盛夏もすぎ、じっとりと湿気を含んで肌を焼く陽射しも、大分傾いてきました。
冷夏により作物の成長も心配ですが、2020年はもう未曾有もいい所なので、何があってもあまりパニックにならず、心を落ち着かせていきたいと思います。
お盆の最中、東京の住民は外出制限を受けてなかなか帰省というわけにはいかなかったかもしれません。
リモート帰省なんて言葉も耳慣れてきましたが、ライフスタイルや人生への考え方すら変わったように思います。
感染症との戦いは有史以前から繰り返されてきたことですが、専門家や医療関係者は当然持っていた知識や考え方がこれほど一般の世界に共有されたことはないのではないでしょうか?
少なくとも去年の今頃は、ウイルスと細菌の違いや、殺菌と滅菌の違いや、PCR検査や抗体検査がなんであるのかなんて分かっていなかったはずです。
また、専門家達はこれほど一般の方々との考え方に乖離があること、同じ医療関係者であってもその専門性によっては全く異なる考え方を持つことなどを、改めて実感させられたと思います。
「立場が違うから」
「知識が違うから」
「国が違うから、人種が違うから」
「年齢や性別が違うから」
ではなく、世界中の多くの人たちに分かりやすく、正確な情報を広げる事の大切さに気がついたことは、今回の災禍の中唯一良かったことかもしれません。
たった一つの感染症が世界を変える様をまざまざと見てきた我々は、この先、何を考えていくのでしょう。
不偏であるように見えたことすら、実はおぼつかない事象の積み重ねなのだと気づいた我々がつぎに考えるべきことはなんでしょうか?
思考すること、これは人間の最大の特徴で武器であると思います。
知識を得る努力、それについて考える努力。
それを怠ることの愚かさは今回身にしみて分かったのではないでしょうか?
あり得ないチェーンメール、全くのデマなトイレットペーパーの品薄、マスクの転売、エセ科学の空間消毒。
自粛を求められているなかでの身勝手な行動、自分くらい大丈夫だろうと思う傲慢さ、深刻な被害が出る中で踊る利権、消える予算、不透明な報告と決算収支。
面白いサンプルが山ほど見られた上半期でした。
これを学びとして、自分が何を考えて行動すべきかを熟慮できると思います。
ちなみにジャンボどうぶつ病院の目下の検討案件は、寄生虫です。
具体的にいえばノミです!
今年は例年になく感染例が多く、毎日目眩がするほどの高度寄生の患者さんに会います。
一日に何件もノミ寄生症例にあたり、院内清掃をそのたびかけています。これは結構しんどいもので、物理的に体力を奪われ目眩がします。
このほどほどの暑さと湿り気が、虫達の活動を活発にしているのは間違いなく、本当にきちんと予防していても、街を歩くだけでノミに接触することも珍しくありません。
予防していてもこのレベルですので、していない子はそりゃあ恐ろしい勢いでノミに寄生され、お家の中で繁殖しています。
飼い主さんが発見するレベル、というのはかなり高度に寄生している場合が多く、背中の毛をかき分けたら大量のノミが全力疾走しているのを目撃した時の我々のメンタルはかなりのダメージを負います。
しかも、ノミの中には瓜実条虫といわれるサナダムシの仲間である消化管寄生虫がいるのです。
そう、ノミだけでなくこちらのお腹の虫にも感染していることがほとんどです。
この虫は排便時に自らの体の一部、片節を一緒に外に出すため、まるで白ごまのような粒が便や肛門の周りにくっつきます。
ちなみに、よく見ると動いていたりします…。
なんと今年は、この片節が!家の床に!落ちていたという!報告すらあるのです!!衝撃の事実に三度目の目眩がおそいます。
相当の虫が感染しなければ絶対起きない事態です。
実は!人間も感染するんですよ、この虫。感染源となる片節が家にばらまかれているなんて、ぞっとする話です。
我々の腹の中に、ぐねぐねと蠢くグロテスクな寄生虫がすみ、腸の中を動き回ります。
入ってきた栄養を横取りして、ゾロゾロと長く長く、どんどん成長し、ある程度大きくなれば更に仲間を増やすために直腸をおりて、肛門周りを刺激し痒みを出し、下痢などを起こします!
具体的に、なるべくリアルに想像してくださいね。
決して心地がいいとは思いませんが、絶対に感染したくないと思うことができましたね?
いいたいのは、予防しないとそういうことになる可能性があると言うことなんです。
そういうわけで、今年の夏は寄生虫との戦いに始まり終わりそうな予感がします。
クラシカルですが、長年駆逐できない感染症です。
ノミもマダニも消化管の寄生虫も、予防と駆虫はできますので、是非しっかり対策して下さいね。
2020-08-15
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