動物病院HOME < 院長のコラム < 予防注射は体調の良い時に
桜の季節は過ぎ去り、八重桜もその盛りを終えました。
ハナミズキの上を向いて咲く花びらが綺麗に陽光にてらされているのを見ると、ああ、もう四月も半分過ぎたのだな、と感じます。
いつも過ぎてしまった時間の残滓を見ては、ああ、もうこんなに時間がたったのかと驚くばかりなので、季節の移ろいを楽しむ余裕が欲しいものです。
さて、本来であれば狂犬病の集合注射の時期ですが、昨年に引き続き新型コロナウイルス流行の影響により、今年も荒川区では中止となりました。
東京都獣医師会に所属している各動物病院では料金は変わらずに狂犬病ワクチンが接種ができます。
また荒川区から注射済み票の交付を委託されていますので、その場で注射済み票をお渡しすることができます。
お家に届いた狂犬病ワクチンのお知らせのはがきの問診を記入してお持ちの上、かかりつけの動物病院へ受診されて下さいね。
また『お知らせのはがきが何処かにいってしまった』『届いたはずだけど見つからない、なくなってしまった』という場合でも、鑑札を持っていけばその場で新しいはがきを記入することができます。
加えて『鑑札もどこにいったか分からない』『確かあったはずだけど、見つからない』という場合、ジャンボどうぶつ病院では以前狂犬病ワクチンを病院で打たれた場合、カルテに鑑札No.記載していますのでいっていただければお調べしますので大丈夫です。
もし鑑札番号が分からなくても、証明書を発行しますので、それを持って保健所で手続きを行えば、注射済み票は交付してもらえます。 狂犬病ワクチンは、法律で摂取を義務づけられたワクチンです。
これは以前のコラムでも書いていますが、狂犬病が発症した場合、致死率99.9%というおそろしい感染症であり、これはおそらく世界で最も高い死亡率であること。
また日本は狂犬病がない清浄国ですが、世界の大多数の国は狂犬病が常時発生しており、いつ国内に持ち込まれるか分からないこと。
再び国内で発生した場合、狂犬病予防法に基づきかなり厳しい対処がされ、それは国内が再び清浄化されるまで続くこと。
清浄化が非常に困難であること、が理由としてあげられます。
新型コロナウイルス感染症の蔓延を見れば、たった一つのウイルス性疾患の感染コントロールが難しいかよく分かると思います。
どれだけ気をつけていても、目に見えないものを避けるというのはとても難しい。各種の対策に対する個人的見解には差があり、マスクや手洗ですらその正確性や頻度はかなり異なりますね。テレワークですら一部の大きな会社では進みましたが、地方公務員や中小企業などでは進んでいません。
また我々のように、エッセンシャルワーカーは出勤せざる得ない状況で、出勤しなくても良い方々にそれをお任せして通勤と出勤総数を減らして頂くしかないのですが、いまだに『テレワークはずるい』というクラシカルな認識もあるとお聞きして、これは進むはずもないなあとびっくりしました。
感染症知識などは専門性の高いもの、きちんと理解している人の方が少なく、義務教育で習うものでもないので、大人だから知っている訳でもありません。
政府公報や各メディア、SNSなどを通じて多くの専門家が、市井の人々への教育を行っていますが、中に混じるトンでも科学などのせいでそれもスムーズとは言えません。だからこそ、現時点で感染第四波が発生し、医療施設が圧迫されている訳です。悲しいことですね。
現在、狂犬病が蔓延しないのは、感染経路が主に咬傷によるものという限られたものであることと、狂犬病ワクチンが開発されているからです。
そして狂犬病ワクチンが義務化され、国が政策として接種を促しているからこそ、こうして清浄国を維持できているのです。
動物を飼育するということの最低限の義務が狂犬病ワクチンの接種です。
誤った情報に惑わされることなく、きちんと受けましょう。
以前、他の区にある某ペットショップ併設の病院で狂犬病ワクチンを打たれた10歳の犬が、帰宅途中の車の中で様子が急変したということで、緊急対応をしたことがあります。
新規患者さんであったので、今までの接種歴などをお聞きすると、毎年きちんと打っていらしたことがわかり、飼い主さんは「今まで一度もこんなことなかった」とかなり取り乱していました。
通常、深夜などでなければ、接種後のワクチンアレルギーの対応は、接種した病院が行います。これは接種前のその犬の状況は接種した獣医師しか分からないからです。
またワクチンアレルギーは早くて15分、おそくとも接種後2時間以内に出ることが多いので、その間は安静にして変化をに見る必要があります。
このケースでは、その子は全身の毛が脱毛しており、皮膚は強く赤く炎症があり、至る所に痂皮がありました。明らかに酷い皮膚アレルギー性疾患を煩っていましたが、前からそういう状況だったので特に皮膚病の治療は行っていなかったということでした。
またその日の当日は下痢をしていたにも拘らず、飼い主さんはよくあることだし、せっかくわざわざ車を出して病院へいったのだからと、強く接種を希望したそうです。
万全の状態ではないのに、無理に接種した形ですね。加えて、そのワクチン接種後すぐに帰宅してしまったこと、車で様子がおかしくなった時点で引き返すのではなく、ご自宅のあった荒川区まで戻ってしまう選択をし、結果的に対応までの時間が遅れたこと、などがアレルギーを悪化させた要因であったように思います。
幸い一命を取り留めましたが、ハイリスクな接種はどうか避けていただきたいと思います。
人間のワクチンでも、体調がよい時に打ちましょうと言われているのですから、動物達の予防接種についてもどうか無茶をなさらないように。
確かに狂犬病ワクチン接種は義務ですが、最低限の条件として『体調がよいこと』が打つ条件です。
上記の例のように、下痢をしている、皮膚炎が酷い、など明らかな症状がある場合は無理をせず、落ち着いてから打ちに行って下さい。
狂犬病ワクチンは通常4月から6月までの間に接種することが義務づけられているのですが、今年も昨年と同じくその接種期間は緩められ、12月までに打てばよいことになっています。
体調や状況に応じて、でかまいませんので、良いコンディションの時に動物病院を受診しましょう。
2021-04-19
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