晴天の色が濃い、夏の空ですね。
先日、日が暮れた後に近くの公園へ、例年通りヒキガエルの捕獲に向かったのですが、今年初めての蝉の幼虫が迷子になって歩道にもぞもぞと現れたのを発見しました。歩道に出てしまうと、勤勉なランナーの皆様に潰されてしまう恐れがあるので、そっとつまんで近くの木の幹に移動させておきました。木の幹はツルツルのものだとうまく掴めずまた落ちてしまうので、コナラやくぬぎなどの樹皮がゴワゴワしているものをチョイス。
やや早く出過ぎた感のある彼は、無事に小さな脚でしっかりと幹をつかみ上へ上へと登って行きました。きっと今夜美しい成虫へと羽化することでしょう。
そして一夏の間、恋の歌を熱烈に命を燃やしながら歌い上げ、次世代への遺伝子を紡いでいくことでしょう。ただ若干、まだ羽化のピークではない様で、恋の成就はなかなかハードルの高い戦いになるかもしれません。
よく本の題材などになっているので、地中で長く過ごす蝉が地上で生活できるのはほんのひとときだと知っている方は多いと思います。ですが、そこまでたどり着くにも熾烈な生存競争と運が大きく関係しています。
地中にいる間に頭上に道路や家が建ってしまうこともあるでしょうし、そもそも地中生活でうまく成長できない幼虫もいるでしょう。
そういった艱難辛苦を乗り越えて、這い出てきたのに方向を間違えて迷子になった挙句、歩道で人の足に踏み潰される幼虫も多いです。
もし夜の公園で走ったりお散歩をされる際は、遠くよりも足元を見ていただいて、歩道に迷い出てしまった蝉の幼虫を保護し、木へと戻す蝉の幼虫救命隊になっていただけたらと思います。
他の日にやはり散歩していたら、今度は1メートル越えの蛇に会いました。おそらく青大将、見事な鱗をきらめかせ遊歩道を悠々と横断していたので、思わず行き先をじっと見つめました。
すると周辺にいた虫取り網を持ったちびっ子ハンターたちが道端でしゃがみこんでいるおばさんを不審に思ったらしく、「なにしてんの!」と駆け寄ってきたため、蛇は途端に大慌て。
いそいで石垣の隙間に潜り込んで行ったのですが、なにせ長い体です。うんしょうんしょと効果音がするほど懸命に時間をかけて逃げていきました。
後から確認した隙間は何とも小さく、他の石垣の埋まっている隙間と区別がつきません。おそらくあの蛇はちゃんとここには逃げ道があることを理解していて、わざわざ歩道を横断する危険を犯したのでしょう。
すごいなあと思って石垣観察をしていると、今度はコウガイビルが黄色く細い体を長く長く伸ばして移動しているのに出会いました。
名前は知っていたものの、実物は初めてみました。ありがとうGoogleレンズ。
そのあとはニホントカゲの幼体を見つけ、その尻尾の青の目の覚めるような鮮やかさに見とれたり、ベンチの下の砂からひょっこり顔を出したヤモリを捕まえたりしました。
都会の公園とはいえ、色々な生き物たちが夏を謳歌しているのですね。
ハナムグリがぶうんと重そうな羽音を立ててくぬぎの木へと向かう様子を見ながら、幼い頃に見つけた小さな夏がいまだにこの世界できちんと営まれていることに感動しました。
散歩に来た公園は多くの木々が豊かな梢を広げ、涼を得ることのできる日陰を作っていてくれるおかげで、この恐ろしいほどの暑さの中、随分と涼しく感じられるスポットです。山に作られている影響もあるのでしょう、遊歩道のほとんどがしっとりと湿った雑木に左右から包まれていて、非常に快適です。
一転、木立のないおそらく公園整備用の工事車両が駐車するためのコンクリートが敷かれたスペースは、そこに出ることを躊躇するほどの日差しが容赦なく照りつけ、地面から陽炎が立って見えるほど。
散歩コースの都合上そこを通過すると、一気に汗が噴き出て、肌は紫外線にジリジリとダメージを負わされるのがわかります。急ぎ足で通過すると、急いで森の中へ。公園の中央に向かって流れる小川にはメダカや川海老が泳ぎ、どっぷりと濃い色をした池にはアカミミガメが甲羅干ししています。木々の間に抜ける風は生ぬるいのですが、肌を十分に冷やしてくれます。湿度は高いものの、生き物と緑の匂いが濃いそこは、決して不快ではありません。木々の存在がこんなにも大きく感じられるとは。
体温よりも高い気温がここだけは嘘のように低く、多くの人たちが夏の日差しの爽やかさと、涼を楽しんでいました。
海が二酸化炭素を吸収し、雨を生み、降った水を土が蓄え、底から成長した木々が酸素を生む星に我々は生まれました。
精一杯生きていくために多くの発明を生み出し、進歩を重ねた結果、地球は数十年で驚くほど暑く、対して類を見ないほどの豪雨や水害を生むようになりました。
エコな暮らしが叫ばれて久しく時は経ちましたが、夏の暑さは私が幼かった頃よりもずっと厳しくなり、冷房のスイッチは切ればそのまま命の危険を孕むほどになってしまいました。
それでも多くの国と人が懸命にこれ以上の温暖化を食い止めようと、さまざまな対策や方針を打ち出し、努力しています。それは考えて見ればとても幸せな環境にいるのかもしれません。現在進行形で戦争や内乱の中にいる人々には、到底できないことだからです。
極端な意見はさておき、私たちが身近にできる対策や行動をしていけたらいいなと思います。
懸命に夏を生きる動物たちのように。
2023-07-19
「うちの子の様子がおかしい?」「狂犬病の注射を受けさせたい」「避妊手術はいつすればいいの?」など、お気軽にご相談ください。
tel03-3809-1120
9:00~12:00 15:30~18:30
木曜・祝日休診
東京都荒川区町屋1-19-2
犬、猫、フェレットそのほかご家庭で飼育されている動物診療します