動物病院HOME < 院長のコラム < 驚愕!お腹の虫のお話
梅雨ももうすぐ終わり、雨の季節とはさようならをして、夏へまっしぐらですね。
紫外線との戦いが日々続き、くじけそうになります。
アームカバーって何であんなに暑いのでしょうか?
プラス、紫外線ブロックのためのショールに、帽子、日傘。
なくてはならないアイテムですが、あまりの暑さ に世の中の女性達の静かな努力に脱帽します。
今年は五月の熱中症と言う、ジャンボどうぶつ病院的に驚きのニュースが有りましたが、実はその前に一件驚くべき事件が…
「吐いたらこれが出てきました!」
飼い主さんがビニール袋に丁寧に入れて持ってきてくれたのは、にょろにょろ動く犬回虫でした。
通常便から出てくる事が多い、消化管内線虫ですが、大量に寄生した場合、腸管内では混み合い過ぎて、胃の方にのぼって来る事が有ります。
そうすると勇んで苦しみながら大暴れをし、口から吐物と一緒に出て来る、と言った、非常にショッキングなことのが起こる事が有るのです。
これは人にも感染する可能性がある人畜共通感染症です。
虫の卵は大量に毎日、感染した動物の便の中に出てきて、周囲の環境を汚染します。
この卵は非常に強い殻を持っていて、塩素やアルコールなどでは全く歯が断たない強固な防護壁になっています。
乾燥にも強く、例えば道路で排便し、そこに卵がいた場合、二年程度は平気で生きている事が出来るそうです。
そう、例えそこに便の姿がなくても、道路には感染の機会を虎視眈々と狙っている回虫卵が…
例えば、お散歩するのが草むらなどではなくてコンクリートの道路だけであっても、そこが不特定多数の人間や、動物が行き来する場所ならば、何時だって感染の恐れは転がっているのです。
定期駆虫をお勧めするのはこういう事が実は良くあるからです。
このわんちゃんは、去年の12月まで、フィラリアの予防と一緒にお腹の虫も駆虫できるお薬をきちんと使って定期駆虫していた、とても予防に熱心なおうちの子です。
それでもたった三ヶ月の、しかも1、2、3月という一般に虫が少ないと考えられている時期に感染し、それが口から出てくるまでになってしまう、という恐怖。
飼い主さんも、わんちゃんも、そして私たちも驚いた事件でした。
ちなみにフィラリアと異なり、消化管内線虫は流行の時期など有りません、オールシーズン感染を待っている虫達です。
外のお散歩に行かれない、という方も要注意!
飼い主さんが外に出ないと言った事は先ずあり得ず、そんな飼い主さん達の靴底に卵がついて家に持ち込まれると言った可能性も否定できません。
近年人気のあるフィラリアのお薬は、こういった消化管内線虫三種類も一気に駆虫できる優れものです。
ノミ・マダニの予防も一手に引き受けてくれるので、出来ればフィラリアのシーズンが終わっても、その他の予防の為に、使い続けて頂きたい。
にょろにょろ動く虫をホルマリンに固定しながら、心から思ったある日でした。
2015-06-30
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