動物病院HOME < 院長のコラム < かかりつけ医を見つけて
梅雨最中、今年はなんだか長いような気がするのですが気のせいでしょうか。しとしと降る、と表現されていた梅雨はすっかりかわって、ゲリラ豪雨という名前がすっかり耳に馴染んでしまった昨今ですが、初めて聞いた時はなんとも分かりやすい名前だなと思ったことを覚えています。
今年はそれに加え線状降水帯という言葉を新たに知りました。
『次々と発生する発達した雨雲が列をなした、組織化した積乱雲群によって、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される、線状に伸びる長さ50 - 300 km程度、幅20 - 50 km程度の強い降水をともなう雨域』とのことですが、言葉よりも動画などでの天気図の解説を見ると理解しやすいですね。次々にわき上がり雨を降らせる雲の動きは、なんだか生き物でもみているようで少しおそろしく感じました。
こんな風に長く多くの雨が降ることで、各地に大きな被害が出ているニュースを目にするたび、地球規模の気候変動を感じざる得ません。
温暖化という言葉は一般的になりましたが、カナダの気温50度にせよ、水害の増加にせよ、実体を持っておこる現象に、身をもってその影響を実感する人は多いのではないでしょうか。概念として学んだことより、いま起きている災害のほうが、圧倒的なインパクトで脳裏に刻まれます。
また少し前、ロシアの永久凍土から発見された寄生虫が目を覚ましたというニュースもありましたが、かつての自然淘汰により現在の地球上にはない感染症が、温暖化によりまた再興する可能性があります。これもまた学術的には数十年前から警鐘を慣らされていたことですが、いまそれが現実味をおびてきました。
この数十年、環境科学の発展とともに人は多くの努力をしてきたはずなのですが、世界を変えることは難しいものです。
やはりとても地味ですが、一つ一つ自分ができることをなるべくきちんと行っていくしかないのだろうなと思っています。
具体的な方法は色々あれど、いま自分ができることを一生懸命に真面目にコツコツやっていく、ということしかできないのですが。
ここしばらく続いているのは肺水腫の治療です。
気圧の問題か、はたまた湿度や気温の乱降下による影響か、もとから治療をしていた子達が悪化するケース、全く新規で呼吸不全や咳で運ばれてくるケースなどが後を絶ちません。
重篤な状態でそのまま入院となることも珍しくなく、初めて病院へきた→心不全発覚→肺水腫発症→入院治療という、急転直下の経過をたどることも珍しくありません。
今まで病気をしたことがない子が、いきなり緊急の状態になるので、飼い主さん達の精神的負担は計り知れません。
何の準備も心構えもなく、命に関わる決定をしなければならないのは、本当に苦しいものだと思います。
シニア期というのは七歳頃から始まりますが、七歳からいきなり大きな病気をするというのは少なく、徐々に病気が始まったり悪化したりで、ゆっくりと進んでいくケースがほとんどです。なかには不幸にもうちで昔かっていたゴールデンレトリバーのように七歳で口腔内のがんを発症する、ということもありますが、基本的には「これから起こるであろういろいろな病気に心も体も備える期」というのがシニア期なのです。
ですから、例え大きな病気がいままでなくて、定期的に動物病院にいっていなくても、その年齢に達したらそろそろいってみようかな?かかりつけのお医者さんをみつけておこうかな?と思って頂けると良いと思います。
「そろそろシニアなので、一度きちんとみて頂きたいと思って」
「これから先を考えた時に、これから最期までみてもらえる病院をみつけておきたくて」
などの理由でもかまいませんし、予防のワクチンや爪切りなどで一度足を運んでいてもいいと思います。
トリミングやホテルなどでもいいでしょう。
問題は、飼い主さんも猫ちゃんもわんちゃんも、病院に行くこと自体になれていないこと。
いざ具合がすごく悪くなってから慌てて来院したとき、落ち着いた思考はどこかへ吹っ飛んでしまい軽いパニックになっているのが普通です。
どうやって病気の状態を話したらいいのか、どのくらい治療にかかるのか、命は助かるのか、どういった病気なのか、明日はどうしたらいいのか、薬をのませられるのか。
ぱっとあげただけでこれだけの思考が頭をぐるぐる巡って、自分が何をどうしているのかすら分からなくなってしまうものなのです。 そういった極限の思考の中でされる判断は、正しいかといわれると難しいものがあります。
またそういう判断をして頂かなければならない病院側も、辛いものがあります。
もう少し前からコミュニケーションをとれていたら、信頼関係ができていたら、緊急事態であってももっと心安らかにお話ができるのに、と思うことが多くあります。
動物達は気がつけば年を重ね、飼い主さんの年齢を追い抜いてしまうものです。
シニア期になったら、是非一度健診をされて下さい。
さて、お知らせがあります。
我々スタッフのコロナウイルス感染症のワクチン接種の二回目が今月22日木曜日に決まりました。つきましては23日金曜日は元から祝日のためお休みなのですが、24日の土曜日の午前中を臨時休診とさせて頂きます。二回目ということで副反応が強く出る可能性を踏まえ、半日お休みをさせて頂きます。
ご迷惑をおかけしますが、どうぞよろしくお願いします。またなにか変更がある場合は、ホームページ上でご連絡させて頂きますね。
2021-07-15
「うちの子の様子がおかしい?」「狂犬病の注射を受けさせたい」「避妊手術はいつすればいいの?」など、お気軽にご相談ください。
tel03-3809-1120
9:00~12:00 15:30~18:30
木曜・祝日休診
東京都荒川区町屋1-19-2
犬、猫、フェレットそのほかご家庭で飼育されている動物診療します