町に漂っていたお正月の雰囲気も、鏡開きからあっという間にぬぐわれて、忙しい日常が戻ってきまたした。
今年の年明けは穏やかだといいなぁと思っていたのですが、そういうわけにもいかず、「少しだけ伊達巻のはしっこを食べました…」「かまぼこをほんのひとかけら…」「お餅の海苔をちょっぴり」などなど、年始らしい主訴とお腹を崩して来院されるケースが相次ぎました。
これはもう、人間も同じですが、動物たちも食べ慣れないものはお腹に来やすい、ということですね。
また冷え込みも厳しいので、腸の動きにはなかなか負担が大きかったようです。
繰り返しになりますが、お腹を下したときなどは、便を少し持ってきて頂けると助かります。検便に必要なのです。
下痢のときのまずする検査は検便であり、これによりかなりいろいろなことが分かります。
寄生虫の感染の有無や、細菌のバランス、消化物の状態などを観察することができます。
もし持ってこられない場合は、携帯などで画像として写真データとして残して頂けるといいでしょう。
色や量、形状の観察から情報が得られます。
おおよそ、一般的には消化管の症状で来られた動物達の八割が一般的な胃腸炎などですが、残りの二割は精査が必要な症状である場合が多いのです。
よって適切な治療に反応しない場合は、一歩進んだ検査が必要になるかもしれません。
少し話しは異なりますが、食欲不振、元気消失などは、ほとんどの疾患にみられる主訴です。
主訴、というのは病院に来る理由となる症状ですね。動物病院の場合、飼い主さんが「あれ?この子、何かへんだな?」と思う様子になります。
ですが案外これも難しく、「変だな」「おかしいな」と思うには、動物のノーマルな状態をきちんと把握していてこそ分かることになります。
おとなしい子もいますし、活発な子もいます。食にむらがある子もいますし、食欲がなかったことがない、という子もいます。
誰か、の基準ではなくその子の基準をはっきりと知っている飼い主さんは、異常に気がつきやすいと感じます。
逆にこれがなかなか難しいのが多頭飼育の場合で、食事の上げ方やトイレ管理の方法によっては、食欲や排泄の状況の区別がつかず、気づくことが遅れたりしやすいのです。
例えば、血尿をトイレシートで発見したけれど、誰がしたのか分からない。
下痢のあとや嘔吐の跡があったけど、誰がしたのか分からない。
食事を大きな皿でまとめて上げている場合や、同居のこのお皿からも食べてしまうことができる状態だと、食欲不振で残してもそれを他の子が食べてしまうために、全く異常に気がつかないこともあります。
具体的な症状が目の前で出てくれるというのはラッキーなケースですので、誰の具合が悪いか分からない事件はわりと高頻度で起こります。
そうすると、初期の症状を見逃し、ぐったりして誰がみても明らかな不調をおこすまで、治療ができないことになります。
異常を見つけたら、できれば一頭ずつ隔離し、それぞれの排泄や食事を確認することをお勧めします。
食事に関してのおすすめは、それぞれ別々のお皿で給餌し、食事の量はきちんと計量してあげる習慣を付けること。
またできたら、食べ終わるまで傍でみているのがベストです。
また別々の部屋で食事を与え、食事だけは一緒に与えないようにする、なども良いと思います。
たとえば下痢や皮膚炎などで、もし寄生虫になどに感染している場合、確認できたのが一頭だけであっても、同居の子全てに駆虫剤が必要となりますのでご注意下さい。
人に感染する寄生虫もたくさんいますので、なるべく早い駆除が必要になります。
尿の場合は病院で採尿することもできますので、ちょっと怪しいなあという子達は直接病院に連れて行って検査をすることも良いと思います。
膀胱炎や尿石症は他の動物にうつることはありませんが、多頭飼育でのストレスが原因の場合もありますので、投薬治療以外に飼育環境を整えていく必要もあります。
子犬に多いケンネルコフなどは、ワクチンをきちんと打っている成犬にはあまりうつりませんが、未接種だったり高齢であればうつる可能性はあります。
ちなみによく心配されるのですが、人の風邪は犬猫にはうつりませんので、大丈夫です。
早期発見、早期治療は動物達の場合、飼い主さん頼みになります。
おかしいかな?と思ってもらうことが、その第一歩です。
実際にそれが病気でなかったとしたら大ラッキー、病気ではないと見過ごされてひどくなるよりも、心配し過ぎかな?位がちょうどいいのです。
以前、耳の所に出来物ができた!と焦って来院された飼い主さんがいらっしゃいました。
幸いそれは毛玉でした。
飼い主さんは大層恥ずかしがっておられましたがとんでもない!飼い主さんの鏡だと思います。
毛玉は誰にでもできるものです。そして出来物でなくてよかった!心から喜び、毛玉を切って無事に帰られました。
いろいろな事情で動物病院のハードルが高くなっているお話しをよくお聞きします。
ですが実際来て頂くとそれが杞憂であることがほとんどです。
どうかあまり構えずに、心配なときは来てみて下さい。
あまり怖い所ではないと、お分かり頂けると思います。
2019-01-17
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