動物病院HOME < 院長のコラム < 春はデリケートな季節
満開の桜があっという間に雨で散る様も、また春めいていて美しいなぁと思いながら、薄紅の花びらがコンクリートに模様を刻むのを見ています。
今年も残念ながらお花見は行けずに、ご近所の桜の花を出勤途中に見るくらいでしたが、白に近い可憐な花が夜道に浮かび上がるのは、なんとも春めいて美しいなと思いました。
春は実際体調不良も多いですし、アレルギーの子達も悪化しますし、気候性でお腹を下す子も増えますし、健康上では良い季節とは言い難いのですが、それでもなぜだか心躍るものがありますね。春の花々の美しさと、心地よい空気と温かさが要因でしょうか。
啓蟄(けいちつ 二十四節気の第3番目。3月5日ごろ。冬籠りの虫が這い出るという意味)というだけあり、踊るだけではなく心ざわめく時期でもあるので、そういう意味でも思ってもみないことで大きくダメージを受けることがあります。なるべく健やかな心持ちでいて頂きたいのですが、転居や転勤、進学や進級など人生の変化が起きる時期でもあるので、仕方ないのかもしれません。
いろいろとデリケートになりがちですが、この季節を越えるとまた落ち着きを取り戻すことができます。
この時節での極端な結論や感情にはあまり振り回されずに、どうか少し日にちを置いて心が落ち着いてから行動されて欲しいなと思います。
いつどんなときでも、気持ちが凪いでいられたらよいのになあとは常に思っているのですが、そうもいかないのが現実です。小さなことで心が揺れたり、傷ついたり。でもそれは誰かを傷つけ返したり、攻撃しても決して解決しないもの。そこに思考力と体力とパワーをとられるのはとてももったいないことです。
哲学の概念ではないですが、そこにないと思えばないことにできるのが我々の脳の特性ですので、上手く活用していきましょう。
春の健康診断がスタートして一ヶ月、思いも寄らない病気が見つかったり、逆に継続していた治療が上手くいっていることが証明されたり、得られる結果に毎日一喜一憂しております。
心が休まらないといえばそうですが、症状が出るよりも早く見つけることができ、適切に治療や予防が出来るのは非常に嬉しいことです。たった一年でわれわれ人間の四歳ぶんも歳をとってしまう動物達ですから、それが出来るのは奇跡のようなこと。
結果として病気が見つかることは辛いけれど、前向きな治療を検討できるのが早期発見の素晴らしい所です。
その先の治療に関してはよく相談をして、方針を決めていくべきでしょう。望まない治療をするべきではなく、かといって最初から諦めるのもまたいいことではなりません。
どうか、どこまで治療したいのか、どのように見守りたいのかを家族全員で考え病気に向き合って下さい。そのサポートをすることに、我々動物病院は努力を惜しみません。
さて、健診とともに予防シーズンが到来し、狂犬病ワクチン、混合ワクチン、ノミ、マダニ予防、フィラリア予防と目白押しです。
今年は飼い主さんから「もう蚊が飛んでいます!」という報告を多数受けまして、あわててフィラリアの予防薬を処方する有様です。どうやら例年よりかなり早く蚊が発生しているようで、これは明らかに気温上昇が早かったせいですね。
花粉に引き続き、蚊にまで襲われる春。
お気づきの方も多いと思うのですが、道に生える草も一気に成長していて、道を歩くと大分目に入るようになってきました。そう、ここにはマダニが動物達が近づくのを今か今かと期待して身を隠しています。
実は静岡県でマダニから感染するSFTSの人の発症報告が来ました。SFTSに関しては、詳しくはこちらのコラム(「ダニ媒介性SFTSの恐怖」「SFTSについての新情報」)で取り上げています。
今回の発症された方は体にマダニの咬傷がなく、どうやら犬や猫などの動物から感染した可能性が高いそうです。
よく報告される、SFTSに感染しているマダニが人を刺す→SFTSが人に感染する
ではなく、
SFTSに感染しているマダニが犬猫に感染→犬猫にSFTSが感染→感染した犬猫から人へ感染する
という経路です。
これは以前あった大阪での死亡例と同じ感染経路であり、非常に憂慮すべき事態です。
マダニからご自身をまもるだけでなく、犬猫をも守らないと間接的に感染してしまうのです。
主に関西以南で報告されていたSFTSですが、とうとう静岡での報告があがってきたことから、
関東圏への感染拡大もこのまま温暖化が進めば十分想定されることになります。
マダニなんて、感染しないでしょ?などという楽観論ではなく、シビアに予防を考えて頂きたいと思います。
すでに予防されている方は継続を、されていない方はもう始めましょう。
今回動画で登場いただいたのは、お薬が好きで毎月病院で食べていくコロンちゃん。ジャックラッセルテリアの男の子です。
春はありとあらゆるものがわき上がる時期です。予防できるものはきちんとしていきましょうね。
2021-03-31
「うちの子の様子がおかしい?」「狂犬病の注射を受けさせたい」「避妊手術はいつすればいいの?」など、お気軽にご相談ください。
tel03-3809-1120
9:00~12:00 15:30~18:30
木曜・祝日休診
東京都荒川区町屋1-19-2
犬、猫、フェレットそのほかご家庭で飼育されている動物診療します