動物病院HOME < 院長のコラム < エスカレートする動物虐待
お盆あけ、全く夏の暑さは和らぎませんが、皆さん体調はいかがですか?
暑さのあまり街の人の気配が昼過ぎ頃から消えるようにさえ感じるのですが、未だに2時すぎくらいに公園でお散歩をされていらっしゃるかなり無謀な飼い主さんとワンちゃんをお見かけします。
先日、公園から出たところでへたり込んでいるワンちゃんを見かけて思わず声をかけてしまったのですが、冷静になって考えたら、普通にこちらが不審者のように見えただろうと思い、反省しました。
昼過ぎから夕方にかけての湿度の高まりと気温の高さは本当に命に関わりますので、どうか散歩や外出は控え、空調は冷房にして、お水はいつでも飲めるようにしてください。
実は今年、熱中症の動物たちが例年以上に多く、入院に至るケースもあとを絶ちません。
どれも室内にいて、かつ冷房の設定温度が高すぎたり、入れ忘れたり、タイマーで切れてしまったりというトラブルです。
かなりの注意喚起がなされていますし、気をつけてらっしゃる方がほとんどですが、事故は起こります。
大体の場合において、飼い主さんたちに「あれ?熱中症かも?」という心当たりがあるのが、熱中症の唯一救いになる点かも知れません。
原因として可能性があること、たとえば仕事に行く時にこのくらいならいいかな?と冷房を切ってしまったとか 冷房をかけていない部屋にいることに気づかず外出してしまったとか、あればストレートにお伝え下さい。
なかには怒られてしまうのではないかと、情報を小出しにされて口ごもられる方もいらっしゃいますが、熱中症を疑って診察を進めるのと、とりあえず吐いてる、なんとなく食べが悪いといった訴えだけの場合では全く検査の仕方がかわります。
可能性があるときはしっかりお伝えくださると助かりますし、初動が速やかになります。
さて、ここから先はとても気分の悪くなる話になりますので、心が弱っている方は読むのをお休みしてください。
直近で病院にいらしていただいた方にはすでにお話していることなのですが、注意喚起の意味も含め書かせて頂きます。
先日、亀の新患の方がいらっしゃいました。
数日前から庭先でケージに入れて飼っていた亀が行方不明となり、必死で探していたとのことでした。
長い間飼っていた子なので大きさもそれなりに大きく、重さも1キロほど。
ようやく見つけたその子は、空き地の片隅で、土に埋められていたそうです。
それだけではなく、4本のうち3本の足が切断され、加えて尻尾と総排泄口という肛門に当たるところも切られていました。
血まみれでそれでも必死で残った一本の前足で土をかいて、体が半分ほど外に出ていたので気づくことができたのだそうでした。
診察の後治療を行いました。あまりの状況にうまく声が出なくなりました。
カラスや猫などに逃げてしまった亀が襲われることはありますが、切断された箇所を見る限り、明らかに刃物を使ったあとがあり、また、亀のサイズと土に埋められていた事を考えると人為的なものである可能性が高いと思われます。
そもそもその子がいなくなった庭先のケージは、脱走の痕跡がなく、きちんと網がかけられ重しもずれていなかったのに、中の餌箱だけが外にだされて、亀の姿が消えていたとのことで、飼い主さんは野生の動物がしたとは思えないとおっしゃっていました。
声も出せず、噛むこともひっかくこともできない無抵抗の亀が、これだけひどく故意に傷つけられたことに、とてつもない怒りと不快と恐怖を感じます。
すでにこの件は飼い主さんに警察署に届けていただき、報告も済んでいます。また保健所にも連絡をしてあります。
こういった事例は報告が重なって初めて対処してもらえることが多いのだそうです。
こんな悲しいことは二度と起こってほしくありませんが、万が一のときはかならず警察署に届けるようにしてください。
動物虐待は徐々にエスカレートし、対人へと対象を拡大していくことは、過去にあった悲劇的な事件等で皆さんがご存知なのではないかと思います。
嫌な話ばかりで恐縮ですが、今年の2月にもさいたま市で猫を刃物で刺して死亡させたことで犯人が書類送検されました。
この犯人は3月に中学校に侵入し、男性教員を、刃物で切りつけたことで殺人未遂の容疑で逮捕されており、こちらは記憶に新しいのではないでしょうか。
動物虐待だけでも十分に罪深く恐ろしい犯罪ですが、それが更にエスカレートしていく可能性なども考えると、こちらはひたすらに自衛に務める他ないと言わざるえません。
少し前にあった、まち針を隠された犬用のおやつがばらまかれた事件や、毒入りのフードが置かれていた事件など、対象が無差別な悪意にも気をつけなければなりません。
お散歩の時間が朝早く、もしくは夜遅くになっているいまは、地面に落ちているものを判別しにくい状況です。より注意深く見ていただきたいと思います。
猫などの大きさになればマスコミやニュースに取り上げられることも増えますが、亀などのエキゾチックアニマルは、よりモノとしての扱いになりやすく、また一方的に加害されても報告になりづらい側面があります。
ですが、傷つけられ苦しんでいるのは同じ命です。
大切にしている家族です。
決して誰かに軽んじられ傷つけられていいわけがありません。
でも、見えないところから悪意に襲われるのであれば、そしてこういった身近で起きれば、私達はひたすらに警戒をするしかないのです。
庭先に誰でもアクセスできるとこに亀やメダカなどは水槽を出されているケースが結構ありますが、少し奥に動かして簡単にはいたずらされないように位置をかえていただいたり、監視カメラや人感センサーのライトなどを設置していただいて、自衛を心がけていただければと思います。
2023-08-31
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