ぽかぽか陽気が続く三月、一気に春めいてきました。 夜は少し冷えますが、昼間は随分と温かく過ごしやすくなりましたね。
私事で恐縮ですが、今年始めて花粉症を発症しました。
これは、本当に辛いですね…。 周りの家族や友人には花粉症持ちの方が多いのですが、それを毎年本当に大変そうだなあと見守ってはや数十年。まさか自分事になるとは思いませんでした。
鼻水はマスクの下でだらだら、くしゃみは止まらない、咳も酷くて夜眠れない。
横になると途端始まる咳のし過ぎで腰まで痛くて、咳をするたびに腰を押さえてうなる始末…。
目もかゆいし、目と鼻の奥は鈍痛がするし、春は地獄の季節だったのか…と涙目で過ごしております。
花粉が飛びはじめた頃合いから、冬場に皮膚の状態が安定し、薬を極力減らしてケアだけで頑張っていた子達が、一気に悪化してしまいました。
これはやはり関連があるとしか思えません。もう少し寒ければまだ頑張れたのではないかと、今年の暖冬を非常に恨めしく思っております。
皮膚病といえば、今年は皮膚の治療薬に新薬が参入します。
ステロイドとほぼ同等の痒み止めの効果を持ちながら、ステロイドとは全く異なるお薬です。おそらく皮膚科の治療としては新しいアプローチが出来るのではないかと思います。
まだ発売時期は未定ですが、今年中には確実に発売されるらしいので、期待しています。 現時点ではコスト面での話が面白い程聞こえてこないので、それについてはやや不安です。
皮膚病はアレルギーベースであれば、治る事はありません。 上手く一生付き合っていく病気ですから、短時間ではなく長期にお薬を使う事を考えると、コストは馬鹿に出来ません。 なるべく手頃なものになると良いなあと願っています。
副作用などの報告も、ステロイドに対して少ないのが特徴です。新しいお薬に良くある特徴として、ピンポイントで効く=副作用が出にくいというものがあるのですが、このお薬も痒みのレセプターだけに効くのが非常に良い所です。
三年前から海外では症例報告があがっていますが、国内ではようやく認可が下りて販売開始になる、と言われると、時間差を感じざる得ませんね。
実際のところ、海外では当然の様に用いられているお薬が、国内では認可が全く下りない、という話は良くあります。
たとえばサリドマイド、これは癌治療に用いられると新生血管成長を阻害してくれるため、癌の発育を優位に抑制してくれます。妊娠中の動物以外であれば副作用も眠くなる程度のもので、とても有り難いお薬ですが、国内では取り扱いがとても難しいのです。 なぜか?
サリドマイド、と聞いてピンときた方もいらっしゃると思いますが、これは鎮静・催眠薬として1958年から1962年頃にかけて世界数十カ国で販売された一般的なお薬だったのです。
しかし、妊婦が服用した場合、胎児奇形という重大な薬害事件を引き起こし、一度は医療現場から姿を消していました。
これは非常の大きな薬害問題で医療倫理が強く問われた事もあり、未だに名前だけで拒否反応がある方も多いと思います。 ですが今、その作用を正しく用いれば抗腫瘍効果など有益な効能がある事が分かってきました。
けれど感覚に根付いたものはなかなか払拭できないものです。一般的に流通するにはまだ時間がかかりそうです。
国内で認可を取っていない薬を使う場合、責任は個人が負う事になります。 副作用が出ても自己判断で用いたという事になり、製薬メーカーは責任を取りません。
これは人間の子供のワクチンなども同じで、現在は不活化ワクチンが主流になっているポリオも、数年前までは横浜市の様な特定の地域でしか助成がありませんでした。
不活化ワクチンを取り扱う病院へ行くと、簡単にいえば【副作用が出て何か障害が出ても、何も責任は取れないし、それで出た障害の治療の助成もないよ】という念書にサインを書かされたものでした。
新薬は、待ち望む声に答えて生まれるものです。 そして薬は用い方によっては毒にもなります。
100人中99人が良い効果でも、たった一人に毒として作用する事もあるのです。 副作用が全くない薬なんてありません。 それは所謂サプリメントや漢方やホメオパシーなどです。
薬効を保証されている、という事は厳しい基準をクリアしたという事と、その薬を世に出すために基準をクリアするコストをそれだけかけた、という所があるのです。
ともかく、良い薬がなるべく安価に使う事が出来ると良いなあと思っています。
2016-03-31
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