動物病院HOME < 院長のコラム < ノミ・マダニの危険性
新年度一ヶ月が過ぎました。忙しなさと新鮮さに満ちた4月、そろそろ新しい生活リズムに慣れてきたのではないでしょうか?
疲れも出始める頃合いですが、まちにまったゴールデンウィークがやってきましたね。
コロナ災禍以来、ようやくの外出規制のない連休かと思います。
基本的にはコロナウイルス自体が病原性を失ったわけでもなく、われわれ人間側が手洗いうがいといった対策を身につけたこと、ワクチンによって重症化を防いでいること、治療の経験が積み重ねられ、医療の体系化がなされてきたことなど、防護を強固にしてきたお陰で得られた自由です。
人の多いところでの消毒の徹底などは、ぜひ忘れずに継続してくださいね。
自然の多い環境にお出かけになることも多いと思いますが、少し前からノミとマダニが一気に繁殖し、数を増やしています。
また蚊の姿もちらほら見るようになってきました。
まだ今年、フィラリア予防薬、ノミとマダニの予防薬を使われていないかたは、お休み前にぜひはじめてくださいね。
じつはマダニの媒介するSFTSは、日本列島の西側を中心に感染域を広げているのですが、とうとう関東圏にまでその範囲を広げてきています。
SFTSは2011年に中国の研究者らによって発表されたブニヤウイルス科フレボウイルス属に分類される新しいウイルスによるダニ媒介性感染症です。
2013年1月に国内で海外渡航歴のない方がSFTSに罹患していたことが初めて報告され、それ以降他にもSFTS患者が確認されるようになりました。
SFTSウイルス(SFTSV)に感染すると6日~2週間の潜伏期を経て、発熱、消化器症状(食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛)が多くの症例で認められ、その他頭痛、筋肉痛、意識障害や失語などの神経症状、リンパ節腫脹、皮下出血や下血などの出血症状などを起こします。
検査所見上は白血球減少、血小 板減少、AST・ALT・LDHの血清逸脱酵素の上昇が多くの症例で認められ、血清フェリチンの上昇や骨髄での血球貪食像も認められることがあります。
致死率は6.3~30%と報告されています。感染経路はマダニ(フタトゲチマダニなど)を介したものが中心ですが、血液等の患者体液との接触により人から人への感染も報告されています。
出典:国立感染症研究所webサイトhttps://www.niid.go.jp/niid/ja/sfts/3143-sfts.htmlより抜粋
発症すれば大変に致死率の高い感染症ですので、何よりマダニの予防が大切です。
よく「うちのこは室内犬または猫だから予防しなくても平気」というお話を聞きますが、とんでもない!蚊にしろノミにしろマダニにしろ、虫たちは人の目なんてかいくぐり、いくらでもその繁殖の機会を狙っています。
実際に生まれてからこの方、病院に来ること以外で外に出たことのない猫や犬にノミやマダニがついているのをみたこともありますし、珍しくありません。
見慣れていない一般の飼い主さんが小さな虫たちにきづくのには、かなりたくさんの寄生数が必要なので、今、あなたの隣りにいる動物にたった一匹の虫が感染していても、まずわからないと思います。
以前、トリミングにいらしたダックスフンドにノミがついていたことがありました。
飼い主さんに連絡して、駆除薬を使用したのですか、「うちのこは今まで一度も予防してなくても虫なんてつかなかったのに!」と驚愕されていました。
嫌な予感がして、「お母さん、体、なにかにさされていないでしょうか?」とお聞きしたらビンゴ!
なんとお母さんと娘さんのお二人が、めちゃくちゃノミにさされていたのです!
少し前から原因がわからない湿疹に苦しんでいたのだとか…。
昨今では一般の方でノミやダニにさされる経験はあまりないように思います。
お腹の虫、いわゆるサナダムシの感染が激減して、その概念がほとんど消えてしまったように。
だからこそ、虫たちが家に入ってくるなんて想像もしないのかもしれませんが、虫たちは虫たちで進化を繰り返し、殺虫剤に抵抗性を持った個体が増えたり、様々な場所から屋内に侵入したり、あの手この手で感染の機会を狙っているのです。
自分が見たことないから感染するはずない、は、あまりに楽観視し過ぎですね。
せっかく質の良い効果的な予防薬がたくさん出ているので、ぜひうまく使って行きたいものです。
春の健康診断のキャンペーンをたくさん利用していただき、ありがとうございます。
現時点でもお腹の中の腫瘍が見つかったり、心臓の異常が発見されたりされるケースがいくつかあります。これ、調べなきゃ絶対分からなかった…!とヒヤリとするものも多く、検査の重要性をあらためて感じております。
4月中の検査予約が早々にうまり、ご迷惑をおかけして申し訳ないです。
GW明けからは検査の予約が少し取りやすくなりますので、ご希望の場合はぜひご連絡ください。
2023-05-01
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