をする上で非常に有り難い事です。
呼吸器疾患や、常に起きているわけではない発作のような症状では、動画はひじょうに有効です。
最近の携帯電話は容量も大きく、たくさんのデータを蓄積できますので、ぜひとも活用して頂きたいと思います。
2015-09-15
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