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新型コロナより深刻?
新型コロナより深刻?

二月だというのに妙に温かい日が続いたり、雨が降ったりまた寒かったりとめまぐるしい気候に、体調もおかしくなりますね。

ものの見事に、下痢と嘔吐の子達が増えています。

飼い主さん達のなかにも体調を崩していらっしゃる方をお見受けします。

どうぞ早め早めに休息を取り、酷くなる前に治療を受けて下さい。

新型コロナのプチパニック
新型コロナのプチパニック

さて世間では新型コロナウイルス感染症の話題で席巻されています。日々増える感染者数と多数の地域に渡る発生に、何ともいえない気持ちになります。

患者様のどうかなるべく早い平癒を心からお祈りしています。

また医療関係者、公衆衛生的な配備に関係する各省庁の皆様の負担が軽減される日が早くきますように。

今回のマスク、アルコール消毒薬など転売や買い占め、それに付随する不足などの状況を見るたびに、軽いパニックに陥っている日本の状態が非常に悩ましいと感じます。

狂犬病の致死率は99%
狂犬病の致死率は99%

何を考えているかというと、狂犬病が万が一、日本国内に入ってきてしまった場合についてです。

これは繰り返しになりますが、狂犬病は感染し発症した場合、99%の死亡率をほこります。

けれどコロナウィルス感染症の致死率は、エボラウィルスや狂犬病ウィルスに比べ随分低く、適切な治療により回復するケースが多いようです。

それでも、これだけ日本中がパニックになるのです。純粋にそれがとても恐ろしく思えました。

狂犬病は発症したら最後、助ける手段がありません。特別な治療法は発症する前にきちんと接種されたワクチンだけで、発症してしまえば間に合いません。

名前から勘違いされますが、感染する対象は、犬、人だけでなく、ありとあらゆる哺乳類です。猫を初めアライグマ、狸、コウモリなどの野生動物にも感染し、汚染地域を広げます。

飼育されている動物達の大多数が感染源となる可能性があり、ペットと暮らす人たちの生活に大きな影響を与えます。

しかも新型コロナウイルスと違い、世界中に分布しており、日本のかなりシビアな検疫が必死に水際で侵入を防いでいるぎりぎりの状態の、世界で一番恐ろしいとされる人畜共通感染症なのです。

もちろん、今回のコロナウイルスは新型で、まだ詳しい伝播経路やウイルスの性質が分からないこと、対応するワクチンがないこと、飛沫感染で集団感染しやすいことなどがあり、正確な情報が潤沢でないことも人々の不安を増長しているのだと思いますが。

狂犬病ワクチンの接種率が下がっている日本
狂犬病ワクチンの接種率が下がっている日本

それに対して致死率ほぼ100%、しかも動物を介してうつると分かっている狂犬病が日本に入ってきたら?

パニックですむのでしょうか?

犬を連れているだけで、攻撃や口撃の対象になってしまうのではないかと不安にかられます。

しかも現在、非常に残念なことに狂犬病ワクチンの接種率は横ばいか少し減っていて、法的に義務づけられているのに何年も打たないでいるのを平気で公言する飼い主さんも少なくないのです。

日本に今ないのになんで打たなきゃならないの?という主張で打たれていない方が多いのですが、現在なくとも明日はいって来るかもしれない、世界情勢はそういう状況なのです。

万が一、そうなったら今回の新型コロナ程度ではすまないパニックになることが容易に予想される、だからちゃんとワクチンを打って下さいと法律で決まっているのです。

もし日本に入ってきた時に、狂犬病ワクチンを打っていない犬達がどのようなことになるのか、今回のプチパニックを通して想像して頂きたいです。

これはありとあらゆる感染症にいえることで、ウイルスも細菌も進化します。

これは変異という言い方になりますが、いつまでも同じ形を維持している訳ではなく、長くより強く生き延びるためにその形を変えていくのです。

ですから今回新型が出たのはなにも珍しいことではなく、今後もこういった事例が増えていくでしょう。

動物虐待の通報が義務化されます
動物虐待の通報が義務化されます

少し前には、マダニから感染するウイルス、重症熱性血小板減少症候群(SFTS感染症)に飼い主さん、飼い犬、猫だけでなく、獣医師と動物看護師が感染して入院する事例がありました。

ちなみにSFTSの致死率は今回の新型コロナウイルスよりも今の所高い感染症です。

マダニの予防を徹底することが対策ですが、こういったニュースやお知らせが流れても残念ながら予防率はあがっていません。

なぜでしょうね。

今回のこの感染症に対しての対策や対応は、これから先も必要とされていくと思います。

正しい知識を、正確な情報源から得て、普段から意識を高めておくこと。

冷静さを失わず、間違った情報に踊らされないこと。

手洗いうがい、アルコール消毒はインフルエンザにも有効で、毎年注意喚起されているのに、今年に限って石けんやマスクの消費量が馬鹿高くなったのはなぜか。アルコール消毒薬が足りなくなったのはなぜか。

こういったことを今一度自ら考え、これから先の公衆衛生についても、意識をしてみる必要があると思います。

2020-02-16

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