長い梅雨が明け、一気に夏らしい陽気になりましたね。
晴れた日を待ちわびていた子供達は大喜びで、プールに海にと夏休みを満喫していることでしょう。
かき氷やアイスクリーム、フラペチーノなどが大活躍です。
ちなみにアイスクリームの消費は年々上昇し、牛乳の消費量も多くなっています。
乳牛の農家さん的には嬉しいそうなのですが、牛は夏の暑さに非常に弱いので、そちらの方で体調を崩し乳の出が悪くなることがあります。
産業動物である牛の場合、治療なども制限がありますので、悩ましい所ですね。
さて今年は七月中にお休みをとられる方が多いようで、今月のホテルはいっぱいになりました。
八月のお盆の時期も多いのですが、昨年よりばらけた印象です。皆さんの夏休みが充実したものになりますように、心からお祈りしております。
現在、当院での最も多い主訴は寄生虫です!
さすがに盛りの夏といった所か、虫達の活動は子供達の活動よりもさらに激しいようです。
先週あたりからもの凄い数のノミの症例がやってきています。
毛をかき分けるとノミがひらひらと走り、皮膚の上には砂粒のようなノミの糞が散らばり、接触性の皮膚炎であかくなっている…。
大量寄生のケースも非常に多く、毎回ですが病院大清掃に明け暮れています。
恐ろしいのはきちんと予防している子ですら、数日予防の投薬がずれただけでノミがついていることがあるのです。
おそらく長雨で今か今かと晴れ間を待っていたのでしょう。ようやくの好天気と気温上昇により一気呵成に湧き出てきた感じがあります。
虫達も生きるため、必死なので草むらや道に潜み、餌である動物たちが近寄ってくるのをいまかいまかと待っているのです。
恐ろしいことにこの二週間ほどは、「なんだかやたら痒いみたいで…」「背中の皮膚が赤い気がします」のような主訴で来院される動物たちで、ノミ・マダニの予防をまだされていない場合、ほぼ100パーセントノミの寄生がみられます。
また驚くのが、ご自身でノミを捕獲して来院される飼い主さまも多いということ。
「みつけました~」といらっしゃるのですが、割合落ち着いておられる方が多く、ちょっと意外な気がします。
お話を聞いてみるとじつは、外に出掛ける猫の飼い主さんや昔から外飼いで犬を飼ってらっしゃる場合、ノミは珍しくないのだそうで、いてもあまり気にされていないケースもあります。
ただこれはあまり良いこととはいえず、現代では飼育環境が昔とはかなり異なってきています。かつてとは異なり、各種のワクチン接種やノミ、マダニ、フィラリア、消化管内寄生虫の予防などは周知され、多くの飼い主さんたちが当然のように予防をされています。
ノミやマダニなどの姿を実際に見たことがない飼い主さんたちも珍しくありません。
おかげでノミ吸血性のアレルギーや貧血も減り、マダニによるウィルス感染や溶血性貧血による死亡率、フィラリアによる心不全での死亡率、各種感染症による死亡率等は劇的に下がり、現在の犬猫の平均寿命は飛躍的に長くなりました。
長年の飼い主さんたちの意識の向上により、そのくらいクリーンな環境で飼育されるようになったのですね。
ですから、逆に昔ながらの感覚で「うちよくノミがいるのよ」というのはちょっと驚かれてしまうかもしれません。
ノミの成体が、一匹いるということは、そのまわりに99匹の卵と幼虫がいることを示します。その動物のからだの上で繁殖が行われて、卵を生活環境、いうなればそのおうちの中で振り撒くことになります。
カーペットや床の埃のなかで、幼虫は親の糞などを食べて大きくなり、再び動物たちの体の上に寄生します。要するに飼い主さんが暮らされている環境で、ノミも同居しているのです。
ここまで書くと、ちょっと怖いと思っていただけるでしょうか?
「うちの子、よくノミがつくのよ。とってあげてるんだけど」という発言のうらには、すでにおうちがノミでいっぱいかもしれない可能性をはらんでいるのです。
ちなみにノミは人も刺します。
動物たちの予防をしても、住居に住み着かれている場合、そこをクリーンにしないと食べるものに困り人を刺します。かなり痒みをだす湿疹として、しつこく残りますので、刺された可能性があれば皮膚科に受診してくださいね。
こういった事情をご存じの方ほど、動物たちの予防をかなりきっちりされていますので、知らない方の言葉に驚くのも無理はありません。
「え、ノミがついてるの…?予防してないの?」と身構えられてしまう可能性すらあります。
ノミがついていることが普通ではなく、現代ではいないことの方が当たり前になりつつあることを知っていただきたいな、と思います。
予防薬も多種多様に展開していますので、予防をまだ始められていない方はお気軽にご相談ください。
たまに「うちは予防しなくてもついてないから」と無根拠に断言される方もいらっしゃいますが、それは単に見つけられていないだけです。
ノミだって見つかりやすいところにいたりしません。こっそり隠れてあなたと動物たちを狙っているのです。
夏になったなぁ、と実感する寄生虫ブームですが、あまりそれに乗らずに楽しい夏を過ごしていただきたいなぁと思います。
2019-07-31
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