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オスとメスの見分け方
オスとメスの見分け方

昼間は日が当たると暖かいのに、日陰や夜になると急速に冷えるようになりましたね。 もうすぐそこまで、冬が近づいてきているのが分かります。

ハロウィンもおわって、町は急速にクリスマスのイルミネーションに向かって準備がされていますね。

ことしも残すところ、一ヶ月半。 本当に一年が短い!
年を重ねるたびに、時の早さを感じる不思議です。

意外に難しい?オスとメスの判別
意外に難しい?オスとメスの判別

さて今回は、雄と雌について!

皆様、ご自身の飼われている動物の雄雌はお分かりですか?

先日、外猫だった猫ちゃんがようやく家猫になるという素晴らしい幸運があったのですが、 その際に「身体も大きいし、強い子だし、男の子だと思います」 とお聞きして治療に当たると、女の子でした。

また、随分前ですが、「この子、乳首があるから女の子ですよね?」と聞かれた事もありますが、 ほ乳類である、人の男性に乳首があるように、雄の犬にも猫にも乳首があります。

これに関して言うと、雄であっても、去勢されていない老齢犬では、精巣腫瘍が発生すると、そこから女性ホルモンが分泌され、雌性化する場合があります。つまり、雄でもおっぱいが大きくなったりすることもあるんですね。

犬と猫のオスメスを見分ける方法
犬と猫のオスメスを見分ける方法

雄雌の区別は、基本的に精巣や陰茎の有無で見極めるのが最も簡単だと思います。

犬の場合

犬の場合は、オスはお腹側に陰茎がついていますので、分かりやすいですね。
また後ろからみれば、プードルのように毛で隠されていなければ、肛門の下に陰嚢が見え、そこに睾丸が見られます。

ですが、昨今は若いうちに去勢手術を行う事が一般化していますので、後ろから見ても陰嚢自体が縮んで、はっきりしない事もあります。

雌は、犬の場合、肛門のしたに、会陰があります。 見ようによってはお尻の穴が二つ縦に並んでいるように見えるはずです。

猫の場合

猫の場合、少し見にくいかも知れません。

肛門の下にオスなら陰茎、すぐ下に小さな陰嚢の膨らみと中に睾丸があり、 雌では会陰があります。肛門との距離がオスの方が離れています。

オスの陰茎は包皮に包まれているので、外に露出されておらず、包皮を引張っると出てきます。 陰嚢は去勢によって縮みますので、後ろ姿だけでは雄雌が分からない事が多いです。

前述の猫ちゃんは外猫さんだった子が、お家に貰われる、というしかも子猫ではなく、成猫だったので、分かり辛いケースでした。

いろいろな動物のオスメスを見分ける方法
いろいろな動物のオスメスを見分ける方法

フェレットの場合

フェレットはオスの場合、下腹部のへその下に、尿の出る穴があり、ぐっと押すと中にしまわれている陰茎が現れます。

犬と同じく陰茎骨がありますので、硬く感じるかもしれません。

メスは尻尾の下の肛門とそのすぐ下に会陰があります。

ハムスターの場合

これは子どもだととても見分けにくいのですが、生殖器と、肛門の位置が離れているのがオスで、近いのが雌です。

大人であるともう少し分かりやすく、オスは尾の付け根が陰嚢でぷっくりと腫れて見えます。

モルモットの場合

一般的に、モルモットのオスとメスの見分け方は難しいといわれていますが、生後1ヵ月ぐらいなら、見分けやすくなります。

メスでは、肛門部を押し広げてみると、生殖器の部分が、尿道口や肛門を含めて、Y字のくぼみのようなやや縦型の形になり、オスの肛門の開口部は丸い形で、I字のくぼみのようになりで、その上に、陰茎が存在します。

ぐっとおさえると陰茎が露出するのはフェレットと同じです。

ウサギの場合

大人になったオスには睾丸があるので、すぐに見分けがつきます。

ただし生後3カ月くらいまでは睾丸がおなかの中に隠れているので、性別はわかりにくいものです。

生殖器の周囲を押して先端を広げてみて、先端が丸くなっていればオス、スリット状ならメスだと判断できます。

またメスはオスよりも、生殖器が肛門と近く、つながっているように見えます。

これもでも個体差があり、小さな時は見分けはかなり難しい場合が多いです。

hr

いかがでしょうか? 外見上で雄雌が分かりやすい場合もあるのですが、フェレット、ハムスター、モルモットなどのエキゾチックアニマルでは難しい場合が多いです。

以前勤めていた病院で、アオジタトカゲをつれて来院された方がいらして、しっぽがとれてしまったとの事でしたが、 飼い主さんも雄か雌か分かっていらっしゃらず、男の子の名前がついていましたが、しっかり女の子でした。

詳しくお話してきましたが、基本的な雄雌の区別は、陰茎の有無によるものです。 これが包皮の中に埋まって外見からはっきりしない場合が見極め困難となると考えられます。

三毛猫はみんな女の子?
三毛猫はみんな女の子?

例えば、三毛猫には雄がほとんどいません。 これは毛色遺伝子が関係しているもので、ご存じの方も多いかもしれません。

毛色の遺伝子がメスの性別を決めるX染色体の上にしかのらないため、。 メスの染色体はX染色体が2本あり「XX」で、オスはX染色体とY染色体が1本ずつある「XY」です。

ちなみに「白色毛遺伝子」は常染色体にのっているためXYの性染色体に関係なくオスでもメスでも持つことができますが、黒や茶にする有色の遺伝子はX染色体の上にしか乗りません。

つまりX染色体で毛色が決まるので、「XX」のメスは、Xが2つあり、黒黒、黒茶、茶茶になる可能性があるわけで、これに白が加われば2色あるいは三毛猫になり、「XY」のオスは、Xが1つだけで黒か茶のどちらか1色しか持たないので、白が加わっても最大2色にしかなりません。

同じ理由で、さび猫に白が混じった、いわゆるトーティー&ホワイトにも、雄はほとんどいません。

ごくまれに染色体異常で「XXY」という染色体を持ったオスが生まれることがあり、その確率はずっと低く、3万匹に1匹ぐらいと予測されています。

このような異常な染色体をクラインフェルター症候群といい、猫だけでなく、犬もブタや馬も、人間にもあるそうで、人間の場合には、500人に1人もいるようです。

XXYの場合、毛色の遺伝子情報を2つ持った上にオスとして生まれてくる事があります。

三毛猫の雄は、その希少さよって幸運の守り神とされたのでしょう。
獣医の私でもまだ一度しかあった事がありません。

このように猫の場合、毛色でもその雌雄を判断できる場合がありますが、 万万が一の確率で、三毛猫の雄の場合もありますから、はっきりした事はやはり外貌からではいえないのです。

こうして見ると、人間は外見から性差がはっきりしやすい生き物なのかも知れません。

2014-11-15

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