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犬猫に花粉症はあるの?
ワクチン接種の誤解

春の息吹を存分に感じられる四月、皆様お花見には行かれましたか?

今年は温かさの合間に真冬のような寒さが挟まったおかげで、長く花を楽しむことができましたね。入学式にはすっかり葉桜になってしまった例年とは異なり、花吹雪につつまれたお式になったようです。

またときおり強い雨がふったにも関わらず、花びらを散らさずに雫に濡れる薄桃色の花は、健気でありながら強さも感じさせてくれて、どちらかと言えば儚いイメージを覆す凛とした美しさに、改めて日本でこれほど愛される花の魅力を感じました。

なかなか昼間に時間がなかったのですが、どうしても辛抱できずに仕事終わりにギュンと冷え込んだ夜の中、愛犬とともに桜並木を見に行きました。

少し盛りを過ぎた花は、それでも艶やかに開き、薄曇りの墨汁色の空の下、周りの空気までピンク色に染めているようでした。

道路には丸く小さな花弁が落ちて、愛想もない灰色のコンクリートを飾っています。蕾の姿も、咲いた花も、散った様子すらも美しい花です。綺麗だなあという単純な感想でしかあらわせないおのれの語彙力を恨みつつ、しばらく花につつまれた時間を過ごしました。

体調が悪いとワクチン接種はできません
体調が悪いとワクチン接種はできません

乱降下する気温は桜に取っては僥倖でしたが、変化についていけずに体調を崩すのは人も、動物も同じようで、お腹を崩したりする子が増えました。

春は予防シーズンではありますが、下痢や嘔吐などがある場合は無理をせずに、治療をしてから万全の体勢でワクチンに臨んで下さい。

先日、狂犬病の集合注射がありましたが、どうしてもその日に打たなければと思ったのか、朝から下痢をしていたりする子が接種に来ていました。

ワクチンは元気な時に打たなければ十分な効果が得られません。我々がインフルエンザのワクチンを打つ時も、基本的に熱や体調不良がないことが最低条件ですよね。

運が悪ければ副作用の方が強く出てしまうことがありますので、焦らず治療をしてから予防をしましょう。優先順位にお気をつけ下さいね。

副作用のリスクはどの子にもあります
副作用のリスクはどの子にもあります

それから、こういった方がいらっしゃいました。

「ある病院でワクチンをうったのだけど、その日の夜にぐったりした。いつもかかっていた病院で打ったときには、こんなふうにならなかった。次の年は、いつものところでうってもらったら、そうはならなかった。二度とあの病院にはいかないです!」

とても大きな誤解をなさっていたケースですね。

この認識だとそのうった病院も、それから今現在うっているという病院も、そして何よりこの飼い主さんとわんちゃんも不幸になってしまいます。

なぜならば、『ワクチンの副作用は、誰がどんなタイミングでうっても、出る時は出るもの』だからです。

ワクチンの副作用がどうして出るのか、実際の所分かっていません。

メーカーによってその子に合う合わないがあるようですが、それだけでもないようです。

前述したように体調が悪ければ当然、起きやすくなるでしょうし、それとは関係なく、一件元気に見えても実は体の中で弱っている所があるかもしれません。

例え何かの検査をしてその結果に全く異常がないと証明されていても、検査で分かるのは体の一部のことですので、絶対に副作用が出ないという保証になりません。

何度同じ子に同じワクチンをうっていても、出る時とでない時がありますし、言葉は乱暴ですがもはや、運といっていいと思います。

同じ子だって毎年歳をとりますし、細胞レベルでみれば数限りない細胞が生死を繰り返しています。死んでいく細胞と生まれる細胞が全く同じ数、同じ状況になることは絶対あり得ません。あちらでは腸の絨毛が生まれていて、こちらでは骨の細胞が死んでいたりする訳ですから。

また血液は心臓によって拍出されていますが、それだって毎回の拍出量と全く同じ量ではない。 一分一秒だって全く同じコンディションは生き物にはないのです。

ですから、たとえ新卒の獣医師が打とうが、ベテラン獣医師が打とうが、どのメーカーで打とうが、病院で打とうが、集合注射で打とうが、副作用が出る時は出ます。

この認識はどの医療関係者も持っています。

誤解は不幸を生みます
誤解は不幸を生みます

うった病院や獣医師のせいだと思いたいのは、心情的にはとても分かるのですが、その考え方は正確ではありません。そしてその考え方が正しいと思い込んだりしていると、不幸な結果を生むことになります。

なぜか。

このケースではまず、副作用が出た注射を打った病院は誤解を受けているわけで、不幸です。

また現在うっている病院も、いつでも副作用が出る可能性がある訳です。これで今後副作用が出てしまったら?

信頼していたのに!とまた違う病院へ行くのかもしれません。謂れのない事柄で責められ、これも不幸です。

また一番不幸なのは、この飼い主さんとわんちゃんです。

なぜならこの方が探す『絶対に副作用を出さない病院』というのは、この世に存在しないからです。

ないものを永久に探し続けることになれば、かかりつけといえる病院を持てずジプシーのようになってしまうかもしれません。そうなれば、結果的どこに行っても通り一遍の診察しかしてもらえなくなります。

これはこの三者の中で、最も不幸です。

正しい知識というのは、こういった不幸の連鎖を生まないために必要な防御力なのです。聞こえのいいネットの情報や口コミばかりを食べていると、分からないうちに自家中毒になり、本当に必要な知識を食べることができなくなります。

感情に流されるのではなく、きちんと冷静に理由と状況を把握して欲しいなと思います。

この時はもちろんそういう説明をさせて頂きました。

これは混合ワクチンのお話でしたが、全てのワクチンに共通のお話です。

集合注射に向く子、向かない子
集合注射に向く子、向かない子

また副作用を一度でも経験したのであれば、集合注射はお勧めしません。

集合注射は野外で多くの犬が集まります。しかも注射に来ていることが分かっているので、皆気が立っているのです。怖くてないたり、暴れたりする子達もたくさんいます。その雰囲気だけでわんちゃんは非常に緊張しますよね。

また体温測定などもなく、問診のみで接種しています。ですからこまかな診察の上で接種することはできません。また副作用の説明も丁寧にできません。

そして副作用が出た時は、はがきに書いてありますが、東京都獣医師会に指定された病院にいかなければなりません。

集合注射は元気でなんの心配もなく、たくさんにの犬がいても全くひるむことなく、むしろ楽しげにお腹を出すくらいの肝っ玉の据わったわんちゃん向け、と考えて頂きたいですね。

実際、ご機嫌で接種の場所に歩いてきて、お腹を出して転がり尻尾をふりふりしながら寝たまま接種され、獣医師全員から絶賛されたわんちゃんもいました。

ご自分の大切な家族にどんな状況で予防接種をするのがいいのか、これはとても大切なことですので、よく考えて頂きたいです。

副作用が出た場合は、いろいろと対策をして次の時の予防接種に備えます。

やり方もいろいろとありますので、是非獣医師にご相談してみて下さいね。

2019-04-18

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