七月もあっという間に終わり、盛夏まっただ中。
学生の皆様は夏休みを満喫している頃でしょうか?少し前に夏の季節ものを調べていいたら、あるわあるわ、明らかに他の季節よりもアイテムが多かったです。海にプールに麦わら帽子、水着にアイスキャンデー、かき氷、蝉にカブトムシ、朝顔、向日葵、麦わら帽子に虫取り網。
不思議ですね、見た瞬間ああ夏だ、と思うイメージが子供でもわくものが多くあるのです。
春の儚くも美しい季節にくらべ、夏には強くキッパリとしたイメージがあるのかもしれません。
最も太陽光が強くなる季節ですから色もはっきり見えるので、濃く鮮烈な色合いが強調されるのは間違いないですね。
社会人の皆様も、夏休みは取ることができたでしょうか?勤勉な日本人は休むことが苦手な方が多いですが、正直、昔にくらべはるかに気温が高く、冷房がなければ熱中症で死んでしまうようなこの季節、生産も活動性も低下するのは当たり前なので、もっと休みをしっかりとってもいいんじゃないかな?と遠い気持ちになりながら思います。
休みが無理であれば真昼の時間帯の昼休みを長くするとか、もう少し体を休ませる方法がある気がするのですが……。
東南アジアをはじめ、日本よりも暑く熱帯の気候を持つ国々には、シェスタのように昼寝の文化がある所も多くみられます。これは当然のことで、あまりの暑さに活動自体ができないからですよね。体力の消耗をさけるために睡眠を取り、涼しくなった午後に活動を再開する訳です。
四季の美しい日本ですが、昨今ではどう見ても温帯気候ではなく熱帯気候へと変化し、ゲリラ豪雨という名前の通り、しとしと降るイメージの梅雨とはかけ離れた降雨がみられたり、体温よりも高い気温が当たり前になったりしています。
働き方のスタイルを検討してみてもいいのでは、と空調の利いている室内から灼熱の屋外を見つつ思います。
さて、少し前から話題になっているマダニのお話を。
七月二十四日付けで、厚生労働省から各地方自治体、日本獣医師会、日本医師会にダニが媒介する重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に関しての注意喚起が行われました。
発熱・衰弱等に加え血小板減少等 の所見が見られた飼育ネコ及び飼育イヌの血液・糞便から SFTS ウイルスが検出され、くわえて体調不良のネコからの咬傷歴があるヒトが SFTS を発症し死亡した事例が確認されたため 、発症したネコやイヌの体液等からヒトが感 染することも否定できないことから、SFTS を含めた動物由来感染症の感染を防ぐために、 体調不良の動物等と接する機会のある関係者に、体調不良の動物等を取り扱う際には PPE (手袋・防護衣等)により感染予防措置を講じるなどの対策を実施するように、と注意を促した訳です。
これだけみても漢字が多すぎて読むのを脳が拒否しそうですね。
簡単に書くと、今の季節に元気に草むらや森林や公園で生活しているマダニのなかに、SFTSウイルスというのを持っているものがいて、そのマダニにさされて亡くなる人が今までもいたのだけど、今回はマダニに直接さされていないのに、このウイルスに感染して亡くなった人が見つかりました。
その方は野良猫に噛まれた経歴があり、どうやらその野良猫がすでにSFTSウイルスに感染していたので、結果的に猫を通して感染してしまった、という疑いがあるということです。
それって何が問題なの?と疑問に思われるかもしれませんが、簡単にいうと、今まではマダニに噛まれないように気をつけていたらいいですよ~といっていたのに、マダニだけじゃなくて外にいる猫もお散歩する犬も気をつけてくださいね!と、気をつける対象が一気に広がってしまった、というのが困った所です。
ただ、これは非常に稀なケースだと考えられています。
それに犬猫のマダニの予防薬は、随分昔から当たり前に使われていますよね。そう、背中につけるスポットタイプや、お肉タイプのもの、粒のお薬のタイプなどです。知名度も高く動物を飼っていらっしゃる方達は皆さんご存知ではないでしょうか。薬の選択肢も広く、ほとんどの薬が一ヶ月に一回投薬すれば、きちんとマダニから守ってくれます。効果の長いものなら三ヶ月持つものもあります。
家庭で飼育されている動物達は、野生動物や野良猫のように感染リスクは高くありません。きちんと予防していれば大丈夫です。
繰り返しになりますが、ワクチンを含め予防できる感染症に対しては、ちゃんと予防さえしていれば不安になる必要はありません。
また、いままで予防をしていない方も、これを機会にノミ、マダニの予防を考えて頂きたいと思います。
例えば、あなたの犬が、猫が感染してしまったら?
ご自身やご家族に感染する可能性だけでなく、周りに住む皆さんにも、感染を広げてしまうかもしれません。 自分たちが感染源になってしまうかもしれない、ということを考えてみて欲しいなと思います。
SFTSの致死率や、動物達との接触に関して話題が集まっているようですが、それよりも何よりも優秀な予防薬があるのですから、動物達を守ると同時にご自分とご家族と、地域の皆様を守るために、予防を行いましょう。
ちなみに獣医師が提携していないお店で売られているノミやマダニのお薬は、ハーブなどを元にしていることが多く、つけていても効果を感じられません。良く似たパッケージで売られているので、ちょっと安いし、こちらでいいか!と思って使われている方がいますが、結果的に高くつくので、予防薬は動物病院で取り扱っているものにして下さいね。
気をつけるポイントです。
この原稿を書いているのは26日なので、また新しい情報がでてきた場合は、改めてご連絡したいと思います。 以下の情報も参考にされて下さい。 いたずらに不安になるのではなく、適切な場所からの情報を確認するようにして下さいね。
以下、七月二十四日付けで、厚生労働省から各地方自治体、日本獣医師会、日本医師会に出された、ダニが媒介する重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に関しての注意喚起文書を転載します。参考になさってください。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について、今般、発熱・衰弱等に加え血小板減少等の所見が見られた飼育ネコ及び飼育イヌの血液・糞便から SFTS ウイルスが検出された事例並びに体調不良のネコからの咬傷歴があるヒトが SFTS を発症し死亡した事例が確認されました。
これらの事例から、発症したネコやイヌの体液等からヒトが感染することも否定できないことから、SFTS を含めた動物由来感染症の感染を防ぐために、ネコ等を診察する際には標準予防策を遵守していただくよう、臨床獣医師を始めとした関係者に、下記の点について注意喚起をお願いします。
また、今般の状況を踏まえ、「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に関する Q&A」を改正し、獣医療従事者等の専門家に向けた感染予防対策についての記載を追加しましたので、御参照ください。貴会におかれましては、内容を御了知の上、貴会会員への周知を行っていただきますよう、御協力をお願いします。
なお、別添のとおり、公益社団法人日本医師会及び都道府県等に対し通知を発出していることを申し添えます。
記
1 明確な基準はないが、患畜において発熱、白血球減少症、血小板減少症、食欲消失等の症状が認められ、さらに入院を要するほど重症(自力採餌困難等)で、かつ他の感染症が否定された場合に、SFTS ウイルスの感染についても疑う。※確定診断にはウイルス学的な検査が必要です。検査方法等、技術的な内容の相談は 国立感染症研究所(info@niid.go.jp)にお問い合わせください。
2 SFTS ウイルスに感染した疑いのある患畜の取扱にはPPE(手袋・防護衣等)により感染予防措置をとり、汚物等を処理する際には次亜塩素酸ナトリウム含有消毒剤による処理やオートクレーブなどの加熱滅菌処理を行う。
3 日常的な対策としては、飼育ネコ・イヌを介した感染はまれと考えられること、屋内飼育ネコについてはリスクがないことから、過剰に飼育者の不安をあおらないように配慮しつつ、飼育者に対するダニの駆除剤投与についての指導を徹底し、飼育者は、ネコ・イヌの健康状態の変化に注意し、体調不良の際には動物病院を受診することを勧奨する。
※詳細は「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に関するQ&A(第4版)」参照
別添:「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に係る注意喚起について」(平成 29 年7月24 日付け厚生労働省健康局結核感染症課長通知)
参考:重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000169522.html
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に関するQ&A(第4版)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/sfts_qa.html
2017-07-31
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