院長のコラム

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電話相談について
電話相談について

五月雨の音も耳鮮やかに、しっとりとした梅雨が街を包み込んでいます。

一日のうちに日が照ったり風が吹いたり、大きな雨粒が叩き付けて、また照ったりとめまぐるしく変わる一日の天候に、うかうか洗濯物も干していられませんね。

幼い頃のこの時期はもっとじっとりゆっくり雨が降っていて、こんな風にスコールのような振り方ではなかったなあと思います。

朝ジトジトとふる雨に傘を持って出ても、夕方には曇り空になっていたりすると、通学の途中の電車の中に傘を忘れてしまうことがしょっちゅうありました。

買ってもらったばかりの傘を、それもその日に柄の部分のフィルムを剥がした傘を、放課後には失くして帰ってくるのですから母にはよく呆れられました。

忘れ物の癖はそれだけではなく、部活で使うバトンだったり給食袋だったり上履き入れだったり。 沢山のものを電車に寄付したものです。寄付といっていいのかどうか分かりませんが。

実はこれには理由があって、電車に乗って座席に座れた場合、私はすぐに持っていた本を広げてその世界に没頭していました。もちろん立ったままでも本を広げるので、どっちにしろ変わらないのですが、たいてい夢中になりすぎていつも気がつけばおりなければならない駅に。

いつも慌てて鞄に本を詰め、身の回りのものを持っておりるハメになりました。 小学校の名前がついた赤色の補助鞄は流石に忘れなかったように思うのですが、それ以外に不規則に持ち帰る運動着入れや給食当番の白衣、傘などはよくそのまま忘れ去られました。

後から駅に問い合わせをしてみても、傘などはきっと使われてしまったのでしょう、戻ってきませんでした。 ただ小学校一年生の時に失くした給食袋が、六年生で帰ってきた時は何やら感慨深いものがありました。

戻ってくるものなんだなあ、いままでどこにいたんだろうなあ、と案外綺麗なその白い袋に書かれた油性マジックの一年三組をなぞったことを覚えています。

季節の変わり目は体調の変化に注意!
季節の変わり目は体調の変化に注意!

さて、梅雨入りが早かったために、今年は外耳炎とカビによる皮膚炎が一気に悪化しました。 せっかく落ち着いてきたはずの皮膚の痒みが凄まじくなるのは一瞬でした。切ない気持ちをこらえつつ治療にあたっています。

今の時期は湿度が高く、咳などの呼吸器症状は改善するものの、脇や足の付け根などは蒸れてしまい痒みを生みやすくなります。

季節の変わり目は体調が繊細に変化するので、細やかな目で見てあげて下さい。

また呼気からの蒸散が上手くいかず、体温調節が難しくなります。気温はさほどでないのに、熱中症のような症状が出るのはこのためです。

hr

話しは変わって、最近増えている電話相談についてです。

当院では来て頂いているわんちゃんや猫ちゃんについて飼い主さんから質問があった場合、お電話でももちろんお受けしています。

例えば、 「いつも食べてるご飯はなんでしたっけ?」 「健康診断っていつしたらいいですか?」 「去年の狂犬病ワクチンはいつ打ちましたっけ?」  「今日は何時までやっていますか?」 など、すぐにお答えできるものは全く問題なくお話ができます。

ただ、他院で行っている治療に関してのセカンドオピニオンや、ワクチン接種の詳しいプロトコール、特定の手術に関する質問など、より専門的でより詳しくお話ししなければならない場合は、お電話での相談はお勧めできません。

お電話では資料の提示や図解などができないことに加え、顔の表情を確認して飼い主さんの理解度を推測できません。

音声だけという限られたコミュニケーションは短く単純単純な話題には適していますが、複雑で専門的な話しには向きません。

伝わったはず、理解したはず、伝えられたはず、理解で来たはず、という思い込みが双方にあった場合、それはいらない火種を生むことに繋がったりします。

それは動物病院として本意ではありません。

そもそも人のコミュニケーションはとても複雑でデリケートなものです。それが病気などの話題ならば余計にそうです。

話す側、聞く側両方にスキルがないと、音声だけでは難しいといわざる得ません。 そういった相談をお電話で受けた場合、直接の来院をお願いすることがありますのでご了承下さい。

また、これはしばしあることなのですが、ご家族での情報共有が不十分な場合があります。 実は最近特に感じる、非常に心配している状況です。

たとえば、お母さんがわんちゃんを連れて病院に来院され、8種混合ワクチンを受け帰宅。 お父さんに予防終わったよ、という旨を説明する。

接種したのは8種だったがお父さんは6種を打つと思っていたので、なんで8種を打ったのか疑問をもつ。 そのお父さんが翌日、直接病院に電話をして説明を求める、といったケースです。

これは病院としてはちょっとこまってしまうお話です。

なぜならば、病院では対面で資料を提示しながらお母さんに、
・接種の際、8種にするのか6種にするのかの確認している。
・二つのワクチンの違いと、どういったケースで価数の多いワクチンを打つのかの医学的な説明をしている。
・その上でお母さんが8種のワクチンを希望し接種をした。
という経緯があるからです。

インフォームドコンセントはその日、病院に来て頂いた飼い主さん、今回の場合はお母さんに対面できちんとなされているのです。

その上でわんちゃんのコンディションをチェックし行われた接種に何の問題もないのですが、その場にいなかったお父さんはそういった説明がされていることをお母さんに聞いていません。ですから病院に直接電話をしているのですが、そのお電話でお母さんと全く同じレベルの説明はできないのです。

なぜなら直接病院にいらしていないからです。 わんちゃんを前に状態を一緒に確認しながら、資料を提示し行うインフォームドはお電話ではできません。 不十分な説明をすることは病院として本意ではありませんので、非常にこまってしまう、という訳です。

ではこの場合、ではどうしたら良いのでしょうか? 答えは簡単で、おうちでお母さんに「どうして8種の混合ワクチンを打ったの?」と聞けば万事解決です。 お母さんは、病院で受けた説明をお父さんにお話しするでしょう。 それでもなお専門的で分からないことがあれば、直接病院に来て頂いて改めてお話をさせて頂ければ良いのだとおもいます。

今回はワクチンのお話を例に出しましたが、同じようなケースが最近多く、今回書かせて頂きました。

正直に申し上げれば、とても心配な状況だなと思っています。

お家でその子の治療や予防のお話し合いをされていないのかな?と少々不安になってしまいます。

治療や予防はお金がかかることですし、動物の飼育には一定の意識が求められます。ご家族でその子に関する情報がきちんと共有されていないと、大きな悲劇に繋がりかねません。

例えば、尿石症で尿の出方に注意を払わなければならないとします。丸二日排尿がないと、急性腎不全をおこす可能性があるので、毎日トイレを掃除する時に排尿チェックをしなければならない。その場合、今日排尿しているかどうかということが家族で共有されていなければ、気がついたら無尿になっていて病院へ連れて行くことが間に合わず死んでしまう、ということすらある訳です。

hr

ジャンボどうぶつ病院では、そういったお電話での相談も基本的に全てカルテに記録しています。

いつどこでどのような質問があり、どのようにお答えしたか、なるべく詳細に書いておくようにしています。 逆に対面の時より詳しく記録を取るくらいです。

そしてそういった情報は、お電話頂いた方の以外のご家族にも共有します。

動物達に関する情報はご家族個人に責任があるものではなく、その子を取りまく一緒に暮らすご家族全員で理解し納得し、そして慈しんで育て生活していくべきものだと思っているからです。

「今日電話したことを家族の誰それには言わないでほしい」
「この電話のことはオフレコにして欲しい」
「こういう話しをしに私が病院に来たことは黙っていて欲しい」
というお話がまれにありますが、残念ながらそれはできません。なにかを隠すような治療や検査、ご説明は当病院では一切行いません。

全てを記録し、ご家族全員に情報共有を行いますのでご理解下さい。

2021-06-02

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