秋の長雨とはよく言ったもので、冷たい雨が連日、日本列島を包んでいます。
少し前まで妙に暑い日があったのに、一気に冷え込んで、体調を崩す動物達と飼い主さんが多いようです。
特に咳が多くなっている気がします。犬達は興奮、吠えたとき、冷たい空気を吸込んだとき、水を飲んだときなどをきっかけに咳が出始め、なかなか治りづらくなっています。
秋のアレルギーに端を発した咳なのかな?と思うほど同時期におおくなっていますが、元々心肥大があり心臓の薬を服用していたり、気管支拡張症の持病があったり、気管虚脱があったりと、ベース気管系統がデリケートな子に多くでているので、やはり季節的に咳が出やすい乾燥と冷気のせいなのだと思います。
咳はするたびに、気管の粘膜にある繊毛細胞がぼろぼろとはがれ落ち、傷ついてしまいます。そうするとより咳をしやすくなる→咳が出る→気管支粘膜が傷つく→咳が出る、という負の連鎖になります。
我慢するのではなく、お薬をつかってしっかりと止めることが大切です。
お家でできる対策は、なかなか難しいのですが、保温と加湿が必要になります。部屋の室温調整と加湿器の出番です。マスクをつけられたら大分いいのでしょうがそれは難しい。
でもビジュアルてきにはちょっと見てみたいですね、マスクしている動物達は可愛いと思います、本人は迷惑でしょうけれど。
また慢性の疼痛がある子達も、ちょっと痛みがぶり返している模様。
靭帯損傷や慢性関節炎があり、痛み止めを頓服している子や、リウマチ、骨異形性症候群の子達が、如実に痛みを訴えはじめています。
こちらはやはり冷えが原因なのでしょう。冷えにより関節包内の関節液の粘性が高くなり、関節面がスムーズに動きにくくなるので、痛みも強まるようです。
また椎間板ヘルニアのような末梢神経障害を患った子達にも同じことが言えます。神経の痛みに冷えは良くないのです。これは人間と同じですね。
この場合、レーザー治療を積極的に行います。十分ほどの治療でじんわりと痛みが柔らぎ、本人も気持ち良さそうなのでストレスが少なく、痛み止めを服用するより副作用もない治療です。その子の痛みにあわせて頻度を変え、調整していきます。
お家での対策ですが、よく洋服はどうですか?と聞かれることがありますが、スムースの子や小型犬などは明らかに寒さに弱いので、着せてあげていいと思います。
ですがよく見てあげないと服の下が擦れて毛玉になり、その下が皮膚炎になったりしますので、着せっぱなしはやめてあげて下さい。
また花粉などが直接体につかないための防護にもなりますので、そういう目的で着せるのもよいと思います。
これからどんどんと気温が下がり、関節系の病気がますます増えて来ると考えられます。
また気温低下に伴い飲水量が減り、必然的に膀胱炎や尿結石、腎不全の悪化などが増加する冬になります。
季節によって体の状況は変わります。四季がある国だからこそ、一年を通していかに体と向き合っていくかが、大切になります。
また動物達が過ごす時のながれは我々よりももっと早く、毎年巡る季節を同じコンディションで迎えられることはありません。「今年初めて」、「今までなかったのに」、ということが逆に当たり前におこります。
また高齢になれば、何か一つの疾患だけではなく、幾つもの疾患が併発し、治療の選択が難しくなることもあります。 この病気には手術が必要だけれど、麻酔をかけたら戻って来れないかもしれないから見送ろう、というような苦渋の選択をする場合もあります。
ですから早く病がみつかり、それに対処する方法がたくさんあるのならば、それはとても幸せなことです。
病を見つけるのは誰でも辛いことですし、怖いことですが、そこと向き合わねば乗り越えていけないことも多いのです。
ご家族だけでは受け止めきれない病と戦うためにどうぶつ病院はあるのだと思っています。悲しみを乗り越え、対峙する勇気をスタッフ全員で支えたいと思います。
2017-10-15
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