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季節の変わり目と体調変化
季節の変わり目と体調変化

秋風に枯れ葉の香りが混じり、ニュースでは今年の紅葉が始まりそうだという話しが流れてきます。

日々過ごしている時は気がつきにくい季節の移り変わりですが、ふとした拍子に進んでいることに気がつきます。

例えば、暮れが早くなった夕方や、空の月がすんだ夜の墨色に照らされてとても高い所にかかっているとき。

街をいく人たちの服装に、秋色のアイテムが増えているとき。

葡萄色のショールや、橙色のブーツ、一枚多く装うその姿に、ああ、秋が来たんだなあと感じます。

hr

九月はおそろしいほど体調を崩す子が多い月でした。今年一番と太鼓判を押してもいいと思います。まだあと三ヶ月ありますが、そう言い切りたい。

残念ながらこの原稿を書いている現行、まったく過去形にできない状態ですが、十月がそうならないようにとの願いを込めて過去形で書かせて頂いています。

こういった一気にいろいろな子達の病状が悪化したり急変する月というのはじつは毎年あって、だいたいが季節の変わり目、とくに冬から春への時期と夏から秋へのこの時期が多いのです。

人間でもこの時期は体調を崩すことがおおいので、さもありなんといった所でしょうか。

これに加え台風などで気圧差が多く出る時期は、本当に鬼門だなあと思っています。

防ぎようのない地球的な変化ですので、こちらが出来ることはなるべく小さな変化を見逃さないこと。

いつもと違うな、なにか変だな?とおもう違和感があればなるべく早く来院することをお勧めします。

口頭で伝えられない動物達から、小さな変化を拾うためにはいろいろとご苦労も多いとは思うのですが、どうかご自身の目と感覚を信じて、異常を早く見つけてあげて下さいね。

動物たちと向き合う夜
動物たちと向き合う夜

さて、先日夜通し付き添う必要がある入院があり、久々に貫徹する機会がありました。

通常の見回りならば合間に仮眠を挟むのですが、張り付きの場合は分刻みで記録を取るので基本的に入院室から動くことがありません。

背もたれのある椅子にすわり、簡易のテーブルをだして、記録しなければならないカルテを書きながら、目の前の動物と一緒に夜を過ごします。

同時に必要な薬液や治療検査も判断しておこなっていくのでなかなかに忙しい夜になります。

貫徹って多分皆さん人生のどこかで経験があると思うのですが、している際中よりも翌日の昼過ぎ、もしくは夕方くらいから一気に疲れがでてくるものなんですよね。

夜通し緊張し急変に備えて意識を研ぎすまし、刻一刻の変化に治療法を随時変えていく夜の時間は、集中力が以上に強まり疲労も感じづらいのですが、一山越えて病状が安定すると一気に緊張感が解け、どっと疲れが出てきます。

この年になると流石に結構堪えるもので、窓から差し込む黄色く見える朝日に思わず硬くなった背中を伸ばしました。

hr

かつて大学病院に務めていたとき、はり付きといわれるこの徹夜を行うことがままあったのですが、ICUでひとり意識のない動物達を前に不安と緊張とでいっぱいになっている夜がゆっくりと開けて、窓から朝日が差し込んでくると、それはまさに希望の光のようにかんじました。

きっとよくなる、この夜を乗り切ったんだから大丈夫、そう信じるだけの力が朝日にはありました。

なにかあってももう一人で対処する必要もなく、頼りになる他の獣医師たちがたくさんいるという安心感でもあったのでしょうが、太陽という存在が神として崇めたて奉られてきた理由をそこにみた気がしました。

夜の闇を世界の片側から明るく染める光。見る間にその光は紅蓮に色を変え、夜を塗り替えていくのです。

朝焼けに照らされたコンクリートの駐車場で、供血犬の排泄のための散歩をしながら、それを徹夜明けのしょぼしょぼになって張り付いたコンタクトレンズの目をこすりながら見る時、そこには確かに神聖さと希望があったように思います。

実際、入院というと何をどのように管理され、治療されているのか、飼い主さん達には分からないことが多いと思うので、少し詳しく書いてみました。

少しでもイメージしやすくなってくれると嬉しいです。

でもできれば、入院しなくても一生健やかに過ごせるように、ジャンボどうぶつ病院としてサポートしていきます。

2021-09-30

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