院長のコラム

動物病院HOME < 院長のコラム < 新しい痒み止め薬(2)

新しい痒み止め薬(2)
新しい痒み止め薬(2)

夏休みも終わり、日常が戻ってきました。夏の名残りを惜しみながら、過ごしやすくなった毎日に少しホッとしています。

前回のコラムで取り上げたサイトポイント(ロキメトマブ)ですが、もう少し詳しく説明をしていきたいと思います。

実は11月を目処に発売されるとのことで、思ったよりもかなり早かったのです!

これはこの新薬の認知を高めなければ!!と思った次第です。

サイトポイントの特徴
サイトポイントの特徴

さて、サイトポイントのおさらいですが、以下の特徴があります。

  • 痒み止めである
  • 犬専用である
  • 注射薬である
  • 一回使うと、4から6週間ほどの効果がある
  • 1から3日ほどで早く効く
  • 化学合成物ではない
  • タンパク質である
  • 副作用がほぼない
  • 幼犬の時から使える
  • 他の薬との併用制限がない
  • アトピー性皮膚炎に特化し、約70%に有効
  • 臓器毒性の報告なし=腎臓や肝臓に障害があっても使う事ができる
  • 現時点で短期、長期有害作用報告なし(アメリカでは2016年から、EUでは2017年より使用実績あり)
  • 分子標的薬であり、モノクローナル抗体(医)薬である
  • まれだが、使用を継続するうちに効果が得られなくなることがある
  • タンパク質なので、理論上アナフィラキシーショックが起きることがあると考えられるが、実際はきわめて稀で、0.0001〜0.001%の確率とされる

皮膚科医療の大きな進歩
皮膚科医療の大きな進歩

ざらざらとかきましたが、驚くべき特徴がたくさんあり胸が高鳴りますね。

現在、当院で主に使っているアポキル(オクラチニブ)との共通点もありますが、全く別の薬であることがよく分かります。

どちらかがより良いという訳ではなく、どちらもかなり有効な痒み止めです。

二十年前にはステロイドか抗ヒスタミン薬しかなかった皮膚科の世界にどれほど大きい影響を与えているでしょうか。

三年前にアポキルが発売された時に発生したとある出来事を、アポキルショックと呼んでおられるというお話もありましたが、本当にそうだと思います。

実際、アポキル発売後、痒みの第一選択薬はステロイドではなくアポキルに変わりましたし、どうしても使わなければならなかったステロイドの量も激減しました。

シクロスポリンに関しても免疫抑制やリウマチなど多目的では使うものの、痒み止めとしては使用量がとても減りました。

これはその分副作用がとにかく少なくなり、使う薬の量自体も減らすことができているということです。

それに加えてサイトポイントの発売は嬉しい悲鳴です。

ずっと痒みと向き合わねばならないアトピー性皮膚炎の犬達に取ってどれだけ朗報なことか!

両者の特徴を生かし、併用することができるのもポイントが高い点です。

アレルギーを下地とした慢性のアトピー性皮膚炎は常に痒みに晒されていて、自然に治癒することはありません。

上手にコントロールしてうまく付き合っていくものです。完全に治癒すると考えていると辛いものなので、飼い主さん自身によっては病気の認識自体を変えていく必要もあります。

かつて治らない病気だったものが、薬の進化によって治癒していく、素晴らしい技術と開発に心から感謝したいと思います。

今まで悩んできた方こそ、新しい治療を試してみる価値があると思います。

是非相談してみて下さいね。

2019-09-15

院長のコラム トップ

「うちの子の様子がおかしい?」「狂犬病の注射を受けさせたい」「避妊手術はいつすればいいの?」など、お気軽にご相談ください。

「うちの子の様子がおかしい?」「狂犬病の注射を受けさせたい」「避妊手術はいつすればいいの?」など、お気軽にご相談ください。

tel03-3809-1120

9:00~12:00 15:30~18:30
木曜・祝日休診

東京都荒川区町屋1-19-2
犬、猫、フェレットそのほかご家庭で飼育されている動物診療します