動物病院HOME < 院長のコラム < 春の健康診断キャンペーン
例年よりも一日長い二月もあっという間に過ぎて、2020年ももう二ヶ月経とうとしています。
暖冬の影響を受けて、体の痒みが強まるのが早く、二月に入ってからは如実に皮膚に現れてきました。
同時に飼い主さん達から花粉が飛んでます!という情報も。人もいつもより早く花粉症が出ているようですね。
シーズンオフだった冬場と異なり、まさにシーズンへ突入するアレルギー性皮膚炎、加速的に痒くなることがありますので、お薬や薬浴なども調整していきましょう。
二月下旬、非常に多かった症例はてんかん様発作の重積でした。まれな病態なのに、ここまで集中して起こることが意外です。
発作は大きくわけて、全身に波及し体ががくがくと震えるような分かりやすい、いわゆる発作と認知されやすい全般発作と、一見そうとは分かりにくい、フライバイトのような部分発作に分けられます。
また原因によって先天的な特発性てんかんと、代謝性障害などでおこる非てんかん性発作、脳腫瘍や脳炎などによって引き起こされる症候性(続発性)てんかんがあります。
特発性てんかん発作は初めての発作が三歳までにおこることが多く、大抵一、二分程度で終わりその後けろっとしています。この場合はあまり怖くはありません。頻度に応じてお薬を服用することで七割の子たちは落ち着きます。
しかし、その他二つは病因が別にあるので、発作の治療以外にその治療を行わなければなりません。
単発で起きる発作は問題なくとも、異様に長く続くことは大問題です。
一度目の発作が収まりかけても、終わる前にまた新しく始まってしまったり、同じ一日の中で何度も何度も繰り返し起きてしまうという症状は、命の危険があります。
これはそれぞれ発作の重積、発作の群発といわれる症状で、早急に治療を開始しないと、亡くなってしまうことがあるのです。
例として、初めててんかん様発作を起こしたケースをあげます。
皆さんはどのタイミングで来院しますか?
(1)朝一度見慣れない痙攣のような動きがあり、すぐに収まった。そのままご飯を食べて元気にしている。
(2)三時間ほどたって、また同じ症状が出たがすぐに収まった。収まった後は普通だった。
(3)二時間ほどでまた痙攣があった。さきほどより長いが収まった。ごろごろいってご機嫌でいる。
(4)一時間後にまた痙攣、今度はすぐ収まったが、またすぐに新しい痙攣がつづいた。 落ち着くまでに五分以上かかった。 ご飯を食べお水も飲めている。すこしうろうろとしている。
(5)二時間半後にまた痙攣。すぐ収まりまた痙攣を繰り返している。 おさまってもぼんやりとして動きが鈍い。
(6)一時間後に大きな痙攣。全身がバタバタとしている。その後から体がぴくぴくとして、音や触ることに過敏に反応している。
(7)痙攣が止まらず、ずっとびくびくしてはうまく歩けない。
正解は(2)で、二度目の発作が間をおかず出た時点です。
(1)の時点では、その後に発作が続くかどうかまだわからず、次の発作が一年後かもしれませんので、緊急に来院することはありません。
ただ見慣れない行動や動きがおかしい!とおもったら、まず動画を撮影していただけると、実際の診断にとても役立ちます。これは発作だけでなく、咳やくしゃみなども同じです。
(2)の時点で、一日の中ですでに二回目の発作がでています。これは異常事態です。すぐに病院に行きましょう。なんとなく様子を見ているとどんどんひどくなる可能性があります。
(3)でも遅いですが、まだ間に合う可能性が高いので速やかに来院してください。その際には初めての発作がいつか、何回起きたか、継続する時間はどのくらいか伝え、撮影した動画を見せてください。また既往症なども忘れずに伝えましょう。
(4)以降は全て緊急事態です。助けられない確率がぐんとあがります。
よく発作は火事に例えられますが、この時点では周囲に燃え広がり、消火活動が追い付かなくなっています。脳が一面焼け野原になるのにそう時間はかからず、脳の機能が回復しなくなります。
いくら発作を止める薬を使っても、寝かせる処置をしても、助けられない場合もたくさんあります。
いかに酷くなる前に、脳に損傷が少ないうちに、治療に取りかかれるかが、生死を分けます。ですから例え夜中であっても、夜間緊急病院に迷わず駆け込むべきです。
掛かり付けの病院が開くまで、朝まで様子をみたために、助けられなかったとしたら、どれだけ後悔するでしょうか?
飼い主さんたちが、おしっこがでない、お水ものめない、息が苦しい、舌の色が青い、吐き続けているなどは、緊急でいかなければならないと考える症状の中に、発作も加えていただけたら、と思います。
さて三月からは、こちらは例年通り、ジャンボどうぶつ病院の春の健康診断キャンペーンが始まります。
もっとも低コストで検査がじっくりできる時期ですので、是非ご利用下さい。五月末までは継続する予定です。
血液検査をはじめ、レントゲン検査、超音波検査などが通常よりもお安くできます。
超音波でしか見つけられない異常、レントゲン検査でしか見つけられない異常がありますので、12歳以上のハイシニア期の動物達は積極的に受けましょう。
血液検査は外注検査となりますので、結果がとどくまでに一週間前後の時間が必要になります。
即時結果が欲しい緊急の子には相応しくありませんが、結果をのんびり待つことができる場合は十分です。
年に一回の健康診断は、動物達にとってとても大切です。動物は人の時間に直すと、一年で四歳分の歳をとります。
一年に一回の健診でも四年に一回程度の検査にしかなりません。意地悪な言い方ですが四年間でなくなる人間はどれだけいるでしょうか?
せめて一年に一度は健康状態を確認してみましょう!
血液検査の項目は、全血球検査、生化学検査、甲状腺ホルモン検査、糖尿病マーカー検査、炎症マーカー検査、フィラリア検査(犬のみ)が含まれています。
また腎機能のより特化した検査や心臓病マーカーなどを追加する事が出来ます。
こちらの検査は外注検査といって、外の検査機関に検査をお願いするので、結果が出るのに一週間程度かかります。
これ以外に、眼の検査、心臓と腹部の超音波検査、レントゲン検査、心電図検査なども組み合わせる事が出来ます。こちらは半日検査になりますので、午前にお預かりし、午後にお返しできる日にちを決めて行います。
シニアパックはすべてまとめて調べる検査です。 ジュニア・アダルトパックは、若くてまだ甲状腺ホルモンの問題が考えづらい場合にお勧めするものです。 シンプルパックは、フィラリア検査だけは院内で行い、すぐにお薬を処方してほしい、といった方向けです。
シニアパックは高齢期の猫ちゃん用、ジュニア・アダルトパックは若い猫ちゃん用です。
更に詳しく調べたい場合は 以下の検査を追加することもできます。
特にシニアの動物達では気になる甲状腺ホルモンや糖尿病マーカーなどがはいっているコースもあるので、この機会に是非利用して頂きたいです。
またわんちゃんでは、通年予防ではなく、フィラリアのお薬を冬の間お休みしていた子達は、フィラリアに感染しているかどうかの血液検査が、予防の開始には必要になるのですが、その検査も含まれているコースもあります。
通年予防をしていて、まだ若い子でしたらシンプルなコースで一通りのチェックが出来ます。
ご希望の方はお電話や直接スタッフにお伝え下さい。
どのコースでやったらいいか分からない場合は、どの検査が必要か相談して、その子その子にあったライフステージでの検査をおすすめしています。
トリミングやホテルのタイミングでされる方も多いですね。年に一度の人間ドックならぬ、ドッグドックキャットドックとしてご利用頂ければと思います。
2020-02-29
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