動物病院HOME < 院長のコラム < インフルエンザのワクチン接種
庭の草花が色づき、紅葉の季節になりました。ですが秋の風はまだなんだかやわらかくて、朝晩の冷え込みも今一つ、日中の気温が20度をこえて、厚着をすると汗ばむほどです。暦の上ではすでに立冬をこえて、冬になっているはずですが、気候変動を感じざる得ない今日この頃です。
秋ってこんな感じだったかしら?と思いながら、先日インフルエンザのワクチンを接種してきました。
地味に注射があまり好きではないので、打つ所からは目を背けるようにしています。これをお話しすると、え、自分は打つのに?とよくいわれます。
本当にそうですよね。
幼いころはチューブに血液がはいっていくのが興味深くて、血管をさす所も陰圧をかけて採血する間もじいっと見ていたのです。確か小学校二年生の時ですが、その当時お隣に住んでいたお医者様が外科の方で、盲腸で入院し手術をしたあとの私に「盲腸の研修医用のビデオあるけど見る?」といって下さったのに大喜びしてみせて頂いたことがあります。どういう風に自分の虫垂が切り取られたか、興味があったんですよね。
大学の時も海外の番組でひたすら外科手術を流しているのを見たりしていましたし、現在ももちろんそういった映像を見ることにも執刀するのも好きな方です。
注射が苦手になったのは、就職して何年目かに酷いアレルギーを起こし、耳鼻咽喉科でアレルギー用の採血をされた時に貧血を起こして倒れたことが若干のトラウマになっているせいでしょうか。
その時働いていた職場は、一日の診察件数が多いと二百件近く、片道二時間弱かかる通勤、朝は六時の電車、帰宅は終電、残業は当たり前でもお給料に反映されず、有給はとる暇もなく、倒れた時だけ休むことができるという激務モードで働いていました。月の休みは定休日も含めて七日しかなく、年末年始も基本休みなし、週休二日なんて遠い憧れの世界で、たまの休みはひたすら睡眠を取るだけというのがデフォルト。
なので、慢性睡眠不足のうえ体力も落ちていましたし、胃薬が手放せずにバリウムや内視鏡検査にもよくお世話になっていました。
そんな時のアレルギー検査、いつものように血液が満ちていく真空採血管をじっと見ていたら、唐突にすさまじい気持ちの悪さに襲われ、目の前が真っ暗になっていきました。
かろうじて、「すみません、気持ち悪いです」と伝えることができたので、みっともなく倒れることはなかったものの、しばらく診察室の隅っこで休むことになりました。
意識がハッキリしてからも恥ずかしさと気持ち悪さとで大変居心地が悪く、いたたまれない思いをしました。
だって自分も採血する側なのに!
その後から採血で必ず聞かれる、「気分が悪くなったことはありませんか?」に、ありますと答えるたびに、今では別室に連れて行かれ横になって採血されるようになりました。申し出る時は若干恥ずかしいのですが、横になって採血してもらえると気分が悪くなることもなく、失敗もされないのですごくいいです。
自己弁護をさせて頂くなら、元から血管が出にくいタイプで、通常とれる採血箇所は左右の腕をあわせても一カ所のみ。
子供の頃には毎年なんやかんやで入院をしていたので、採血も点滴も慣れていますが、あまりの血管の出なさに何回も失敗されて内出血だらけになり、はては足首までさされて失敗される状態に、入院先の看護師長さんに「今度採血される時は、看護師に「私とりづらいので、自信がある方におねがいしたいです」っていいなさい!」と怒られたほどでした。
仕方がないので、「済みませんとてもとりづらいようで、得意な方におねがしていいですか?」というようにしています。
大抵の病院の場合、その話しを聞くと「分かりました!」とベテランさんにバトンタッチして下さるのですが、中にはあからさまに(いやいや、どんだけよ、いうほどのことじゃないでしょ、感じ悪いわね)といった顔をしてそのまま採血に臨まれる場合もあります。
間違いなく今までそういう場合は100%失敗されるので、自らいいにくいことをお願いしているのをくんで欲しかった、と内出血を起こしはじめる腕を見ながらすみません、もう一度さしますね、といわれる絶望を受け止めています。
このところの人間ドックでは毎年同じ病院でお願いしている関係もあり、どうやら担当の方が決まっているので、大変に採血の上手い看護師さんがいわずともベッドに連れて行って下さいます。おかげさまで安心して採血して頂けるようになりました。
自分が採血する立場として、よりリアルに想像できてしまうのも良くないのかもしれません。
いま針が血管内腔のどの辺りにあって、どうやら壁にぶつかって血が来ないようだとか、血管を刺し貫いてしまってフラッシュといわれる血液のバックがあったのに、採血はできていなさそうだとか、針先で血管探っているな、だとか、そういうことが自分の体内で起きているのを、見ていると分かってしまうのです。リアルな想像は心的不安を自己暗示のように自分にかけてしまい、そのせいで採血が上手くいかない気配を感じると余計に気分が悪くなってしまうのかもしれません。
同じ理由で皮下注射でも筋肉注射でも、針先が入り込む位置や角度、薬液がどのくらいの抵抗を持って押し込まれるのか、だとかを想像してしまうのであまり注射が好きではありません。
注射が苦手な方は基本的に痛みに弱いより、むしろ想像力が豊かなんじゃないかな?と思っております。
さて、今年も残すところはや一ヶ月半となりしました。毎年感じますが、時が流れるスピードは年々早くなるものですね。年を取ってこの一年でなにかを得たという実感もわかずに、気づいたら過ぎていた!と反省するのを繰り返している気がします。
来年こそは運動を習慣にしたいのですが、現状一週間に一度、一時間弱自転車をこぐくらいで全く代謝が落ちるばかりです。
このままでは体力ばかり落ちて仕事に差し支えると本気で悩んでおりますが、もとから対して運動が得意でもない私が継続できる運動って、なかなか難しい。
なにかよい継続できる運動がありましたらぜひ教えていただきたいです。
今年も新型コロナウィルスに翻弄されながら、緊張と困惑、苛立ちや不安と戦ってきた一年だったと思います。
どれだけの精神的緊張を続けたかを考えると、多くの人々がいま笑って、仕事に学業に人生に向き合えていることは、それだけで奇跡的なことだと感じます。
ようやく少しずつ流行が収まってきたとはいえ、今後も再び流行を繰り返すことは避けられないことでしょう。
これは新型コロナィルス感染症に限らず、その他のウィルス感染症でもおなじだけのリスクがあります。
インフルエンザ感染症が定期的に世界的大流行をくりかえしているように、ウイルス性の感染症は今後も新しい型や病気として発生し、流行を繰り返すことでしょう。かつてはペストやコレラが、最近ではSARSやMARSがそうであったように。
風邪に代表される呼吸器系の感染症には、地道ですがマスクや手洗い、うがいなどが効果を発揮することが分かっています。今回のコロナ禍のなかでせっかく習慣化したこれらの対策は、ぜひ続けていきたいと思います。
2021-11-15
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