動物病院HOME < 院長のコラム < 狂犬病の注射は必要?
花散しの雨が続き、あれだけ絢爛に咲き誇っていた桜はあっという間に散ってしまいましたね。
一年間桜を待ちながら、その花を愛でる事が出来るのは本当に一瞬のことで、 だからこそ、儚い美しさに人は皆、心を揺さぶられるのだと思います。
さて、春は予防の季節です!
先週から狂犬病ワクチンの集合注射が開始されていますね。
区への登録を住ませていれば、皆様のお家にも、「平成27年度 狂犬病予防定期集合注射のお知らせ」というハガキが来ていると思います。
狂犬病のワクチンを打つ際には、集合注射の会場でも病院で受ける場合も、このはがきをお忘れなく、お持ちになってくだ さい。
はがきがあれば、その場で注射済み票の交付をする事が出来ます。
以前、狂犬病ワクチンの説明のページでも書いたのですが、狂犬病ワクチンは唯一の法的に決められたワクチンです。
現在、日本国内には狂犬病の発生は見られませんが、これは世界的に非常に珍しい事で、戦後の狂犬病予防法に基づく飼い主さんと国と獣医師達の努力があって、漸く勝ち取ったものです。
極端な言い方をすると、多くの感染者が発生し亡くなり、感染リスクのあるとされた犬達が大量に殺処分されたからこそ、今の状況にあるのです。
多くの犠牲と時間と努力の上にある現状ですが、海外との距離が近付いた現代、いつ狂犬病が国内に入ってもおかしくありません。
実際に、つい最近、台湾で狂犬病の発生例が見られ、懸命な検疫を新たに行っている所です。
「国内にないから、狂犬病ワクチンを打たなくても良い」というのは一見ごく普通の意見ですが、万が一の発生があった場合、法的に規制される場合もありえます。
また狂犬病という病名から、犬の病気のようですが、実際はほ乳類では全て感染する可能性があります。
海外では、アライグマ、コウモリなども、この病気の拡散に一役買っていることが知られています。
勿論、猫も感染しますので、国内に入った場合、あっという間に、山間部など一地域の問題ではなく、都市部でも感染が広がる事は十分考えられます。
狂犬病は感染し、発症した場合、ほぼ百%死亡してしまう恐ろしい病気です。
人間も例外ではありません。又、神経を侵すウイルスなので、症状も激烈で見るに耐えないような悲劇的な経過をたどります。
だからこそ、世界各国がこぞってワクチン接種率を高めようとしているのです。
残念ながら、先進国の中で珍しい事に、日本の狂犬病のワクチン接種率は年々低下傾向にあります。
狂犬病ワクチンに対する正しい知識が、上手く共有されていない事があげられると思います。
ネット社会がこれだけ身近にある時代、玉石混淆の情報の中から正確な情報をえることは、かえって難しいのかもしれません。
日本人は非常に清潔指向があるのですが、逆に、これだけ綺麗なのだから自分の子は大丈夫という間違った自信を生みやすいとも言えます。
病原体は目で見えません。そしてSPFの実験動物のように飼育されている訳でないなら、飼い主さんは日常的に外界と接触していますから、どの子も等しく感染のリスクはあるのです。
抗がん剤を使っていたり、重病を治療中であったり、免疫病の治療をしている場合は猶予を申し出る事が出来ますので、どうぞご相談ください。
そして今一度、狂犬病ワクチンの大切さを考えて頂けたらと思います。
2015-04-15
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