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動物たちの避難準備
動物たちの避難準備

台風に次ぐ台風の季節、全国各地で水害が起きています。

連日の報道をみるたび、実際に起きている水害の恐ろしさと、その後の水が弾いた後の土砂や瓦礫を黙々と片づけている人たちの様子に、胸が痛くなります。

コリオリ力によって発生する台風は、赤道直下では発生しないのがセオリーですが、我々の日本列島はまさに台風メッカの地域にあります。他国の羨む水の恵と共に受ける数々の水害は、太古の昔から繰り返されてきたとはいえ、多くの犠牲が払われる悲劇はいくら繰り返したところで小さくはなりません。

大陸プレートの影響による地震の起きやすさ、赤道から適度に離れた温帯亜熱帯ゾーンに位置していること、大陸と地続きではなく小さな島国で資源も乏しい国でありながら、ここまで経済的、文化的に発展できてきた日本は、弛まぬ努力をありとあらゆる方向で積み上げてきた国民性の賜物だろうと思います。

経験の上に知恵と知性を積み重ね、発展し続けることは口で言うほど容易いものではなく、血の滲むような努力の上、一人一人が小さくとも重ねてきたものが実った結果現れるものです。

昨今、厚顔無恥を晒しながら利の上前だけを跳ね、その行為がまるで有能の証明であるように大きな顔をするのをよく見ますが、正直身の丈に合っていない行動が愚かさを露呈しているだけです。自らが高潔と言う言葉に足りるほどの振る舞いができているとは思いませんが、モラルのない行動をとることだけは避けたいと思います。

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さて、台風一過の、この時期になると必然的に動物たちと避難するための準備について確認したくなるのですが、皆さんはいかがでしょうか?

動物との避難など防災に関しては、ペットの災害対策に詳しい資料が載っていますので、是非使って見て下さい。

避難場所などは区や市ごとに異なるので、ペット同伴避難が許されている場所とそうではない場所があったりします。一度、お住まいの自治体に確認しておくとよいでしょう。

また、同伴が可能とされているはずなのに、実際にいってみたら屋外の仮設テントしか避難ができず、嵐の中で再び家に戻ったと言う話も聞きました。その辺りも余裕がある日常生活の中で確認しておくといいでしょう。

基本的に避難所では人間優先の対応となります。

よってペットフード、動物用の水、ペットシーツ、排泄用のビニール袋やトイレットペーパーなどは支援物質には最初から含まれることはないので、自分達で用意しておかなければなりません。

持病がある動物の場合、服用する薬も持参する必要があります。熊本の震災のときも東日本大震災の時もそうでしたが、動物病院自体が被災、もしくは販売流通路や製薬会社が被災して、お薬や療法食などが手に入らなくなる可能性があるのです。対策として日頃から常にぎりぎりの量ではなく、一週間、できたら二週間分は余分に確保しておきましょう。

心臓病や発作のお薬などは服用期間が開いてしまうと体に悪影響が起きるものもあります。繰り返しのお話で恐縮ですが予備をきちんと確保しておきましょう。

また餌皿などが変わるとお食事ができない子もいます。使い慣れた皿や予備の皿を用意して置きましょう。

またリードや首輪などは普段使わなくても、避難所などでは装着しなければならないこともあります。犬も猫も区別なく手元に置いておいたほうが無難です。

ハムスター、ウサギ、フェレット、小鳥などのエキゾチックアニマルも同じです。

犬猫よりもさらに支援物資などは少ないかと思います。

フード、牧草、ペレット、おやつ、床敷のチップなど十分に用意しましょう。新聞紙など他にもいろいろなものに代用できるアイテムにしておいてもいいかもしれません。ただしエキゾチックアニマルは犬猫よりさらにストレスに敏感で、避難所などでは体調を崩しやすい生き物です。

たくさんの音、知らない人の気配、他の生き物の匂いなどが引き金になって、食事も取れなくなることもしばしば。

食欲不振や消化管疾患用の常備薬を備えておくのがいいと思いますので、かかりつけの獣医師に相談してみて下さいね。

寄生虫予防の継続を
寄生虫予防の継続を

そしてここでもう一つ、現在大変多くのノミに寄生されたわんちゃん猫ちゃんが来院されています。

夏より恐ろしいのは、一頭に寄生している数が多いこと。

毛をめくったらみっしりと黒いノミの糞が体表を覆っていたり、ノミトリコームで毛をすくと一度に五匹、六匹のノミが取れる、なんて言うこともあります。

春から続いているノミ、マダニ予防ですが、夏が終わった気の緩みからかうっかり予防を忘れるととんでもないことに…。

今一度予防が途切れていないことを確認して下さい。マダニの本番は秋、散策に出かけた先から都内に持ち帰ってくる率も高くなります。

大量に寄生されると皮膚の表面がノミ糞で汚染され、必要な処置ができなくなることもあります。

例えば胸水を抜くための胸腔穿刺などは、体表から胸の中へ針を刺す手技です。

汚染されている皮膚をいくらきれいに消毒しても、全身にノミと糞がみっしりついていては感染のリスクが大きくなってしまいます。

やりたいのに、やれない!と言うジレンマに陥りますので、そういった状況を避けていただきたいです。

寄生虫の予防は、簡便な方法がたくさんあります。涼しくなった今だからこそ意識して是非、継続されて下さい。

2022-09-30

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