動物病院HOME < 院長のコラム < たかが爪切りされど…
夏らしい高い高い空が、雷鳴を孕んだ雲をまるでキャンバスに悪戯に塗った絵の具の様に浮かべています。
盛夏真っ盛り、今年は冷夏だと言われましたが、そもそも夏と言う季節が後ろにずれてきているのではないかと言う、うしろ寒い気がするのは私だけでしょうか。
昨年も感じましたが、日本は温帯に属していたはずなのに、毎年熱帯に近づいている気がします。
これが所謂温暖化のせいならば、孫子の代になった時には、この世界はどうなってしまうのか。 突然の終末思想に取りつかれたわけでは無く、科学的に恐ろしいと少し感じます。
さて、季節がうつろうのは早いもので、2015年は瞬く間に半分以上が過ぎました。
今年の目標として掲げたはずの運動する、というのは腰痛に妨害され果たせていない、と言う言い訳をしています。
非常に愚痴めいたことですが、ジムに通う、やボクササイズをする、はては筋トレをする、といった要望が、今の体はそういう状況ではありません!!ストレッチかウォーキングが関の山です!と整体の先生に言われてしまえば、いったい私はこれからどうなるのかと、世界の終りよりも自分の老後が心配になります。
長生き、したいなあ、切実な最近の願いです。
もし腰痛持ちでも出来る、気軽な運動があればぜひ教えていただきたいです。
今回は身近なケアのお話。
「爪切りの頻度はどのくらいでしょうか?」
良くある質問ですが、実は結構細やかなお返事が必要になります。
などなどによって異なってきますので、一つとして同じ答えができる子はいないのではないかと思います。
ただ、おおよその指標として、一か月に一度、という事は言えるでしょう。
現在日本で多く飼育されている小型犬は、体重が非常に軽く、残念ながら自重で爪が削られることは少ないのです。
ですから定期的に爪切りにいらしていただくか、お家で頑張って切っていただくことになります。
ある程度の重さがある大型犬から中型犬であれば、散歩に毎日出ている場合、爪切り自体がほぼ必要ない事も多いです。
ですから飼い主さんの中には、え、爪って切るの?と思うわれる方もいらっしゃるはずです。 但し前肢の狼爪と言われる親指の爪は、地面についていませんので削れることがありません。
ですからやはりこれも定期的に切ることになります。
定期的なトリミングを行っていらっしゃる場合は、そこで必ず爪切りもするので、基本的に心配はありません。
猫の場合、自分で爪とぎをしますがその鋭い爪が飼い主さん自身を傷つけたりする場合も有りますし、外に出ないのであれば武装する必要もないので、やはり一か月に一度くらい切る必要があります。
高齢の猫では甲状腺機能亢進症などを発症している場合、非常に大きく鞘の重なった爪になっていたり、純粋に爪とぎをしなくなって、大きくなった爪が自分の肉球を突き刺してしまっている場合もあります。
またスコティッシュ・ホールドのように、足の問題がある子は爪を研がないため、この傾向が顕著です。
また兎は野生では土の上や、草の上で生活しアグレッシブに動き回る生き物です。穴を掘り地面をかけ、自然と削れるはずの爪は、すのこやコルク板、または絨毯やフローリングでは削られません。
存外長く伸びてしまうので、やはり一二か月に一回は爪切りに来て頂いた方が良いようです。
先日三か月ぶりに爪切りにいらした兎さんが、かなり長く爪が伸びてしまっていて、前足の爪が二本折れていました。
上手く血管が伸びていないところで折れたらしく、他の指と比べて明らかに短い爪に、折れた痕跡を感じた、と言うケースでしたが、これは幸運なことで、あまり長く伸びた爪は、何かにひっかけた時に酷い時は指ごと折れてしまったり、血管のある位置から折れて出血したり、根元から折れて生爪を剥がしたようなことにもなるのです。
飼い主さんは、最初爪が折れているとお話したときには、ええ?!骨折したんですか?!とかなり心配されていましたが、幸い骨折しているわけでは無く、単純に爪だけが折れていたのですが、うさぎさんの場合、非常に骨がもろく、また自分自身の脚力が強いため、自分のキックで暴れた際に腰骨を折る事すらあるのです。
ですから大げさではなく、何かに爪が引っかかって、そのことに驚いたうさぎさんがもがいた拍子に骨が折れる…最悪そう言ったケースも想像されますので、爪切りは定期的の行いましょう。
爪だけで済んだケースでしたので、本当によかったなあとしみじみ思いました。
兎の骨折はうさぎさんを飼われている方の中では非常に有名なリスクですし、絶対に避けて頂きたい事象です。
万が一の場合は、固定や手術といった対応になります。
また解放骨折と言って、華奢な骨が折れて先がとがっていると、薄い皮膚を突き抜けて、骨の先が露出してしまうことがあります。そういった傷は中で折れている場合と異なり、汚染された傷となって感染のリスクが増大します。
骨自体が上手くつかないどころか致死につながる事もありますので、骨折の処置は緊急性の高い物です。
折れていて様子見、と言う事はまずできませんし、ありえませんので、疑われるときはスピード勝負です、
なるべく早く病院へいらしていただき、適切な処置をしましょう。
たかが爪切り、されど爪切り、日常のケアの範疇でこう言ったリスクを回避出来ますので、大変かもしれませんが、定期的なチェックは怠らないようにしましょう。
2015-07-31
「うちの子の様子がおかしい?」「狂犬病の注射を受けさせたい」「避妊手術はいつすればいいの?」など、お気軽にご相談ください。
tel03-3809-1120
9:00~12:00 15:30~18:30
木曜・祝日休診
東京都荒川区町屋1-19-2
犬、猫、フェレットそのほかご家庭で飼育されている動物診療します