暑さも本番ですね、連日の暑さに人だけでなく、動物たちも体調を崩しがちです。気温の顕著な上昇に伴い、お散歩に出る時間も変わって来たのではないでしょうか?
つい先日、昼休みの時間に病院の外を見ると、ごく普通にミニチュアピンシャーが散歩をしていました。
驚いて時計を見ると、一時半!もっとも気温が高くなる時間帯です。
飼い主さんもそのわんちゃんも、帽子もかぶらず冷却材も身につけず、まるで平気な様子で通過していきましたが、思わず呼び止めて「熱中症になってしまいますよ!」と余計なお世話をしそうになりました。
今の季節の午後1時台のアスファルトの温度は、肉球を火傷するほど高くなっています。また人間よりも体高の低い動物たちは、反射熱も至近距離で受けるため、余計に体温が上がりがちです。
炎天下にカートに乗せていても熱中症になる可能性が高いのに、普通に散歩は自殺行為に近いです。
相手は毛皮を着ています、体も小さく寒さより暑さに弱い生き物です。自らに置き換えて考えていただければ、自ずと散歩の時間は朝早い時間、5時から6時くらいから、夜は10時以降になっていくと思います。
毎年同じような注意喚起を行なっていますが、熱中症は人だけではなく、犬も猫も起こるものです。ちなみにリスにもフェレットにも起きます。
実は先日、一匹のわんちゃんが散歩のあと、腰が砕けてふらついたとのことで、来院されました。
明らかに熱中症の症状で、体温も高く、緊急で冷却することに。
ありがたいことに大事にはなりませんでしたが、それもおかしいことに気がついた飼い主さんが、急いで病院に来て下さったおかげと幸運だと思います。
また同日、今度は飼い主さん自身が目眩と頭痛で救急車で運ばれ、やはり熱中症だったそうです。
今の気温と気候は洒落でも何でもなく、動物種を問わず命を奪うほどのものだということをご理解頂ければと思います。
パグやフレンチブルドッグなどの短頭種の飼い主さんや、大型犬をかわれている飼い主さんは、普段から気温にかなり気をつけている方が多く、近年あまり熱中症で来院されることは少なくなりました。
逆に小型犬であるチワワやトイ・プードルなどはあまり普段から水をのまず、またパンティングもしないため、暑さに強そうに見えますが全くそんなことはありません。
同じように暑さには弱く、体が小さい分一気に体温が上昇します。
うちの子は平気!と全く根拠なく思っている飼い主さんもいらっしゃいますが、それは敢えて言いますが過信に過ぎず、実際になってしまっては死んでしまうこともあります。本当に注意して頂きたいです。
また今年は食欲不振を主訴に来院される患者さんが多く見受けられます。
気温が一気に高くなった辺りから急激に増えてきました。おそらく夏バテに近いようで、なかには下痢や嘔吐を起こしているわんちゃん、ねこちゃんも少なくありません。
体重が減っていなければ、一般的な消化器疾患に対しての治療で経過を見ますが、そういった対応で治らなければ精査を行います。例えば血液検査やレントゲン、超音波検査などですね。そういった検査により、なかには心臓病が始まっていたり、腹腔内に腫瘍ができているケースもありました。
また急激に体重が増えていた原因が、見るからにせり出したお腹にたまった腹水であることもありました。
七、八歳以上のシニアの場合、こういった重篤な疾患が隠れていることもありますので、あまり経過を見ることができない場合もあります。
検査には調べられることの得意、不得意があるのです。検査の種類が多いのは、その検査でなければ調べることができないからです。
例え血液検査をしても、腹腔内の腫瘍は全く異常をださないこともあります。対して超音波検査はこういったなかの軟部臓器の変化を見るのは得意ですが、貧血や骨や肺のなかをみるのは苦手です。
逆にレントゲン検査は骨や肺のなかをみるのには特別優れていますが、軟部組織の細かな変化は見つけられないことも多いです。
どの検査もお互いの足りない所を補い、診断精度を高めています。
ただ惰性でしている検査は何一つありません。
体のなかに隠されている異常を、飼い主さんからのお話で推測し、五感を使って調べ、検査を行って裏付けをとる、さながら探偵か刑事のような推理を行うのが、獣医の仕事なのかもしれません。
日々推理力(?)を鍛えつつ、この夏を乗り越えたいと思います。
2017-07-15
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