朝晩が冷え込み、空気も少しさわやかになって、秋の訪れにようやくホッとしているこのごろです。
けれど相変わらず湿度は高く、冬毛に移行中の動物達の被毛が蒸れることもしばしば。
気がつくとごそっと毛が抜けて、驚いてみてみたら皮膚炎、なんていう症例も見受けられます。
もちろん垂れ耳の猫ちゃん、わんちゃんには外耳炎も多くなっていますので、
などの症状があったときは、早めに受診しましょう。
中耳炎や鼓膜炎へと移行すると、ホルネル症候群のような神経症状が現れる場合もありますので、ご注意下さい。
ホルネル症候群(ホーナー症候群)とは、
を主訴とするもので、主に目の症状が出るので、眼科を訪ねそうになりますが、実際は目の周りを支配する神経の疾患です。
突如として発生し、しかも面相ががらりと変わるので、非常にびっくりします。
などの場所に病変があるとされていますが、原因が分かることもあれば、こういった所に全く変化が見られないこともあります。
原因不明なものも多く、そういう場合、一ヶ月ぐらいの時をかけて自然によくなっていくケースもありますが、もっと長くかかる場合もあります。
外耳炎がこじれて中耳炎になった場合、この症状が起きることもあります。
ちょっとかゆいだけかな、なんて思っていたらいきなりとんでもない顔になっていた!なんてことも。
たかが耳、されど耳、しかし頭蓋骨に付着し、耳道は深奥深くのび、脳に近い所に近い所にあります。デリケートな器官であるのは間違いありません。
また、真面目な飼い主さんほど、こまめに耳掃除をして下さるのですが、方法によっては逆に外耳炎の原因になってしまうかもしれません。
綿棒はちょっと上級者向けのアイテムです。細く奥まで入れやすいのですが、一点に力が入りやすく、そっとやらないとその部分の皮膚がこすれて浸出液が滲んでしまいます。
この液は栄養分たっぷりな組織液。菌やカビにとっては御馳走です。またそのせいで傷ついていて感染しやすい状況になります。
鉗子、これも上級者アイテム。耳毛などを抜くのに使ったり、綿花を巻き付けて綿棒のように使ったりします。
けれどこの先端で一度ご自身の皮膚を軽くはさんでください。ものすっごく!痛いんです!
力を込めればあっという間に傷つき出血します。これを毛がもしゃもしゃ生えた見えにくい穴に突っ込んで、処置をするのは実は結構難易度が高いのです。
また耳は急所なので、見せたがらないこ達も多く、無理に掃除するとお互いよくない思い出になることもあります。
こうなると病院で処置するときも歯をむき出して抵抗する場合もあります。痛い記憶はなかなか消えないものです。
おすすめはコットン、専用の消毒液を使います。アルコールではなく、刺激の少ないものです。
これを含ませたコットンを指に巻き付け、指のとどく範囲の汚れをそっとふきとります。これで十分です。
また既に赤みがあったり触ると鳴いたりする場合は、無理に掃除せず、すぐに病院へ。炎症が強いと掃除自体も悪化要因になります。
飼い主さんにお願いしたいのは、異常に早く気づいてもらえること。
処置を無理にする必要はありません。できれば日常から耳や爪をかわいがってなでる時に触り、いつ触っても嫌がらないように教えておくといいですね。
お尻もそうですが、急所に関しては動物は基本的に隠し見せないものです。けれどそのせいで病気の発見が遅れたりしますので、全身まんべんなくさらけ出せるようにしておくことは大切です。
さて、今月のモデルはルーちゃん、なんと21歳!
最年長の猫ちゃんですが、さすがに肝が据わっていて診察台でもマイペース。
時々リラックスしすぎて眠ってしまうことも。
つやつやの毛並みでとても若々しいルーちゃんですが、これは飼い主さんが献身的に治療しているからに他なりません。
投薬と皮下点滴をおこない、とても大切にされています。
いろいろなことがあったルーちゃんですが、今はとっても幸せです。
もう一頭も猫ちゃん、立派なスタイルのもずくちゃん。
実は、自分のエコーを確認している最中です。
実はもずくちゃん、定期的にお腹の超音波をとっているのですが、仰向けで撮影している最中もじっとモニターを見ていて、暴れることは全くありません。
「…ふむふむ、今日の肝臓も大丈夫そう」なんて思っているのでしょうか。
勉強熱心なもずくちゃんはとても検査がしやすい希有な猫ちゃんです。
ジャンボどうぶつ病院も開業して五年になりました。
あっという間だったような、とても長かったような、不思議な気持ちです。開院当初より沢山の方に支えられて頑張ってくることができました。
心から感謝をお伝えしたいです。本当にありがとうございます。
これからも、動物たちと飼い主さんの健やかな心と体の健康をサポートする、身近な病院でありたいと願い、精進していきたいと思います。
生あるものにはいつか死が訪れます。だからこそ命は輝くのでしょう。その最後の時まで、ご家族が後悔のない時間を過ごすことができるように、獣医師として、病院として寄り添うことができますように努力して参ります。
これからもどうぞ、ジャンボどうぶつ病院をよろしくお願いします。
2018-10-15
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