動物病院HOME < 院長のコラム < お散歩スタイルの見直しを
十一月が終わると、もう年の瀬を感じる時期になります。
ハロウィンが終わると、一足飛びにクリスマス用に商品パッケージや街の飾りがうつり変わっていくのはなかなか見事な季節変化だと思います。
さて緊急事態宣言が解除され、街に大分人の流れが戻ってきました。
少し寒いものの多くのわんちゃんにとっては過ごしやすい時期ですので、お散歩日和に行楽シーズンがかさなり、外出の機会は増えているのではないでしょうか?
とくに短頭種のフレンチブルドックやパグ、ボストンテリアなどはお外で元気に跳ね回ることができる時期がやっと到来した感じでしょうか。
病院にきてくれるわんちゃんたちも心なしか嬉しそうにやってきてくれます。
逆に短毛種といわれる毛の短いスムースのチワワやミニチュアダックス、イタリアングレーハウンドやウィペットにとっては、上着がないとちょっとつらい温度ですね。
薄めのダウンやニットなどを是非着せてあげて下さい。そうでないと体温を一定に保つため、必死で筋肉から熱産生を行い、結果的に体重が減ってしまうことがあります。
さて、お散歩日和で気をつけて頂きたいことがあります。
先日、当院の患者さんが車に撥ねられる痛ましい事故がありました。
お散歩中の突然の出来事で、飼い主さんもわれわれも強くショックを受けています。
これはお散歩に出かけるすべての犬猫に起こりうる危険です。
犬猫だけでなく、お散歩されている飼い主さん自身の身の安全のためにも、もう一度ご自身のお散歩スタイルについて見直して頂きたいのです。
案外盲点なのが、毎日使っている首輪や胴輪です。
当然ですが、これは体重によって使用するサイズがかわって来ますよね。 太ってしまうときつくなり、逆に痩せていくとゆるくなります。
きつければ散歩中の呼吸の妨げになりますし、ゆるいことに気がつかず使用していると、散歩中にいきなりすっぽりと抜けてしまうことも。
お使いのものはきちんとサイズが合っていますか?今一度確認してみて下さい。
きつくもなく、ゆるくもなく、引っ張っても抜けないことをチェックして下さいね。
チェーンや革、合皮や布、様々な材質が使われる首輪やリードですが、経年劣化がどうしても起きてきます。
革ならばひび割れてきますし、チェーンではパーツが外れることもあります。
布はほころびやほつれが出たり、ロック式で紐がのびるタイプのものはロック自体が壊れることもあります。
使っているものがきちんと使える状態かどうかも確認しましょう。
リードは長さが様々あります。
広い公園で駆け回れるようにとても長いタイプや、ジェントルリードのように短くして側から離れないようにしてあるものもあります。
伸び縮みできるタイプも今はよく使われていますね。ただ操作を誤ると、ロックがかからず犬が道路に飛び出してしまう、なんていうこともありますので気をつけ下さい。
個人的にはショートリードをお勧めしています。
通常よりも短く、犬猫ともに飼い主さんのサイドからほぼ離れないようになります。
リードの遊びが少ないので、大型犬だと少し窮屈に感じるかも知れませんが、例えば歩道の幅が狭い所でも車道側にうっかり出てしまう、という事故が起こりにくいです。
人ごみや車の通る道でのお散歩、また引っぱり癖があったり、初めて行く所で犬猫自身がどう行動するのか予測がつきにくい場合などは、ショートタイプがおすすめです。
逆に海や公園、ドッグランなどではロングリードを使うのが良いでしょう。
例えば公園などへいって遊ぶ時は、行くまではショートリード、ついてからはロングに付け替え、というのがベスト。
リードの長さはお出かけする場所や使用用途に応じて数種類持っておくと便利かもしれません。
車道に並走した歩道で車や自転車を警戒するのは当たり前ですが、実は公園やその周辺などについてから事故に遭うケースが多いのです。
公園について犬を下ろしたら、遊歩道に飛び出してしまってそこに来た電動自転車に轢かれ、亡くなったケースもありました。
公園などお散歩の目的地に着いても、気を緩めずに動物達を手元から離さないようにすることが大切です。
これは繰り返しになってしまいますが、ダブルリードをお勧めしています。
多少面倒ですが、胴輪と首輪に一本ずつ、リードをつける方法です。
万が一、どちらかがすっぽ抜けてしまっても、二本同時に抜けることはないでしょうから、安心です。
Y字型のリードなら、一本で済みますのでこれもおすすめです。
案外知られていないのですが、狂犬病ワクチンを接種し登録した際に発行される鑑札は、基本的にお散歩などのときは随時携帯しなければなりません。
あまり考えたくないですが、他の人を噛んでしまったり、犬を噛んでしまった時、鑑札をお持ちでないと裁判等で非常に不利になりますので必ずお持ち下さい。
一緒に毎年発行される注射済み票も携帯しましょう。狂犬病ワクチンを今年もきちんと打っていますよ、という証明になり、立場を明確にしてくれます。
カートでお散歩する場合も増えてきました。目的地に着くまでカートで運べるのでとても安全ですね。
ただカートの幌を突き破って飛び出してしまう子もいますし、目的地に着いて幌を上げた途端に飛び出し足を骨折してしまったケースも見たことがあります。
今では大概、カートのなかに短いリードや、リードを固定できるフックなどがついていますので、そこにきちんと装着したリードを固定しましょう。
ここからは飼い主さんへのアドバイスになるのですが、お散歩に行く時は運動靴を履いた方がいいと思います。
ヒールやサンダル、ミュールなどで転んでしまい、犬は無事でも飼い主さんが大けがをしたという話しをよく聞きます。
また転んだ拍子にリードが手を離れ、犬が逃げてしまうことも。
犬猫は驚いたりした拍子に驚くべき行動をとることがあります。不測の事態に全力で走ることができる準備をして頂くのが良いと思います。
視界が確保しにくいつばの大きな帽子などは、お散歩には不向きです。
リードをつけて散歩をする限り、通常自分たちが見るべき視野よりも余程大きな領域を注意してみていなければなりません。
目深に被るフードや、日焼け帽子の左右から顔を包み込むような帽子は、死角から来た歩行者や自転車、自動車に気がつきにくく、飼い主さん自身も危険です。
視界が広くとれるものを使いましょう。
耳から得る情報はとても大切です。
車のエンジン音、人のおしゃべりの声、犬や猫の鳴き声、自転車の音など環境音には情報がたくさん詰まっています。
テンションが上がる音楽を聴きながら、ご自身だけで専用の歩道でランニングやウォーキングを楽しまれるならば良いのですが、散歩はご自身の安全とともに、予想もつかない行動をするかもしれない動物たちの安全をも守らなければなりません。
ニンジャかSPのごとく、なるべく感覚を研ぎすまし、五感を妨げるものは控えた方が無難です。
以上、お散歩の時に気をつけて頂きたいポイントを挙げました。
これ以外にも万が一の時のために診察券を持っておく、だとかお水のボトルは必ず持参!だとか色々細かな所はありますが、参考になれば幸いです。
楽しいお散歩が危険にさらされることがないように、私たちが気をつけていきましょう。
2021-11-30
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