十一月も半分過ぎているにも関わらず、わりあい温かい日が続いていますが、そのせいか秋のアレルギーがいまだ続き、私自身が耳の痒みに悩んでいます。同時に鼻水とくしゃみ、体の痒みなどが出て掻きたい気持ちをこらえる、という。
早く落ち着いて欲しいものです。
ダウンを引っ張り出した方がいいのか、まだトレンチコートでいいのか、マフラーなのかショールなのか、冬の装いにいつ移行しようか悩んでいらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
季節の変わり目には飼い主さんも体調を崩しやすくなりますので、どうぞご自愛下さい。
さて、最近は血便ラッシュをへて少し落ち着いています。
ただ寒い時期らしく、おしっこの病気が増えてきました。特に猫ちゃんで顕著です。
飼い主さんが気がつきやすい症状のポイントを上げておきますね。
このような症状は膀胱炎の症状が疑われるので、早めに動物病院を受診して頂きたいです。
そして以下の症状がある場合は、早急に病院へ駆け込んで下さい。
繰り返しこのブログでは書いていることですが、尿がまるまる二日出なければ、急性の腎不全を起こして死んでしまうのです。
先日、「昨日の朝からおしっこが出ていないんですが、連れて行った方がいいですか?」というご相談がありました。
ご連絡頂いたのは夕方過ぎですので、ほぼ一日半はおしっこが出ていない計算になります。
猫ちゃんは雄で、一週間前から何度もトイレにいっては頑張っている様子とのこと。
もしかするとおしっこが全く出なくなっているかもしれません。
すぐにでも来院するようにお伝えしたのですが、飼い主様にはそれが緊急事態であるという自覚が全くありませんでした。
「下手すると命に関わりますので」とお伝えすると大変驚かれていました。
猫にとっての二日は重要で、「全く食べない」「全く尿が出ない」この二点において二日のボーダーラインを越えると命の危険が出てきます。
また、治療が間に合っても重症化していることが多く、治療には時間と手間とコストがかかります。
予防は簡単でローコストなのに比べ、重症化した病気を治すことは、非常にリスキーで飼い主さんの負担が大きいです。
普段から動物病院に通い慣れていらっしゃる飼い主さんは、獣医師や動物看護師からそういった内容を聞いておられる方が多く、軽微な異常にもよく気づかれ、治療も上手くいくことが多いのですが、滅多に病院へ行く必要がない場合、最低限知っていて欲しいことを知らないということがままあります。そういった方が手遅れになってから来院されることも多いです。
この場合、かかる時間や、マンパワー、コスト、回復の見込み、など全てにおいて全く予想外という状態でいらっしゃるため、飼い主さん自身がどういった治療の選択をするのか決断できないことも多いです。
動物を飼っている場合、元気で動物病院と縁がないことはある意味素晴らしいことなのですが、逆を返せば全く無知な状態で過ごしてしまい、気が付いた時には手遅れになりかかった病気の治療に向き合わざるをえないという、超上級者コースを選択されていることにもなるのです。
先程述べた、おしっこが出ない状態を尿閉というのですが、これは上手くいけばカテーテルを通し、おしっこを出すことができますが、できない場合もあります。
狭い尿道にぎっちりと石などが詰まると、どれだけいろいろな方法をとってもカテーテルがとおらず、その場合はペニスを切って新しい尿道を作る大きな手術を緊急でしなければなりません。
これはとても難しい手術で、異物をとる時の胃切開や腸切開以上に繊細なものです。
成功したように見えても、その後尿道が狭窄し再手術になることも珍しくありません。
大きなコストと、負担がかかります。
またその手術に臨みたくても、腎臓がすでに壊れ、為す術もない状況に陥ることもあります。
とてもとても、怖い病気なのです。
獣医師としては、これはネコを飼われている方の間では常識になっていると信じたいのですが、中には知らない方もいらっしゃいます。
飼い主さんが知っていようと知らなかろうと、病気はやってきます。いざという時にうろたえないために、必要な知識と心構えを身につけていただけたらと思います。
尿の病気は寒くなると増えるとされ、これからが本番。
どうぞおしっこの出方には目を光らせて頂きたいと思います。
2020-11-19
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