十一月に入ってから一気に冷え込んで来ました。木枯らし一番も吹いて秋を通り越して本格的に冬になりそうですね。
紅葉が見頃を迎えるのも、もうすぐでしょう。
気温差でより美しく色づくといわれている山々を、ゆっくり観に行きたいものですが、当然そんな時間もなく。
今年もまた、紅葉狩りに行かれた方のお土産話を楽しみにしたいと思います。
さてこんなに冷えていても、ノミの活動が止まりません。
もういい加減見るのも嫌になって来ましたが、今年はずいぶん精力的なようです。
ノミはマダニと違って季節を問わず活動するのですが、ただやはり活発なのは夏を過ぎた頃ぐらいまでで、この時期には数が少なくなります。
寄生されている動物に会う頻度はぐっと減るはずなのですが……。
残念ながら、今年は様相が違うようです。
当病院にトリミングに初めていらしたわんちゃんから、ノミが見つかったのはつい先日のこと。
トリミングでは最初ブラッシングから始めますが、きゃーという声が上がって何ごとかと見れば、 コームに追われるように、二匹のノミがピョンピョンと!
ひえええ!とあわてて捕まえようとしても、ノミは素早くとても小さいものです。
また体が薄べったくひらひらと体を左右に揺らしながら、毛の間を走って逃げます。 ふかふかの毛並みの中ではとても捕まえにくい!あっという間に毛の波に消えた二匹。
もちろんたった二匹しか寄生していないことなどありません。ノミの成体を一匹見たら、卵と蛹は99匹いるという恐ろしい報告もあります。
ノミは寄生された場合、動物にも人にも、環境にもいくつもの被害を及ぼします。
まずノミの接触性のアレルギーによる皮膚炎、ノミ自体の中に寄生している消化管内線虫の感染。
そして寄生したノミが産む卵はツルツルとして直ぐに毛の上から滑り落ち、周りの環境に振りまかれるようになっていますので、これにより飼われている家自体が汚染され、それらの数を増やしたノミに家族の方が吸血される被害、また散歩などで周りの環境にノミを増やし拡散する被害など。
実はこの振りまかれるノミの方が被害が大きのです。
ノミ取りコームで梳いて目に見えるノミをいくら取り除いても、卵や蛹は周りに振りまかれているのです。 ノミ取りシャンプーは一時的なものに過ぎず、結局は振りまかれたノミ達に再び寄生されることを繰り返します。
環境に定着したノミはなかなか自然には消えてくれません。駆除には時間がかかります。
さて、このような場合、どうするかというと、一般的なトリミング店の場合はトリミングを中止して、お引き取りをお願いする場合も多いそうです。
これは至極当然で、駆除剤を持たないトリミングサロンでは、そのわんちゃんやねこちゃんがいることで他の動物達に感染が広がるかもしれません。
なのでトリマーさんからなるべく早く獣医さんに行って下さい、と言われて病院に駆け込んでいらっしゃる方も多いです。
当院の場合、駆け込まれる側の病院ですので、飼い主様に連絡を取り、ノミもしくはマダニなどの寄生を確認したことをつげて、駆除薬を使うことを確認します。
一般的な駆除薬はフロントラインや、レボリューションなどのスポットタイプ、またネクスガードなどの食べるタイプになります。 これらを処方し、速やかにノミの駆除に努めます。
そして院内にその時点でいる動物達のノミの予防を確認し、もししていない子がいれば、その子の飼い主さんに連絡を取り、ノミに寄生された子がいたので申し訳ないですが、予防をさせて下さいとお願いします。
同時に院内大清掃が始まります。その時点でいらっしゃった飼い主さん達にはいったん外へ出ていただき、お待ちいただくことになります。
そういうわけで、大山鳴動して鼠一匹とは全く反対で、ノミ一匹に病院じゅうが大騒ぎです。
今回のケースでも無事に駆除薬を使っていただくことができました。
お話をよく伺うと、こちらに引っ越してくるまで、今までノミがついたことはなく、予防薬などは使ったことがなかったとのことでした。
ということは、この荒川地区にいらしてからノミがついた、ということになります。
この季節でも短時間であっても、外にお散歩に行く場合は、感染する可能性があるということがはっきりしたわけです。
ノミ、恐るべし…!
ノミの予防薬はアルコール基材を使っているスポットタイプ、肉や大豆が原料の食べるタイプ、お薬然とした錠剤タイプ、噴霧するスプレータイプなど、様々です。
アルコールが合わない子、お肉のアレルギーがある子などもいますので、やりやすいもの、継続しやすいものを選んで、できれば通年で予防していただけたらと思います。
2016-11-15
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