動物病院HOME < 院長のコラム < 動物の肥満は万病の元
2016年、初めてのコラムになります。 周りではようやくお正月ムードが抜けてきて、食卓へのお餅の登場回数が減り、食べ残していた伊達巻きやかまぼこも、お別れしました。
お節の中では、特に栗きんとんが子供の頃から変わらず好きなのですが、この数年は中華お節を食べているので、中に入っている栗はからりと揚げられている香ばしいものです。 あのねっとりとした甘さのきんとんが、無性に恋しくなります。かといって一皿買うにしては、全部一人で消費できる訳も無く、指をくわえて見ているだけになります。
お正月太りとは良く言ったもので、年末年始のお休みが明けると、明らかに体重計が恐ろしい数値をたたき出す訳ですが、これが例年段々戻らず増量の一途をたどっております。
今年こそ、何か継続的な運動をしなければ、体力低下も甚だしく、長生きも出来ない気がするので、真剣に取り組みたい気持ちだけは満載です。気持ちだけは…。
そもそも、年越し蕎麦に始まり、お雑煮やら、焼き餅、お汁粉、甘酒、お節ときて、外食も増えるのですから、一年のなかでこれほど美味しいものに彩られる季節もありません。
基本的に生きている限り、体重は正常であればふえていくものです。何かしらの病があれば減っていきますが、それは死ぬ事に直結するのが自然界です。
野生に生きていたら、肥える事も無いのか…とちょっと気持ちが明後日の方向に行ってしまいそうになりますが、今お話ししたい事はそうではなく。
体重管理は動物にとってもとても大切である! という事なのです。
なぜか? 万病の元であるのです、残念ながら。
これは犬種にも寄りますが、太る事は呼吸を阻害する事になります。
空気の通り道である気管は、ホースの様な凹まない形の管ですが、ヨークシャーテリアやポメラニアン、パピヨンなどの小型犬では、気管がつぶれてしまう気管虚脱という病気があります。
呼吸のタイミングで気管がべこべことつぶれたり開いたりするので、まるでガチョウの声の様な、もしくは豚の声の様な音を出し、発作のようにも見られる呼吸症状です。
これは喉がせせこましく出来ているという、先天的な問題で起こるのですが、悪化させる原因に、体重の増加があります。 喉の周りにたくさんの脂肪がつくと、ただでさえ狭い喉がさらに満員電車のように狭くなり、より気管がつぶれやすくなってしまうのです。
また、いびきをかく子は軟口蓋過長がある事がほとんどですが、これも太っていると余計に酷く症状がでます。
また肺をおさめている胸郭と言う肋骨で作られた胸の中に、脂肪が沢山つくと、肺が広がりづらくなり、呼吸が浅くなります。
体重量があまりに多ければ、それだけ血液を送り出す力も必要になりますから、心臓への負担も増えます。
またダイレクトに、膝関節や股関節、肘関節などの関節にかかる負荷が増え、最悪、靭帯や軟骨を損傷してしまう事になります。靭帯や軟骨に障害が出れば、歩く事が出来なくなり、日常生活を全う出来ません。
また美味しいものを長く食べさせていれば、糖尿病になる事もあります。こうなった場合、インスリンを投与しなければいずれ、外の病気を併発して死んでしまう可能性もあります。
これに加え、猫ではおしっこの病気、所謂下部尿路疾患では、太っている事が良くないとされています。
ざっと上げただけでも色々な病気を悪化させる可能性があるのです。
症状により、薬を使わざるえませんし、薬に頼りたくなる気持ちは分かりますが、 本来であればきちんと減量をし、食事内容を今一度見直し、間食をせず、適度な運動をすることで、予防できるものなのです。
薬の副作用や麻酔のリスクに怯えるくらいなら、食事のコントロールの方が、ずっとずと身体に無理が無いはずです。
地道な努力ですし、すぐに結果が見られないかもしれません。けれど状態によってはそれしか治療法が無い場合だってあるのです。
書いていて胸が苦しくなってきました。
動物だけでなく、人間も同じですね、本当に真剣にダイエットに取り組まなければなりません。
今、ダイエットを一度トライしようと思われた方は、是非、私と一緒に始めましょう!
ご挨拶が遅れましたが、本年もジャンボどうぶつ病院を、どうぞよろしくお願いいたします。
2016-01-15
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