温かい陽気と冷たい陽気が入り交じり、体調を崩す子が増えている今の季節ですが、もう少しで春になりそうな事は、膨らむこぶしの蕾で分かります。
同時に花粉が飛びはじめ、飼い主さん達が目や鼻の症状を訴えるのと時を同じくして、動物達も耳のなかが赤くなったり、口回りがかゆくなったり、といったアレルギー症状が始まりました。
こればかりはとうとう到来してしまったアレルギーシーズンに、前向きに対処していかなければなりません。3月後半から秋口まで、アレルギー最盛期です。昨年の時点でこの時期はまずい、という診断がでている子達は早めに抗アレルギー薬を使いはじめましょう。
今現在コントロールが上手くいっている子達も、これから症状がでてくるのは仕方ない事ですので、あまり落ち込まずに対処していきましょう。
三月以降、四月、五月、六月、は狂犬病予防接種のシーズンになります。
また同時にフィラリアの予防も始まる時期ですので、一年間元気だった子達も年に一度の健康診断をかねてかかりつけ医に早めに受診しましょう。
その際、一年間で食の変更や、生活環境の変化、たとえば家族が増えたり減ったりした場合や、引っ越しなどはぜひ伝えるようにして下さい。また体重の増減、食欲の有無、糞便や排尿の状況、飲水量の変化なども伝えるといいと思います。
大体の病院に慣れていない飼い主さんや動物達は、病院にきた緊張で、実際に聞きたかった事や確認したかった事を忘れてしまう事が多くあります。ですからそういった事はあらかじめメモをとり、診察室でそれを伝えるとよいと思います。
また咳やくしゃみ、発作などの行動の異常は口で伝えるのが難しいものです。ですから動画などで記録をし、それを獣医師に見せると誤解なく素早く伝わると思います。
また引っ越しなどで新しい病院に来院する際は、以前の病院で行った血液検査の結果やワクチンの証明書なども持参しましょう。ワクチンメーカーが違えば、副反応などの出方も違います。また混合ワクチン、と一言にいっても何種のワクチンであったかうろ覚えの方も多くいます。証明書には接種日も含めてその辺りもきちんと記録されていますので、ぜひ持参して下さい。
また受付でのポイントですが、今日は何を目的で来たか、伝えていただくとスムーズです。
例えば、ワクチンなのか、具合が悪いのか、お薬をとりにきたのか、ホテルの予約なのか、食事の引き取りなのかなど……。内容によっては診察を待たずに済んだり、待ち時間に書類を書くなどで結果的に早く帰れる事も多いので、先に伝えておく事が大切です。
実は自分が何をどう思ってここに来たか、という事を正確に伝えるのは難しい事です。
最近セカンドオピニオンを求めて来院される方が増えましたが、そういう方のお話をお聞きするたび、人同士のコミュニケーションは大変難しいものだと実感します。
望まれる獣医療を受けるために必要なのは、獣医師との上手なコミュニケーション、つまりご自分の中にある気持ちに向き合い、きちんと整理し、どのように言葉を選んで獣医師に伝えていただくかということに尽きるのだと思います。
またそのとき気持ちが整理できていないのであれば、「お話しながら、頭の中を整理がしたくて」と一言おっしゃっていただくのでも良いのです。具体的にその動物の治療に来たのか、その前にこれまでを整理しこれからの道を考えたいのかで、お聞きになりたい内容が違うでしょうし、獣医師としてお話しする内容も変わってくるからです。
前後のお話がなく唐突に、先生にお任せします、と言われた場合の対応は獣医師にとって本当に難しい事です。
というのも動物の医療はチーム医療になります。かかりつけの動物病院、ご家族、二次診療病院、この三つが三角形を作って支え、その上に動物達がのっている、という状況です。三者のバランスが崩れれば、のっている動物達も落下してしまいます。
とはいえ病を得た自分の家族を前にして、誰しもが冷静ではいられません。悩む事も悲しむ事も苦しむ事も、それが当然だと思います。
経済的な事、マンパワーの問題、病気の状況と治療の方向性、そういった事は考えるのが本当に厳しい事もあります。
それでも、それを考えなくては前に進む事はできません。それはその時、唯一飼い主様だけが決められる事だからです。
考える事をやめず一つづつ進んでいく事、動物達と暮らしはじめたその時から、それが飼い主様に課せられた使命です。
巡り会った動物達と最後まで幸せに過ごせるように、ぜひ一度、もしもの時の事も含めて考えてみていただけたらと思います。
もちろん私たちジャンボどうぶつ病院は、診断のこと、病気のこと、治療ののこと、経験してきた事例などをお話ししたり、飼い主様のお考えやお気持ちに寄り添った選択肢のご提案など援助は惜しみませんので、悩まれた際はご相談ください。
2018-02-28
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