さて、先月脳梗塞で倒れた副院長のゴールデンレトリバー、アリエルですが、順調に回復してくれています。
本人の強い歩きたいという意志と、自足で動きたいという信念と、有り余る食欲に後押しされ、だいぶ長く歩くことができるようになりました。
大好きな海にまた来られてよかったね。
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盛夏最中ですが、みなさんはいかがお過ごしですか?
ジャンボどうぶつ病院では、季節を感じる熱中症の動物たちがやってきています。こんなことで夏を感じたくないな、と切なくなるスタッフ一同です。
人間でもかなり気をつけて温度管理をしている時期なのになぜ?とお思いの方も多いとおもいますので、実際になってしまったシチュエーションを挙げて注意喚起を改めて促したいと思います。
仕事に行く時に確かに付けたのに、帰宅したら切れていて動物たちがぐったりとしていた。
夜の間つけておいたのに、翌朝切れていて倒れていた。
車のなかでエンジンをかけていたのに、戻るとエンジン自体が切れていて意識がなかった。
実は1番多いのがこの状況です。
冷房をかけていたはずなのに、知らずに設定していたタイマーや、最近流行りのエコモードに伴う人感センサーによる省エネ設定、車の電子キーが離れると自動でエンジンが停まる設定など、飼い主さんが把握していない機械設定の為に、つけたはずが切れていた、というおそろしいことが起こります。
現代の日本の夏で冷房をつけない選択は基本的にどなたもされないのですが、つけてるつもりで……は逆に今ならではのミステイクです。
どうか今一度、ご自分が使われている家電の設定を見直し、万が一にでも勝手に切れないようになっているか確認をしてください。
これは自転車にケージを積んでいて、というケースと、生身でカゴに入れていて、というケース両方ありました。
どちらも午後1時から3時くらいの非常に暑い時間帯でしたが、朝9時の来院でも同じ状況になっていた子がいますので、この時期は1日じゅうの警戒が必要です。
基本的に暑い最中に自転車での移動自体お勧めできませんが、それでも仕方なく移動される場合、冷却材などをケージ内に配置し、扇風機などで送風しながらにしましょう。
また洋服は可愛いのですが、冷却目的でないなら拷問になってしまいますので着させないでください。
ついでと言ってはなんですが、首輪がキツくなっていないかどうかも確認してください。
案外つけっぱなしで体重増加に伴いキツくなっていたり、滅多につけない首輪をつけたらキツくなっていたのだけど代わりはなので仕方なくつけた、ということがあります。
また運ぶためのケージは適切なサイズのものをご用意してください。
先日、明らかにオーバーサイズのワンちゃんを小さなケージに入れようと四苦八苦されていた飼い主さんがおられ、慌てて病院の大きなケージをお貸ししたということがありました。
滅多にケージで移動することがないのかもしれませんが、いざの時にはどうしても必要になります。
具合が悪くて立てない、歩けない、だから自力で病院へ行けない、なんてことはザラにあります。
その子の大きさに合わせ、適切なケージ、もしくはカートなど移動手段を確保しておきましょう。
普段使いされていない方が必要になるのは緊急の場合が多いです。
その時になって慌てると、良いものを選べないこともあります。
カートも移動ケージもさまざまなサイズ、形、用途のものがあるので、できれば余裕のある時にこそゆっくりじっくり選んでいただきたいものです。
猫ちゃんに多いのですが犬でもあります。
熱中症は犬の方がなりやすいのですが、38度を超えると猫もなりやすいです。ちなみにフェレットもリスもなりやすいですので、エキゾチックアニマルだからと気を抜かないで下さい。
猫の種類として短頭種に分類される、エキゾチック、ペルシャ、スコティッシュフォールドなどは、熱中症好発猫種です。
最近人気なマンチカンもスコティッシュとのミックスが多く、侮れません。
気に入った場所でのほほんと日向ぼっこをしているうちに本人が気づく前に熱中症になっていたりします。
自分で移動してくれたらいいのですが、そういうのもめんどくさがる子がいるのは確かです。 我々が気をつけてあげましょう。
熱中症かな?と思う症状、すなわち呼吸が荒く、早く、激しくなったり、意識がなくなったり、ぐったりしたりなどわかりやすい臨床所見が現れた時に、1番していただきたくないのは、様子を見ることです。
よく電話の相談で、「呼吸が苦しかったけど冷房かけたら落ち着いたし大丈夫そうなんですけど、病院に行かなくてもいいですか?」というのがありますが、飼い主さんでも分かる様子がおかしい症状が出ている時点で目に見えない内臓が致命的な障害を受けている可能性が高いです。全く大丈夫ではない事態です。そして熱中症疑いの子を診なくていいなんていう病院はありません。
ですから行くかどうかの相談をするのではなく、「熱中症っぽいので今から連れていきます!」という予告をしてください。
緊急事態に対して、病院は事前の電話で準備万端整えられます。そうすれば救命率は飛躍的に上昇します。
電話のおかげで救うことができる命があるのです。
さて、先月脳梗塞で倒れた副院長のゴールデンレトリバー、アリエルですが、順調に回復してくれています。
本人の強い歩きたいという意志と、自足で動きたいという信念と、有り余る食欲に後押しされ、だいぶ長く歩くことができるようになりました。
大好きな海にまた来られてよかったね。
熱中症を含め緊急事態というのはある意味、運もかなり強く作用します。
その状況に陥った時、緊急事態だと適切に判断できるか、そのために動ける人はいるか、移動手段はあるか、行ける病院があるか。
発生した病気の部位や内容によってはいかに迅速に対応しても助けられないこともあります。
それでもふだんからその事態をイメージし、いざの時はどう動くのかを考えておくことは、その事態に直面した時のパニックを避け、冷静な判断と行動ができる助けになります。
一歩間違えたら死が…、ということに普通の人間は慣れていません。事態に面すれば恐怖で身がすくみますし、泣き出したり叫んだりしたくもなります。
それをグッと飲み込んで次の手を考えることはとても難しいです。
でも、それでも、大切な動物たちのために、それをする覚悟を持つことが飼い主としての大切な責務です。
どんな選択をするときも、必ず飼い主の自らの責任が伴います。動物たちには選択の意思が表せない分を肩代わりするからです。
その時になって生死にかかわる判断を他人に任せないように、どうしたらいいかわからない!とパニックになって誰かに選択をおしつけることがないように、きちんと考えて行動しましょう。
それからもう一つ。
動物の保険に加入されている方が増えてきて、本当に良いことだと思います。
治療の選択肢が増えますし、安心して治療できますよね。
ただ動物の保険は任意保険であり、人の健康保険とは異なります。
どう言った契約をされているのか、たとえば使える回数や金額、診断書の提出の有無などはそれぞれの保険会社で全く異なります。
そして病院ではそれを把握しておりませんし、こう使ったら良いのでは、といったアドバイスはできません。
ご自身でちゃんと契約内容を確認し、使うべき状況で使われてください。
またジャンボどうぶつ病院で直接扱っている保険は、システム上、一日に一回しか使用できません。
例えば午前に使用し、午後にも使うということはできません。午後の分は保険会社への自己請求となります。
ですので受付では必ずその旨をお伝えし、この後追加で診察をする可能性があるならば、会計自体をお待ちくださいとお伝えしています。
また、保険の詳しい内容を把握されていないケースというのはけっこうあって、保険には上限額があることを知らず、トータルから自己負担額をご自身で計算して、計算が間違っているのでは?とおっしゃられることがあります。
当然ですが一日あたりの上限額を超えて保険金は支払われることはありません。
ジャンボどうぶつ病院で保険手続きをする場合、保険専用のシステムが掛金を計算するので、入力ミスがない限り計算ミスは起こり得ません。
もちろん人間ですので絶対にないとは言い難いのですが、計算は人が行っていないので、そこは安心していただきたいと思います。
保険加入が増えて本当に良いことなのですが、実際それがどう言った契約内容でどうやって使われるか、正確には理解されていない方が多いようです。是非この機会に一度確認していただけたらと思います。
手にした道具の使い方を知らずに、こんなはずじゃなかったというような思いをすることは、本来なら避けられるはずのものだと思います。
もしわからなければペット保険のサポートセンターにご連絡を。
これも焦っている時より余裕がある時に行う方がわかりやすく、理解しやすいはずです。
備えることの大切さが少しでも伝われば、と思います。
2022-08-15
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