動物病院HOME < 院長のコラム < 病院に行くべき時って?
小学校の時にならった詩の中で、12ヶ月の季節にをなぞらえたものを、しりとりにした【一年しりとり】というものがありました。
1月 カルタ、凧揚げ、元気なこ
2月 こけし、しもやけ、ケヤキの芽
3月 めだか 影踏み、みずすまし
4月 四月、摘み草、桜餅
5月 ちまき、キツツキ、桐の下駄
6月 田植え、絵日傘、桜貝
7月 いなか、カナカナ、夏休み
8月 岬、木いちご、ゴムぞうり
9月 林檎、ゴイサギ、ギンヤンマ
10月 祭り、竜胆、童話劇
11月 木の実、みの虫、鹿の声
12月 映画、外套、大晦日
11月として「鹿の声」というのがありましたが、これは秋の発情期に牡鹿が牝鹿を呼ぶために上げる声のことなのですが、実際に聞いたことがありませんでした。たまたまつけたテレビ番組で、ちょうどこの牡鹿の鳴き声をやっていたのですが、結構なボリュームで猛々しく鳴くので驚きました。
でもそれもそのはず、その後メスをめぐってオス同士の戦いを真剣な戦いを繰り広げるのですから、甘い呼び声というよりも勇ましいものだったんですね。
秋に繁殖シーズンがあるのは、子育てを春にあわせるためです。
食べ物に恵まれ温かく過ごしやすい季節にあわせて子供を産むには、冬から一番遠い春に生むのが最も効率が良いことになります。春に生まれた子供達は夏、秋と、体を大きく成長させ、過酷な冬に望むことができるのです。
季節の言葉として取り上げられるほど、鹿の声のインパクトは大きいんだなと思いつつ、羅列したしりとりのいくつかは既に見ることができなくなっているものも。時の移り変わりは緩やかですが絶対的で、こういった歌の中にしかその痕跡を残さなくなったりするのだなあと、切なくなりました。
でもいまだ上履き入れを草履袋とか、靴箱を下駄箱とか、案外消えずに残るものもあるのでしょうね。
逆にスマホや携帯などで写真を撮る行為を写メという言葉はもう古く、今はインスタというのだと聞けば、言語の新旧はすさまじいものがあります。 言葉は生き物とはよく言ったものだと思います。
けれど消えゆく 言葉も、記録しておかなければ、後世にその言葉自体があったことすら忘れられてしまうでしょう。いつの間にか現れいつの間にか消える、言葉のような姿のありそうでないものは、始まりと終わりを記録することも難しい。 言語文化の保護というものはいかにも難しいのだとぼんやりと思いました。
実は考えさせられることがありました。
よく、診察している時にお薬などの投薬が終わって経過を見る段階に入ったときや、容態が安定していて次の来院予定まで期間が空く場合、「何か様子がおかしいと思ったら、連れてきて下さいね」とお声をかけるようにしています。
これは普段一緒に生活している飼い主様が見ていて、明らかにいつもとは違う様子だったり、雰囲気だったりを感じとった時には、その子に何か問題が起きていることが多いので、すぐに来て下さい、という意味です。
よく「自分は素人だからわからなくて」とおっしゃる飼い主さんがいらっしゃいますが、そんなことはありません。
逆に飼い主さんの方が敏感に感じ取る異常も多く、来院されたときに「これ、よく見つけたなあ」と思うようなことも多々あります。毎日一緒に生活している飼い主さんほど名医はいないとよく感じます。
そういった経緯から「何か様子がおかしかったら」という全体を見る言い方になってしまうのですが。
ただ最近それもどうなのかな、と思うケースに何度か遭遇しました。
「普段と違う」ということを「様子が違う」とイコールにできないのではないかな?と……。
例えば普段から食が細い子の場合、食べている量が飼い主さん基準では普通でも、通常必要量に足りていない場合があります。 年齢に応じた体重にきちんとなっていればいいのですが、平均から大きく逸脱している場合は、例え飼い主さん基準でいつもと変わらなくても、一度診察することをお勧めします。
年齢に応じた体重というのは、種類で大きく違います。また同種の中でも個体差が大きく、例えばトイ・プードルでは大きなこは10キロ近くありますし、小さなこは1.7キロ前後な場合もあります。
ただ、命を維持するために最低必要な体重というのは基準がありますので、心配な場合は一度受診されて下さい。
また、排便の回数や排尿の回数なども、飼育環境や食べているものでかなり違います。
たとえばダイエットフードを食べている子は、便量が多くなるので、必然的に回数も増えます。また結石などのための療法食を食べている場合、排尿量が多くなるように作られているフードもあります。
それでも、例えば二日以上排尿しない、また一日十数回以上も排尿する、というのは明らかに異常です。
便の場合、尿よりも幅が広いのですが、それでも十日以上出ない、というのは特別なケースを除いてやはりおかしいと考えなくてはなりません。
自分たちが考えている基準が、果たして普通なのかどうか。動物を飼ったことがない飼い主さんなら迷って当然だと思います。こんな質問をしたら、怒られるかな?恥をかくかな?など心配される気持ちはよく分かりますが、まずそんなことはないのでご安心下さい。分からないことはぜひ動物病院に来て、直接聞いてみて下さい。
ネットや本など調べる手段が膨大な現代、その情報が本当に正しいのか?と迷うことはとても大切だと思います。正しい知識はどこならば得ることができるのか、ということさえ知ってれば、大きな間違いは避けられるはずです。
動物病院は基本的に受け身の機関です。 飼い主さん自らが、おかしいな?変かな?と思って来ていただかないと、なにもできないのです。
日々の診察の中でそれを本当に痛感することがありました。
来て頂いてお話しする以外、逆に自ら発信することができるのは、こういったコラムくらいしかないのだなあと、今更ながらコラムももっと充実させいかなければならないと決意しました。
月二回のゆったりペースではありますが、少しでも飼い主さん達の役に立つお話ができるように頑張りたいと思います。
2017-11-15
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