日中の蒸し暑さに対して、日が暮れた後に吹く風には秋の気配が少しづつ混じってきています。
道端で丈を伸ばした夏草は、その色を濃い緑から黄色く変え、代わりに猫じゃらしやススキがぐんとその勢力を拡大してきました。
お盆の時期を越えて、また一つ季節が進んだのを肌で感じるようになりました。
端的に言えば、なんか飛んでる…そう、目も耳も喉の中も痒い。ついでに皮膚すら痒い、これは…秋のアレルギーが来てる…!!
ブタクサやらなにやらの秋の草のアレルギーがある私、むしろ春より今からの季節がきついのですが、驚くべきアレルギーチェッカー精度を誇る私の耳の中が現在進行形で「痒いぜ!!」と自己主張を繰り返しています。
ここで痒みに屈し、耳かきや綿棒にお世話になると、途端ひどく腫れて外耳炎から中耳炎、鼓膜炎と進化し、耳鼻科の先生に「かきましたね…(怒)(呆)」と怒られながら薬を服用するハメになるため、必死でかきむしりたい気持ちを抑えています。
なぜなら行くところまで行くと耳道内にカビまで生えることを経験しており、そのカビの生える痛みときたら、ロキソニンだのボルタレンだのでは太刀打ちできないほどのもので、実際あまりの痛みに泣きながら夜間緊急で大学病院へいったほどだからです。
アイスノンで痛む耳を冷やしながら、泣きながら辿り着いた大学病院、同情の眼差しを向けてくれる若い研修医と、明らかに軽蔑と呆れと怒りを交えた「耳の痛みで緊急に来るんじゃないよ」的な視線の耳鼻科医、お二方の視線を忘れることはありません。
その日は手術が入っていてどうしても日中病院へ行けず、鎮痛剤で紛らわせていたのですが、帰宅後から猛烈な痛みで動けなくなる状況になったため、緊急外来へ受診の運びになったのでした。
でも確かに大変情けない、緊急とは命のかかった場合に行くところだと思っていたので、これで行く自分がものすごく恥ずかしかったです。
処方箋を持って地下に行った時が1番情けないやら痛いやらでひたすらグスグス泣いていました。実際、出た診断は外耳炎だったので、処方がステロイドだったのですが、残念ながら全然痛みが取れず、かかりつけの耳鼻科にいったところ、原因はカビと判明。
「これ取っちゃうから!取って薬入れないと治んないからね!」
と言われ、耳道カメラのモニターの中、白く繁殖したカビを先生がむしり取ってくれました。
「バリバリベリベリ!」
と冗談でなくすごい音がして、一瞬のものすごい激痛の後、一気にフッと痛みがなくなり遠ざかっていくのがわかりました。
「カビは耳道内に食い込んで生えていくから痛いんだよね、よく頑張ったね」
と言われて別の涙が出ました。
優しい…しかももう痛くない…
昨日あんなに馬鹿にされて叱られて、それでもちっとも良くならなかったのに…
昨夜あんなに惨めだったのに、一気に気が楽になって緊張でこわばっていたからだから力が抜けました。
あまりの感動で涙ぐんでいる私の外耳道は抗真菌剤を丁寧に塗り込まれ、それだけで頭が割れるような言葉も出せずにうずくまるしかないあの痛みはすっぱり消えました。
「三日後にまたきてね、カビはね、洗浄と薬塗るしかないから」
なるほど、動物と一緒なんですね…
三日後にもちろんちゃんと行きましたし、その三日後に完治のお墨付きをいただきました。
そんなわけで皆さんに言いたいのですが、カビの生える外耳炎は死ぬほど、洒落にならないほど!痛いので絶対にならない方がいいです。人は犬猫と違って耳かきができてしまいますが、絶対にやりすぎないようにしてくださいね!
耳が痒い時は、実際花粉症の一症状であることもあるので、そちらの治療に耳鼻科に行きましょう。
ちなみに犬猫に生えるカビは私の耳に生えたカビよりも、丸くてだるま型をしたタイプが多く、これはあまり痛みが出ません。
でも、免疫が弱ったときやじめっとした環境、ベースにアレルギーがあったり、免疫力抑制剤を使っている時などに繁殖しやすいのは同じで、治療は洗浄と薬の塗布がメインなのは同じです。
また繁殖力が非常に高く、毎日耳掃除しても翌日にはべったりと黒褐色の耳垢が冗談のように出てきます。
え、昨日綺麗にしたのに?あれは、幻?と思う時は要注意です。
ちなみに悲しいことに、綺麗好きな方が丁寧に掃除をしすぎることで耳の中の恒常性が壊され悪化することが多いので、いじりすぎずに速やかに病院へ向かいましょう。
これも人間と同じです。
お盆明けから急速に増えている外耳炎、垂れ耳の子の耳だけでなく、立ち耳の子たちでも増えています。
人も動物も痒みが出たら病院へ、いじり過ぎる前に、病院へ。
私の失敗をぜひ教訓にしてくださいね。
2022-08-31
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