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早め早めの対策を
早め早めの対策を

 あけましておめでとうございます。

 大晦日から元旦にかけて驚くほどの寒さに見回れましたが、皆様も新年を健やかにお迎えになられたと思います。

私も2022年がやって来るのは例年になく早かったなあと思いながら、年末年始を迎えました。

12月にはいってからの年末年始への備えが功を奏し、幸い年末には大きな混乱が少なかった、といえるのではないかと思いますが、それでも急な血尿や腎不全などが相次ぎ、穏やかとは言いがたい状況になりました。

病はいつ襲ってくるのか誰もわかりません。

その日まで元気であっても急変することはいつだってあり得ます。

それが年末年始でも変わりません。

ですがやはりどこも年末年始はお休みに入ってしまうことが多いので、普段よりも早めに異常に気づきすぐに来院する方が良いでしょう。

お忙しいときだとは思いますが、だからこそ早め早めに対処しないと、大切な動物たちが入院したまま年越しをするような状況になるかもしれません。

hr

さて、年末になると様々にびっくりする問い合わせがあるのが風物詩です。

たとえば、まだ一度も病院に来たことがない初めての飼い主さんから「12月中にトリミングをいれてほしい、今日はどうですか?」や「14才の犬ですが、一月一日からのホテルをおねがいします」や「ワクチンは打ってませんけど31日にシャンプーしてくれませんか?」などなど。

こうして書いた文章でビックリしてしまう飼い主さんと、「え?なにがおかしいの?」と思われる飼い主さんがいらっしゃると思いますが、これはどれくらい普段トリミングやペットホテル、動物病院に馴染みがあるかどうかで変わってくるのだろうと思います。

たとえば、ゴールデンウィークやお盆休み、年末年始など通常のお休みではない長期のいわゆる大型連休の前後は、例年ペットホテルが込み合います。

ホテル業をメインで行っている店と異なり、通常の動物病院のホテルは、あくまで入院患者さんが優先であり、たくさんの枠があるわけではないのがほとんどです。

たとえケージに余裕があっても、その日来た動物の具合が悪く入院することも考えておかなければならないからです。

ですから預かる頭数はあらかじめ決めている場合が多く、またふつうのペットホテルでは預かってもらえない持病があり投薬治療などが必要な動物たちを優先で予約することが多いでしょう。

そういった動物たちは普段から掛かり付けの動物病院によくきていることがほとんどですので、病院側も投薬やいざというときの治療に関して積極的に関わっていくことができ、動物病院でホテルに預かるメリットが双方にあるとても良いケースだと思います。

ですからあらかじめ決めてある旅行などがある場合は、早めにかかりつけの病院と相談し予約をとり、預かり中の緊急対応はどうするのか、その場合どこへ連絡するのか、災害などの時はどういった対応をするのか、等細かな打ち合わせをしておくべきです。

また病院という側面から、感染症にかかった動物たちが出入りするケースも少なくなく、当然各種ワクチン、寄生虫の予防、フィラリア予防などが行われていないと預かることはできません。

ちなみにワクチンは打ってから最低二週間たたないと抗体価が上がりませんので、ホテルやトリミングなどの二週間前には接種を終えなければなりません。

これは不特定多数の動物たちが出入りする一般的なトリミングショップやホテルも同じです。

ですから打っていないのに今すぐトリミングしてください、預かってください、はかなり難しいと言わざるを得ません。

また年末のトリミングは例年たいへん人気です。一ヶ月前どころか二ヶ月前から予約が一杯になることがほとんどです。

これは普段トリミングなどに出さずに家でシャンプーやカットをしている動物たちが、年に一度くらいきれいにカットしたい、年末にはきれいな体にしてあげて帰省したい、など通常よりもより多くの方がトリミングの希望をされるからです。

そういった方は普段行きつけのトリミングサロンや動物病院がないので、相当早めに予約を入れないとなかなか難しい事態になります。

なぜなら普通は月に一回トリミングに出していらっしゃる方が多いので、前月のトリミングが終わった時点で翌月の予約を入れていかれることが多いからです。

当院でもそうですが、トリミングに関しては予約制がほとんどですので、予約の枠が埋まればそれ以上の受付はできません。

ですから年末にトリミングを入れよう!と考えていらっしゃる場合は、なるべく早めに予約を入れた方がいいでしょう。12月に入ってから連絡するのでは少し遅いと言わざる得ません。

またトリミングはカットのしかたなど好みがかなり反映されます。

行ったことがない初めてのお店や病院で、特にせわしない年末年始にトライするのはなかなかハードルが高いと思います。

初めての美容院にいかれるとき、人間であってもとてもドキドキしますよね?

ちゃんと意図したカットになるか、美容師さんと話は合うのか、お店の雰囲気と自分はマッチしているのか、なんて私は小心者なのでものすごく考えてしまいます。

動物たちはそれをそれを出せないぶん、より緊張と不安にかられるものです。

せめて事前に一度は見に行って、ここでお願いしよう!と思ったところに行かれる方が良いと思います。

hr

そして純粋に年末年始はお休みをとる個人病院が多いのです。

これは人間の個人病院と同じですね。

二次医療のセンター病院や大型の総合病院などはシフト制をとり、規模を縮小しても営業することがありますが、これも普通と全く同じ形態ではなく、勤務している人数が少なくなっていることが多いです。

そう、年末年始は基本緊急対応もしくは、それ以前からの重症者対応のために開けているのです。

誰だって年末年始に病院へ行きたいなんて思っていませんので、それも当然だと思います。ですからそれ以外の先程あげたようなトリミングやホテルなど緊急性が低いものはあらかじめ予定していない限り対応してもらえないことが多いでしょう。

もちろん、診察の上で「これはもうすぐにでも薬浴が必要だ!」となってぎりぎりに薬浴シャンプーをする場合もありますが、というか今年はそういったことがありましたが、元気でなんの不自由もない動物の場合は、計画的に予定を組んでおくのがベターだと思います。

ここまで読んでいただけると、なぜ前述した内容の問い合わせにビックリしてしまうのかお分かりになると思います。

どの問い合わせもご希望に沿うことがまずできないものだからです。

動物病院に来なれていらっしゃる方たちにとっては当たり前のことなので、ああ、この方は普段どこの動物病院にも行かれていないんだな、とこちらは理解します。

それからが問題で、こういった問い合わせの場合、当院では事情や背景を丁寧に説明し納得していただくのですが、それでも不満そうな声の響きは消えず、説明したあと空しくなることも多いです。

むしろさらっと「予約が一杯ですみません」とスマートにお断りする方がよいのだ、と諭されたこともあるのですが、そうしてしまうとその飼い主さんはなぜ自分の希望が通らなかったのか、どうして電話口でビックリされているのかが永遠に分からなくなってしまうでしょう。

腫れ物に触れるように忌避され続けて、結局割りを食って苦しむのは動物たちなのだと、例え空しく切ない気持ちで後味悪い電話を切ることになっても、逐一説明することをやめられていません。

ありがた迷惑な話なのかな、とおもいつつ、でもせめて自分の手のとどく範囲であれば、啓蒙の意識を失わずにいたいな、と考えた年末でした。

hr

さて、こうしたお節介精神を持ちつつ、2022年も皆様と動物たちの幸せな生活をジャンボどうぶつ病院はフルパワーで支えていきます。

どうぞ本年もよろしくお願いします。

2022-01-10

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