動物病院HOME < 院長のコラム < 注意したい犬用おやつ
ようやく寒さを感じるようになってきました。
街の木々も紅葉が目に優しく、色鮮やかな変化がコロナ災禍で疲れた我々の心を癒してくれます。
秋咲きの薔薇も今年は大きな花をつけ、散ったあとは可愛い赤い実をつけてくれました。
すぐに冬が訪れてしまう事は分かってはいますが、秋らしい高い空の美しさと、からりとした心地よい空気を今は楽しみたいと思います。
とはいえ、東京では連日コロナウイルス感染症の新規感染者数が声高にテレビで連呼され、心穏やかに過ごす事ができにくいかと思います。
本来であれば秋の行楽シーズンであり、そしてこれから年末にかけてクリスマスに忘年会、お正月と心躍る行事が目白押しなはずなのに、何とも切ない物です。
マスクやアルコール消毒はようやく日常に馴染んできました。ですが、それでもまだきちんとしたマスクの装着をせず、鼻を出していたり、ひどい場合は顎に引っかけただけの方すらお会いします。意味のない防護は周りもご自身も不幸にします。
「マスク嫌いなのよね」
「消毒めんどくさい」
「オレはかからないから大丈夫」
これは実際に飼い主さんからお聞きした言葉です。
お気持ちは分かりますが、万が一感染した場合、今の現状を見て頂ければかなり広い範囲の周りをも巻き込む大惨事になります。
どうか、ご自身だけでなく、動物達、ご家族、ご友人、職場の方々、ひいては日本全体、世界全体の公衆衛生のためにどうか辛抱下さい。
ワクチンが定着し、この病気と上手く付き合っていく事ができるようになるには、まだ大分かかります。
たのしい行事はみんな中止になって、延期になって、友達にも会えず飲み会もできない。
辛抱ばかりで辛いのは本当によく分かりますし、同じ気持ちです。
でも、今はどうする事もできないのです。
できるのは、ご自身とまわりの方達を大事にする事だけです。
布マスクはきちんと洗濯と消毒を、不織紙マスクは外したら袋に入れて蓋付きのゴミ箱へ。
手は二十秒以上ゆっくり洗ってうがいをきちんとして、まず玄関で服を脱いでお風呂に入れるならはいる。
きちんと眠り、三食食事をとり、外出時は予備マスクと消毒液とハンカチを忘れずに。
習慣化は難しいですがしてしまえば、なんて事はなくなるはず。トイレのあとに手を洗うのと同じです。
またそれだけ警戒していても、いつ自分が感染してもおかしくはないのだと、そうなった時に対しての備えも平行で行いましょう。
また実際に感染した方に対しての態度も、理性ある人間としての対応を考えましょう。
むやみに差別意識を持つ事の方が、よほど恥ずかしく愚かな事です。
さて、現在ジャンボどうぶつ病院では、消化器疾患が流行中。
急に先週に入ってから下痢の子達が駆け込む事態に。
その後、今度は嘔吐の子達が!食欲はあったりなかったりですが、皆一様にこの一週間ほどで症状が出ています。
何となく、不調、という子も増えているので、季節的なものが関与している可能性が高いのですが、年齢と状況では他の原因を探す必要もあるので、治療の経過によって精査になる可能性があります。早めに治療しましょう。
そして、全く別件のお話。
以前にもお話ししたかもしれませんが、牛や馬のアキレス腱や蹄をローストしたり乾燥させたおやつは、噛むのがすきなワンちゃんには人気のおやつですが、おすすめできません。
これをたべて、奥歯が欠けたり割れたりしたワンちゃんをかなりの数見ているからです。
かみごごちはいいのかも知れませんが、犬のは歯には固すぎるのです。
ちなみに木の棒、鉄の鎖でも同様のケースにあったことがあります。
また変わった例では、飼い主さんがついた歯石をとろうと千枚通しを使い、割ってしまったということもあります。
唇で見えにくい大きな奥歯の外側面が、剥がれるように割れるので、一見かけていないように見えたりしますが、場合により中の歯髄が見えてしまい、抜歯になることがあります。
とても大きく、三本の根っこをもつ歯なので、抜歯はとても大変。
全身麻酔をし、折れた歯を二分割にして抜くため時間も手間もかかります。当然、それなりにコストもかかります。
歯の表面は肉体のなかでもっとも固いところですが、限度があります。
ライオンが生き物をたべて残すパーツはおやつやご飯には向きません。
骨を始め、蹄やアキレス腱などは基本的に産業廃棄物になりますが、ゴミとして処理するよりもなんとか利用したいのが現場の気持ちです。
細かく刻んで与えるならよいのですが、そのまま噛ませて、まるでアニメの犬のような骨をくわえてしゃぶるように噛んで食べることを期待してはいけません。
世間に数多ある犬用のおやつは、市販されているからといって、安全ではないというコラムを以前にも書きましたね。
是非今回のお話と一緒にそちらの症例のお話しも読んでみてください。
参考:注意が必要な市販おやつ
秋の夜長から、冬の寒さに夜が濃くなるまでもう少し。
みなさん、暖かくしてお過ごしくださいね。
2020-11-30
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